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Tips 2019.05.31

甘味を美味しそうに撮るコツとは?〜自由が丘古民家カフェ『古桑庵』〜

【フードフォトテクニックvol.7〜自由が丘古民家カフェ・古桑庵〜】
X-T30」で“料理写真を美味しそうに切り取る”撮り方テクニックを、都内の気になる素敵なお店の情報とともに紹介する連載企画『フードフォトテクニック』。スマホのカメラにも応用できる、構図のポイントや上手に撮るためのちょっとしたコツもご紹介します。今回は、自由が丘にある古民家カフェ「古桑庵(こそうあん)」さんにお邪魔しました。

今回訪れたのは自由が丘の古民家カフェ〜古桑庵〜

個性豊かなお店が立ち並ぶおしゃれな街の代表格・自由が丘。賑やかな通りを抜けた緩やかな坂の途中に佇むのが、20年以上にわたりこの街で愛され続けている古民家カフェ「古桑庵」です。

X-T30(camera)/ XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(lens)/ F値:4.0 / シャッタースピード:1/200 /クラシッククローム(フィルムシミュレーション)

木漏れ日が射す中庭の先で出迎えてくださったのは、店主の中山さん。畳敷きの広い縁側に腰を下ろすと、知人のおうちへ招かれたような親しみにぽっと胸があたたかくなります。それもそのはず、お店の母屋はもともと中山さんのお祖父様に当たる先先代が大正時代の末に建てられた住居。昭和29年に茶室として離れを増築した際、建材に桑の古材が使われていることから夏目漱石の娘婿である小説家・松岡 譲氏が「古桑庵」と名付けてくださったそう。現在は、和の空間で喫茶メニューが楽しめる自由が丘の古民家カフェとして、その名が知られるようになりました。

X-T30(camera)/ XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(lens)/ F値:4.0 / シャッタースピード:1/200 /クラシッククローム(フィルムシミュレーション)

X-T30(camera)/ XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(lens)/ F値:4.0 / シャッタースピード:1/60 /クラシッククローム(フィルムシミュレーション)

現在のようにカフェ・ギャラリーとしての営業を始めたのは、1999年のこと。人形作家である中山さんのお母様が自宅で開催していた展示会がきっかけだったといいます。「年に一度、自宅を解放して展示会を開いていたんですけれど、だんだん年をとってきて1年間でお客様にお見せするだけの作品が作れなくなってきたので、なにか違うかたちでお人形を見ていただけないかということでお店を始めたのが最初。もともと人がたくさん集まる家だったので、お客様が来てくださるのは嬉しいことだなあと思いますね」。店内には、お母様の作品はもちろん、中山さんが幼い頃から親しんでいるという「古桑庵」ゆかりの品々が。いつまでも眺めていられそうな長閑な中庭も、中山さんのお気に入り。近隣はもちろん遠方からも、ここでしか味わえない空気感を楽しみにたくさんの方が来店されるそう。

X-T30(camera)/ XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(lens)/ F値:3.2 / シャッタースピード:1/180 /クラシッククローム(フィルムシミュレーション)

X-T30(camera)/ XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(lens)/ F値:4.0 / シャッタースピード:1/60 /クラシッククローム(フィルムシミュレーション)

レトロな甘味たちを構図を活かして魅力的に撮影

「古桑庵」でいただけるのは、開店当初試行錯誤しながら「私たちが絶対に美味しいと思うものを素材や組み合わせを吟味して作った」という、20年間変わらない味。お品書きには、あんみつやぜんざいといった季節の甘味、抹茶やいちごミルクといった喫茶メニューが並びます。

まずは、何度も味見を重ねて最良のバランスに辿りついたというコーヒーに濃厚なバニラアイスが浮かぶ人気の「コーヒーフロート」。

X-T30(camera)/ XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(lens)/ F値:3.6 / シャッタースピード:1/60 /PRO.Neg Hi(フィルムシミュレーション)

ちょっぴりスパイスの効いたお茶請けのバターケーキはもちろん手作り。アイスがほんのり溶け出した喉ごしのいいコーヒーを中庭から吹き込む風と一緒に吸い込めば、スーッと心が晴れていくようです。

