Search

Tag

Review 2024.08.07

【Xシリーズレビュー】~インテリアコーディネーター・maru~ Xシリーズ新製品『X-T50』の偉大な進化が写し出す、ささやかな暮らしのなかのきらめき

2024年6月28日に発売されたXシリーズの最新機種『X-T50』。圧倒的解像感を叶える第5世代センサー『X-Trans CMOS 5 HR』と『X-Processor 5』を搭載したクラシカルな軽量ボディには、フィルムシミュレーションダイヤル、手ブレ補正、REALA ACEと、大きな進化を実感させる機能が多数搭載されています。今回は、宅地建物取引士兼インテリアコーディネーターとして“家”にまつわるお仕事に携わる傍ら、フォトグラファーとしてもご活躍中のmaruさん(@ maru_grt)に、その進化を体感していただきました。Xシリーズは「記録として写真を撮ること以上の体験」をもたらしてくれる存在なのだと語るmaruさん。『X-T2』で富士フイルムと出会い、長らく『X-T30』を愛用してきたからこそ感じる『X-T50』の革新と魅力、そしてカメラを手にするからこそ感じられる“何気ない日常”にある輝きについてお話を伺いました。

Interview:maru

——maruさんには、2021年に『テーブルフォトテクニック vol.4』をご寄稿いただきました。その後、ご活動の内容に変化などはありましたか?

当時は、暮らしの写真というのが私のテーマでもありましたし、お仕事でもスナップをよく撮っていたんですけど、最近では建物の竣工写真も撮らせていただくようになったりと、おかげさまで活動の幅が広がりました。広角できっちりとした写真を撮るのは苦手だったので最初は苦戦しましたが、いろいろ勉強させてもらっています。

X-T50 /XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR /F3.2 /1/40秒 /ISO2000
フィルムシミュレーション:クラシッククローム

X-T50 /XF90mmF2 R LM WR /F2.0 /1/56秒 /ISO2000
フィルムシミュレーション:クラシッククローム

X-T50 /XF90mmF2 R LM WR /F2.0 /1/500秒 /ISO2000
フィルムシミュレーション:クラシックネガ

——maruさんはこれまで『X-T2』『X-T30』とTシリーズを愛用してこられたとのこと。そういった視点も踏まえて『X-T50』の感想をお伺いできればと思うのですが、なんと今回のレビュー企画がきっかけで『X-T50』を購入されたそうですね!

そうなんです。ただ、買い替えではなく使い慣れた『X-T30』ももちろん手元に残しています。もともとXシリーズにハマるきっかけになったのが『X-T2』のグラファイトシルバーというすごくカッコいいモデルだったんですけど、ちょっと重くて持ちづらいということで泣く泣く手放したんです。『X-T50』は、それを彷彿とさせるような見た目ですっごく好み。『X-T50』のことは知っていましたが、企画用にお借りしたものを見た瞬間に「私、買っちゃうな」って思いましたし、情緒的なものが揺さぶられる感覚がありましたね。

X-T50 /XF90mmF2 R LM WR /F2.0 /1/150秒 /ISO800
フィルムシミュレーション:クラシックネガ

——maruさんにとって『X-T50』は、まず直感と情緒に働きかけるプロダクトだったんですね。実際の機能性や使用感についてはいかがですか?

初めて『X-T50』を手にしたときは、こんなに小さいんだ!と驚きました。丸みを帯びたボディが握りやすくて、手の納まりもすごくいいですね。『X-T30』との大きな違いは、やっぱり軍艦部にフィルムシミュレーションダイヤルが配置されたこと。私はフィルムカメラから写真をはじめたのでアナログカメラに近い操作性に安心感がありますし、大好きだった『X-T2』が願っていた型になって戻ってきてくれたようで嬉しいです。ダイヤル操作で設定したフィルムシミュレーションが液晶モニターにも反映されるのは、ずっとXシリーズを愛用している身からすると本当に素晴らしいと感じました。メニューからの設定だと、どうしてもそこで感覚が一旦途切れてしまうので、撮りながら気持ちとぴったり重なる色を探せるというのが本当に心地良くて、とても気に入っています。

X-T50 /XF90mmF2 R LM WR /F2.0 /1/80秒 /ISO800
フィルムシミュレーション:クラシックネガ

——フィルムシミュレーションダイヤルは、操作感はもとより感覚的な面でもシームレスな撮影体験を叶えてくれる進化なんですね。

進化といえば、『X-T30』には搭載されていない手ブレ補正もそうですよね。たとえば、この紫陽花の写真。背伸びをしながら不安定な体勢でカメラを構えて、真上から撮ったものなのですが、バッチリ決まっているのを見て、手ブレ補正の頼もしさを感じました。そしてやっぱり、画質の進化もすごいんだなと思いました。『X-T30』も十分きれいなんですけど、『X-T50』ではより空気感や透明度まで描写されていて驚きましたし、嬉しくなりましたね。

X-T50 /XF90mmF2 R LM WR /F2.0 /1/16000秒 /ISO800
フィルムシミュレーション:REALA ACE

X-T50 /XF90mmF2 R LM WR /F2.0 /1/28003秒 /ISO1000
フィルムシミュレーション:REALA ACE

ーーこの紫陽花の精細な美しさは、まさに進化の賜物なんですね。『X-T50』でのテーブルフォト撮影はいかがでしたか?

