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Column 2018.11.09

「織りなす詩を綴る日々」by 武居詩織 vol.5 〜人生という物語の中で〜

いつの間にやらすっかりと季節は変わり
一枚また一枚、と身に纏う衣が増えていくさまは
年輪を重ねていくようであり、
冬眠のための殻を作るようでもある。

少し肌寒くなった風に吹かれながら
内へ内へと入っていく感覚がある。
年の終わりが近づいてきて
纏う服を増やすごとに
ひとつひとつの出来事を重ねて纏めていくのだ。

しっかりとあたたかく、包み込むように。

季節を越えて旅に出る。
巻き戻されたような時の中でも別次元へとワープする。同じ時間には戻れない。
まさに対照的に真逆の放物線を描く。

キラキラと光を帯びて輝く水面に身を任せ
すっと深呼吸をすると
息がもっと透き通って身体ごと軽くなる。
目の眩むような異世界。

陽の傾きが空を滲ませ
水彩画の様な淡い色彩で視界が満たされて
世界そのものの色合いが全て変わったようだった。
光が変わると全てが変わる。
繊細なその色彩表現に、波に削られる砂のように心をゆっくりじんわりと奪われていく。

その瞬間はやはりその瞬間にしか存在していなくて、
人生はその一瞬一瞬の積み重ねで出来ている。
戻りたくても戻れないその一瞬を逃したくないがために、
シャッターを切るのだろうと思った。

きっと誰しも心の中では常に大切な瞬間にシャッターを切っているのだろう。
目に見えない写真達はそうして心の中のアルバムへと溜まっていく。

心の中のものを形にするために、いつまでもその瞬間を追いかけ続けたくなるのだろう。
まだまだ逃すことも多いけれど、いつかばっちりと最高の一枚が撮れる日がきっと来る気がする。

騒めきが落ち着いてひょっこりと現れた新たな出会い。
きょとんとした顔の中で何を考えているのだろうか。

次から次へと飽きない姿についつい目がいってしまう。
“子供が生まれたらきっとこんな感じなんだろうな。”と考えて、
そんな風に思うなんて大人になってきたんだろうなと感じる。

静かに時は流れ、どんどんと日々が過去になっていく。
止まらない時間に流されすぎないように
逆らって杭をたてるように写真を撮って、
暫くしては見返したりもした。
それが過去のものになったとしても、その一枚があることで救われる気持ちもあるのだ。

夜の足音が早まり
あっという間に陽は傾いていく。
この季節の夕暮れはとてもしっくりきていて
なんだか好きだ。
優しくて切ないその光がなんだかとても愛しく感じる。

気づけばまた1つ歳を重ねて、またひとつ夏が終わって秋がきて冬がくる。
そしてまた春になって……。

X-E3」との出会いは、当たり前の日常の中にある素晴らしい瞬間に気づくきっかけをくれた。
もっと外に出てみよう、新しい世界をみようと行動する原動力にもなった。
そうして少しずつ私の人生までもが変わってきているような気がする。

いつまでも旅は終わらない
日々、詩を織りなして
ひとつひとつが重なり合って
螺旋のように連なって
そうして続いていくのだ。

今回登場したカメラ

FUJIFILM X-E3

Profile

武居詩織(Shiori Takesue)

モデル

ファッション誌、ビューティー誌で定評があるモデル。Aimer『カタオモイ』やKANA・BOON『ランアンドラン』My Hair is Bad『真赤』など、話題のMVに出演。雑誌・SPRiNGでは専属のスプリングラマーとしても活躍。趣味は音楽鑑賞で、FUJI ROCKなど国内のフェスに毎年参加するほどの音楽フリーク。

Instagram:@shioritakesue
Twitter:@Shiori___

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