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Column 2018.10.12

「織りなす詩を綴る日々」by 武居詩織 vol.4〜淡い空気に包まれて〜

夏の火照りを洗い流すような秋雨が続き
洗濯物を干せぬ日々にやきもきしながらも
少し切なさを感じる秋の空気がなんだかんだ、好きだ。

雨に濡れた街並みはしっとりと叙情的で
滲むライトが夜を照らすとほんの少し別世界に来たような気分になる。
金木犀の香りがして堪らなくなる季節。

慌ただしく飛び回っていた日々も落ち着きを取り戻し
東京での暮らしに戻っていく

普段の暮らしの中でいかに撮りたいと思えるようになったかが、
X-E3」を持っての一番の変化なのではないだろうか。

旅先や特別な出来事ではもちろん
大多数の人が思い出を残そうとしてカメラを取り出すだろう。
折角買ったカメラ、それだけでは勿体無い。
撮ることで日常を特別なものにできる気がして
自然とカメラを取り出すことが増えてきた。

きちんと形にしたい
何かを形にしたいと思って生きている。

人間の本能的なものだろうか
きっと写真を撮ることも
なんだかそんな感覚な気がするから
撮りたいと思うのだろう。

日常の中でこそ深く潜り込みたい瞬間がある。
ルーティーンに飲み込まれないように
歯車の一つにならないように
当たり前の日常の中でこそ
ひとつの瞬間を大切にしたい。

だんだんと撮り慣れていくにつれ、
少しずつシャッターを押すだけで
撮りたいイメージの写真が撮れるようになってきた気がする。
撮った写真を加工せずとも心で見た景色を再現できるのは
X-E3」の魅力だと思う
フィルムシミュレーションやホワイトバランスを合わせるだけで
なんだか特別な一枚になる。
こうしてどんどんと馴染んで更に愛着が湧いてくるのだろう。

束の間の晴れの日も、
シェードをかけたような日差しが
水彩画のようなやわらかさをもたらす。
少しずつ霞んでいく鮮やかな景色が
移り変わりの風に混じる。

宝石のように輝いていた日々を宝箱に詰めて
静かにリボンをかける。
レクイエムのように静かで大切な儀式。

家にあったワイングラスは全て割れてしまったけれど
壊れたガラスの粒が別の形をもって
心の中にひとつの塔を作ったような気分だった。

ただ見ただけでは分からないが
じっと体全体を研ぎ澄ませると感じる変化
青と曖昧な世界。
霧が晴れても視界は滲んでいく。

隔てた先に見える世界はいつまでも美しい。
何も明白なものはなくて
全てが感じるままに自由だ。
物語の中で静かに踊り続けていく。

暖かな日差しに包まれて
酔いしれる日にも
内包された切なさは忘れることはない。
ひとつひとつの粒が静かに輝いて
刺さって溶け合って
美しくなっていくのだ。

積み重なって行く歳月に
目に見えない変化が生じても
心の中の塔は揺らがない気がする。

形あるものはいつか壊れるし
形が変わったりもするけれど
きっと変わらないものや
変わりつつも積み重なっていくものがある。

どんな変化すらも愛しく思えるような
悔いのない生き方をしていきたい。

行方の分からぬ物語はきっといつまでも続いていくのだ。

今回登場したカメラ

FUJIFILM X-E3

Profile

武居詩織(Shiori Takesue)

モデル

ファッション誌、ビューティー誌で定評があるモデル。Aimer『カタオモイ』やKANA・BOON『ランアンドラン』My Hair is Bad『真赤』など、話題のMVに出演。雑誌・SPRiNGでは専属のスプリングラマーとしても活躍。趣味は音楽鑑賞で、FUJI ROCKなど国内のフェスに毎年参加するほどの音楽フリーク。

Instagram:@shioritakesue
Twitter:@Shiori___

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