今回は、Xシリーズに標準搭載されている「グリッド」を活用し、甘味の美味しさと空間の魅力が伝わる構図を意識してみました。

ここでは、明暗と色味がより際立つフィルムシミュレーション「PRO.Neg Hi」で、コーヒーフロートを「3分割構図」で撮影。同時にお庭の雰囲気も伝わる写真になりました。グリッド線が交わる部分に被写体を置くと、まとまりが生まれます

【3分割構図】

X-T30(camera)/ XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(lens)/ F値:3.6 / シャッタースピード:1/60 /PRO.Neg Hi(フィルムシミュレーション)

果物たっぷりの「クリームあんみつ」も長年愛されている定番メニュー。黒みつをたっぷりかけていただきます。十勝産のあんこを使ったあんみつはずっと変わらぬ古桑庵の味。素材を変えずにこの味を守っていきたいという中山さんの気持ちが込められています。贅沢な気分で食べ進めていくと、器の底の方にカラフルな寒天ともちもちの求肥が。ゆっくり食べても最後までひんやり冷たい器に、無言のおもてなしが感じられました。

X-T30(camera)/ XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(lens)/ F値:4.0 / シャッタースピード:1/80 /PRO.Neg Hi(フィルムシミュレーション)

彩りの美しいクリームあんみつは、器の中身がよく見える真上からの「日の丸構図」で撮影。グリッドで水平垂直を確認しながら画面中央に主役を置くことで、具だくさんのあんみつの魅力がシンプルに伝わる写真になりました。

【日の丸構図】

X-T30(camera)/ XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(lens)/ F値:3.6 / シャッタースピード:1/80 /PRO.Neg Hi(フィルムシミュレーション)

色味も美しい「抹茶」は、中山さんのお母様がお茶屋さんと相談して仕入れるようになったという開店当初から変わらぬ味。きめの細かい泡が立った抹茶は、とてもクリーミー。その時々で変わるというお茶請けもお楽しみ。この日は「加賀紫雲石」という石川県加賀市の御菓子が添えられていました。抹茶の深い味わいと御菓子のやさしい甘味が、普段あまり意識しない和の心をくすぐります。

X-T30(camera)/ XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(lens)/ F値:4.0 / シャッタースピード:1/80 /PRO.Neg Hi(フィルムシミュレーション)

ここでは、アルファベットの「C」のように器の一部を切り取った「C字構図」を活用。上の画像と比較すると、グッと寄ったことで丁寧に点てられた抹茶のシズル感がより引き立ち、臨場感のある写真となりました。

【C字構図】

X-T30(camera)/ XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(lens)/ F値:4.0 / シャッタースピード:1/80 /PRO.Neg Hi(フィルムシミュレーション)

「くつを脱ぐとくつろげる。なんて言いますけれど、畳に座ってのんびりお茶をするというのは、今ではなかなかないことかもしれませんね。ここで自分なりの時間の過ごし方をしてもらえれば、それが一番いいと思います」と中山さん。変わり続ける自由が丘で、ずっと変わらない味と空間を守り続けている「古桑庵」。足早な都市の片隅に、和やかで美味しいひとときがありました。

X-T30(camera)/ XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(lens)/ F値:4.0/ シャッタースピード:1/250 /PRO.Neg Hi(フィルムシミュレーション)

「お友達を招くように、お客様をもてなしたい」。そんな気持ちから生まれる居心地の良さは、お店であることを忘れるほど。自由が丘駅から徒歩5分、心も身体も柔らかくしてくれる和みの空間へぜひ足を運んでみては?

【今回登場したテクニック】
・グリッドを活用し、水平垂直を確認しながら撮影
・「三分割構図」を使い、背景とのバランスをとったおしゃれな写真に
・俯瞰の「日の丸構図」なら料理の魅力がシンプルに伝わる
・素材感にフォーカスしたい時は大胆に寄りつつ「C字構図」でまとまりを意識

Spot Information

古桑庵

住所:東京都目黒区自由が丘1-24-23
電話番号: 03-3718-4203
HP:https://kosoan.co.jp

今回登場したカメラ

FUJIFILM X-T30

「フードフォトテクニック」の記事はこちら

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text by 野中ミサキ(NaNo.works)
photo by 大石隼土

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