『X-E4』とGFXで撮る、スコットランドの旅風景〜加藤秀vol.3「スコットランドの離島を巡る」〜
スコットランドの旅風景を紹介するこのコラム、第2回は、ハイランド地方を巡りウイスキー蒸溜所やハイランドに住む人々のお話をさせて頂きました。最終回となる今回は“究極のスコットランド!離島の島々”を紹介します。
スコットランドはとても人気のある観光地です。ヨーロッパやアメリカなど、世界中からたくさんの人が訪れます。エディンバラやグラスゴーなどの都市部には中世の古い美しい街並みが残り、そして少し足を延ばしてハイランド地方に行けば、雄大でロマンティックな大自然が広がっています。
ところがスコットランドの本当の魅力は、さらにその先!離島の島々にこそあります。
離島は本土とは風土が異なり、風がとても強く、木々はあまり育ちません。壮麗な断崖絶壁に高波が砕け、荒涼とした景観が広がっています。大自然のイメージのスコットランドですが、まさしく“世界の果て”を感じられる離島は究極のスコットランドと言えるのです。
離島を巡り写真を撮るにあたって、荷物をいかに少なく軽くできるか、が大きな問題でした。旅で最も使用したカメラの『X-E4』はまさしくこの点で大満足でした。腰を据えた撮影は『GFX100S』で行いましたが、『GFX100S』でカバーし切れない望遠域の撮影には『X-E4』+『XF70-300mmF4-5.6 R LM OIS WR』を使用しました。『X-E4』にはボディ内手ブレ補正がついていないので、望遠で使うことは少し不安でした。ところが、英国最西端にあるセント・キルダで、飛翔中の小さなパフィン(ニシツノメ鳥)を捉えた時は、何てすごいカメラなんだろう!ととても驚きました。
初めてスコットランドの離島に行く人におすすめしたいのは『スカイ島』です。スカイ島は国内外から多くの人々が休暇に訪れる人気の島です。島と言っても、本土とはスカイブリッジで繋がっているので気軽に車で行くことができます。この島には美しいビーチはもちろん、挑戦的な山もドラマティックな川もあるので、凝縮版のスコットランドと言われています。最大集落のポートリーは夏には多くの観光客が訪れとっても賑やかですが、町を離れるとすぐに広大な大自然が広がっています。
淡路島ほどの大きさの『アイラ島』には、個性溢れるウイスキー蒸溜所が9つあります。この島で作られるウイスキーは本土のウイスキーに比べ強烈なピート香がするため、初めて口にすると度肝を抜かれるかも知れません。でも、その味に病みつきになるファンは多いのです。世界中のウイスキーファンからアイラ島は“スコッチの聖地”とまで言われ、「いつかアイラ島へ行ってみたい!」と憧れの地になっています。
のどかな美しい島で、美味しい食事とウイスキーを楽しめる最高の島です。
そして、英国最西端にある絶海の孤島『セント・キルダ』はまさしく究極のスコットランドです。ここは群島全体がユネスコ世界遺産に登録されています。かつての住民はすでに島を離れ、現在は軍レーダー施設の担当者以外には住民のいない島です。英国で最も高い断崖絶壁やスタックと呼ばれる海食柱がそびえ立ち、その景観は圧巻の一言です。希少な固有種も生息し、海鳥たちの一大コロニーで自然保護区にもなっており、古来からの人々の暮らしは僅かに遺跡として残っています。定期便はありませんが、夏に日帰りの観光ツアーで島へ行くことが出来ます。絶海の孤島はまさしく世界の果て!高さ400mに迫る断崖に立った時、皆さんは一体どんなことを思うでしょう。
ハイランドへ行くだけでも十分なアドベンチャーですが、さらにその先、離島となるとハードルは高いと感じるかも知れません。でも、訪れる価値は十分にあります。ぜひ離島の島々を訪れてみてください。そこには都会の便利さはありません。夜間営業のコンビニもありません。だけど、そんな何もない島で、もし心に何かを感じられたら……、あなたはまたスコットランドを訪れたくなるかも知れません。
雄大な光景からポートレートまで難なくこなすことができ、GFXシリーズは本当に素晴らしいカメラだと思います。かたや離島や山などで必要なコンパクトさ、それに超望遠性能においてはXシリーズが大活躍しました。スコットランドの多くの魅力を写し撮るのにこの組み合わせはとても大きな成果をもたらしてくれました。
3回にわたってお届けしましたスコットランドのお話は以上です。スコットランドは日本からは遠く離れていますが、民謡(蛍の光)やウイスキーやタータン(チェック柄)など、日本の多くの産業、文化の起源や共通点がある国です。この連載をきっかけにたくさんの方がスコットランドに関心を持って頂けたら嬉しいです。
ご覧頂きありがとうございました。