【Xシリーズユーザーインタビュー】くさのしほと『X-E4』『X-T4』 一瞬しか訪れない“子どもの輝く瞬間”を記録する
子どもが無邪気な表情を見せる瞬間を的確に捉え、透明感あふれる描写で表現するくさのしほ(@shiho_kusano)さん。3歳の娘と過ごす日常をSNSに投稿しながらも、七五三やバースデーフォトなどの『出張撮影』を行い、さまざまな家族が幸せに過ごす瞬間を記録する活動を続けています。
愛用する富士フイルムの『X-T4』と『X-E4』について「子どもを撮影するのにぴったりなカメラ」とコメントするくさのさん。彼女が富士フイルムのカメラに出会い、そして使い続ける背景について、お話を伺いました。
Interview:くさのしほ
最初は「撮りたい」よりも「撮られたい」だった
――くさのさんがカメラを手にするようになった経緯を教えてください。
2020年11月頃に、当時1歳になる娘のバースデーフォトを、フォトグラファーに依頼し撮ってもらったのがきっかけでした。写真自体に興味はあったものの、ちゃんとしたカメラを持ったことはありませんでした。実は、娘が生まれる前までは「撮りたい」よりも「撮られたい」という気持ちのほうが強かったんです。そんな時にプロに撮影してもらったことで「私も撮れるようになりたい」と明確に考えるようになって。そのまま、オートフォーカスの精度も良くて、子どもの撮影もしやすそうなフルサイズカメラを購入し、徐々にInstagramへ写真をアップするようになりました。
――では、家族写真を撮影する『出張撮影』を行うようになったのは?
2021年から、月1くらいのペースでひっそりと始めていました。最初は特にオープンなものではなく、友人からの依頼が中心で。価格を設定しておらず、最低限の交通費をいただく程度でした。Instagramで大々的に告知をして出張撮影のご依頼を受け入れるようになったのは、昨年2022年から。依頼も少しずつ増えていき、手応えを感じるようになりました。次第に「サブカメラが欲しい!」と思うようにもなり、2022年の4月に『X-E4』を購入。一気に富士フイルムのファンになり、現在に至ります。
1回の出張撮影で1,000枚以上撮影することも
――サブカメラとして『X-E4』を購入したきっかけを教えてください。当初から『X-E4』は候補に挙がっていたんですか?
実は『X100V』か他社のカメラで悩んでいて、『X-E4』は検討していませんでした。家電量販店を訪れたら『X100V』は入荷に時間がかかると言われて。その日のうちにサブカメラが欲しい気持ちになっていたので「どれにしようか」と悩んでいたところ、店員さんに『X-E4』を紹介してもらいました。
――サブカメラを選ぶにあたり、求めていた性能や特徴はありますか?
とにかくコンパクトなもの、ですかね。最初に持っていたカメラはレンズも大きかったので、気軽に持ち運べなくて。ありのままの娘の姿を撮りたくて、毎日のお散歩や買い物に持ち歩いていたものの、スーパーやコンビニでどっしりしたカメラを取り出すの、ちょっと恥ずかしいんです(笑)。
富士フイルムのカメラは、私の周りでも評判が高く、もともと気になってはいました。店員さんからも「『X100V』と大きさはそこまで変わらず、レンズ交換もできて見た目も可愛い」と太鼓判を押され、『X-E4』と、『XF35mmF1.4 R』をセットで購入しました。
――実際に『X-E4』を使用してみた第一印象はいかがでしたか?
先ほども言った通り、メインを当初使っていたカメラで、サブを『X-E4』にするつもりでした。でも届いたカメラで写真を撮ったら、その日のうちにフォルムや写真の色味がしっくりきて、「フジ、最高!」って惚れ込んじゃったんですよね。そのうちメイン機として『X-E4』を使うようになりました。
そして8月頃には『X-T4』と『XF23mmF1.4 R』を購入。出張撮影からプライベートの撮影まで、すべて富士フイルムのカメラで回すようになりました。当時の家電量販店の店員さんには感謝してもしきれないです(笑)。
――『X-T4』と『X-E4』の2台は、どのように使い分けているのでしょうか?
出張撮影では『XF23mmF1.4 R』を装着した『X-T4』をメインとし、『XF35mmF1.4 R』を付けた『X-E4』をサブとして活用しています。
――『X-T4』をメインに使っている理由は?
出張撮影をするうえでの安心感でしょうかね。うちの娘も結構わんぱくなのですが、子どもは喜怒哀楽が激しく、表情も動きも一瞬でコロコロ変わります。「もう一回同じ表情して!」「さっきのポーズして!」なんて言っても叶わないからこそ、とにかくたくさんシャッターを切るんです。プライベートで1日お出かけするときは300枚以上、出張撮影では少なくとも1,000枚以上撮影することがあります。“数打ち当たれ”なスタイルだからこそ、『X-T4』の手ブレ補正や、SDカードを2枚挿入できるところが本当にありがたい。一生に一度の思い出を撮り逃がさないよう、バシャバシャ撮れる頼もしさが『X-T4』にはあるんです。
『X-E4』はメインに使用しても全く遜色ないカメラではあります。ただ、あまりにコンパクトだから「こんなちっちゃいカメラを使って、本当に大丈夫?」とお客さんが心配するかもな、って。仕事ではサブ機として扱う代わりに、プライベートでは持ち運びやすい『X-E4』を使うことが多いです。
――では、出張撮影の現場で『X-E4』を使うのはどういったシーンでしょうか。
『X-E4』も『X-T4』も画素数は変わらないので、『X-T4』とは違う画角を撮りたいときに『X-E4』を使います。実は、最初に購入した他社のカメラには、フル換算で35mmのレンズを装着していたんですよ。『X-E4』を購入する際に「ちょっと違う画角も欲しいな」と検討していたところ、例の店員さんから「神レンズ」と紹介されたのが『XF35mmF1.4 R』でした。フル換算で50mmという画角なので「使い勝手も良さそうだな」と思い購入した次第です。
ただ使っているうち、出張撮影で自宅にお邪魔して家族写真を撮ることが多くなってきたんですよ。そんなとき、50mmだと画角的に被写体との距離感が近すぎてしまうように感じて。そこで、『XF23mmF1.4 R』を買い足したという背景があります。使い勝手の良さを感じるのは『XF23mmF1.4 R』ですね。
その一方、『X-E4』と『XF35mmF1.4 R』の組み合わせで生まれる光のニュアンスや描写は好きなんですよね。独特のボケ感が生まれ、髪の毛1本1本が太陽に当たって透ける様子が気に入っています。特に、ママが赤ちゃんに触れている瞬間などをアップで撮りたい時は『XF35mmF1.4 R』と『X-E4』の組み合わせで撮影することが多いです。
ピントが合っていなくても味のある写真が作れる
――先ほどくさのさんがおっしゃったように、子どもは自由自在に動き回るからこそ、綺麗に撮影するのが難しい対象だと思います。撮影で工夫していることはありますか?
まずはあまり指示をしないようにしています。子どもが中心の撮影になるからこそ、家族写真を撮るときも、あまり「ここにこうやって立ってください」のようにポーズをお願いすることもなくて。なので、お客さんから問い合わせをいただいたときも「そのままの姿を撮ります」と事前にお伝えするようにしています。
被写体となるお子さんやご家族には自然に過ごしてもらいつつ、自分が動き回って撮る。それが私自身のスタイルだと思っています。七五三でも無理にお子さんを笑顔にさせないし、ベビーカーも隅っこにどかさずに撮影する。その時の思い出を全部残そう、というつもりでシャッターを切っています。
――走り回っているやんちゃなお子さんを撮るとき、大変じゃないですか?
AFモードに設定し、とにかく追いかけて撮影しています(笑)。ただ、富士フイルムのカメラの良いところは、ブレたりピントがずれてしまったりしても、良い感じの写真になるんですよ。正直、もっとAFの反応が速いカメラはたくさんあると思います。でも「必ずしもピントの合っている写真だけが良い写真とは限らない」と感じさせるのが、富士フイルムのカメラの魅力だと思うんです。
そういった魅力を感じさせるのは、富士フイルムならではの色味に関係していると思います。普段、フイルムシミュレーションのクラシックネガを使用しているのですが、本当になんでも可愛く写るんですよね。緑は本来の色よりもやや濃く出て、赤は朱色寄りの柔らかなトーンになる印象です。
――くさのさんは約2年半という非常に短いスパンでカメラのノウハウを身につけ、活動していらっしゃいます。上達の秘訣をぜひ教えていただきたいです。
自分としてはまだまだこれから、という気持ちではあるのですが、毎日撮り、毎日編集し続けている生活を2年半ずっと続けた結果が今につながっているのかな、とは思います。基本的には独学なのですが、写真好きのパパ・ママに向けたオンラインサロンで知識を付けたり、いろんなフォトグラファーさんのプリセットを購入したり、と少しずつ勉強は重ねてきました。
今後、出張撮影を続けていくためにも『X-T5』や『GFX』といった3台目の購入も検討したいですね。強いて言えばマクロレンズも欲しいけれど……正直、今使っているカメラとレンズで十分かもしれません。編集しなくても良い写真を撮影できるのが、富士フイルムのカメラの魅力。ごちゃごちゃした家の中でも、富士フイルムのカメラで撮ると絵になるんですよ!
※記事内に登場する人物には掲載許可を取っています
text by 高木 望