普段からテーブルフォトは絞り開放で撮影することが多いのですが、『X-T50』で撮ると焦点が当たるポイントにグッと引き込まれるような画になって、そこに気持ちよさを感じました。たとえば、この俯瞰でテーブルを撮影した写真。同じ構図で撮っても『X-T30』と『X-T50』とでは印象が変わってくると思います。

X-T50 /ZEISS Touit 1.8/32 /F1.8 /1/420秒 /ISO800
フィルムシミュレーション:クラシッククローム

ーー『X-T50』には、最新のフィルムシミュレーション・REALA ACEが搭載されています。maruさんにとってこちらも初の体験だったかと思いますが、REALA ACEでの色表現にはどんな感想をお持ちですか?

富士フイルムの発色の美しさにはこれまでも信頼を置いていたのですが、REALA ACEでは鮮やかなだけではない自然な美しい色味が表現されていると感じました。普段からお花の写真をよく撮るのですが、柔らかさがありつつもシュッと締まるところは締まるような、これまで出せなかった色味が表現されているなと思いました。このカモミールもREALA ACEで撮ったもの。自然な色みで生き生きとしたかわいらしさが表現されていて、とくに気に入っている1枚です。これからお花をREALA ACEで撮れるんだと思うとワクワクします。

X-T50 /XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR /F2.8 /1/50秒 /ISO800
フィルムシミュレーション:クラシッククローム

X-T50 /XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR /F4.8 /1/52秒 /ISO800
フィルムシミュレーション:クラシッククローム

REALA ACE と併せて、私にとってはクラシックネガでの撮影も初めてだったのですが、深みのある色あいがすごく好みでした。このテーブルフォトもその場の空気感や水の入ったガラス瓶がとても素敵に表現されていて気に入っています。フィルムシミュレーションによる色味と、画質が上がったからこその表現力なのでしょうね。

X-T50 /XF90mmF2 R LM WR /F2.0 /1/1900秒 /ISO2000
フィルムシミュレーション:クラシッククローム

ーー『X-T50』を手にしたことで、撮影スタイルに変化はありましたか?

実は『X-T50』に合わせて、『XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR』も購入しまして……ズームレンズを購入したのは、大きな変化かもしれません。これまでズームレンズは積極的に使ってこなかったのですが、『X-T50』がこれだけ進化しているのだから相応のレンズを使ってポテンシャルを感じたいという気持ちが芽生えました。ボディサイズ的には『X-T30』とそれほど変わらないのですが、『XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR』との組み合わせはコンパクトかつ寄りの画も撮れるので、飼っている鳥の何気ない仕草も撮れるようになりましたね。これは人物撮影にも言えることだと思います。レンズそのものが小さくて威圧感もないので、自然な表情が撮れますよね。とくにご依頼でお子さんのスナップ写真を撮るときは、単焦点だと自分が動かなければいけないけれど、立ち位置を変えずに追いかけられるというのはズームレンズの強み。パッと持ち出してサッと撮れるこの組み合わせは今後たくさん活躍してくれそうですし、最短焦点距離が35mm判換算で24mmと広角域も十分カバーしてくれるのでこのレンズで建物写真も撮っていきたいです。

X-T50 /ZEISS Touit 1.8/32 /F1.8 /1/70秒 /ISO800
フィルムシミュレーション:クラシッククローム

X-T50 /ZEISS Touit 1.8/32 /F1.8 /1/56秒 /ISO800
フィルムシミュレーション:クラシッククローム

ーー『XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR』と併せて、大口径・単焦点望遠『XF90mmF2 R LM WR』も購入されたそうですね。

実は、以前持っていたのですが手放してしまったんです。今回どうしても『X-T50』と『XF90mmF2 R LM WR』を一緒に使ってみたくてお借りしたら、立体感とボケ味が本当に素晴らしくて、思い切って買い戻しました。この屋外での写真は、『XF90mmF2 R LM WR』をまた使えることがすごく嬉しくて、手元に届いたその日に出掛けて撮ったもの。シロツメクサの写真も同じ日に同じレンズで撮影しました。ピントが合っている部分のシュッと締まる感じと柔らかく広がるボケ感が「これぞ単焦点の望遠レンズ」という仕上がりですごく好きです。

X-T50 /XF90mmF2 R LM WR /F2.0 /1/28003秒 /ISO800
フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

X-T50 /XF90mmF2 R LM WR /F2.0 /1/28003秒 /ISO800
フィルムシミュレーション:クラシッククローム

ーー新たに手にしたズームレンズによって、写真表現がさらに広がっていく楽しさがお話からも伺えます。『X-T50』は、maruさんにとってどんな存在になりそうですか?

手にした瞬間、きっといい相棒になってくれるだろうなって強く感じましたし、これから先もこのカメラさえあればいいかもって思えるくらい見た目も使用感も気に入っています。「好きこそものの上手なれ」じゃないですけど、やっぱり自分が好きだと思う気持ちに、カメラは絶対に応えてくれると思うんですよね。私にとって、所有していることが嬉しい、撮っていて楽しい、このカメラを通して今を写しておきたい。そう思わせてくれるのがXシリーズ。記録として写真を撮ること以上の体験であったり、感情が揺さぶられる瞬間との出会いを残しておきたいっていう気持ちが全部詰め込まれたものだと思っています。

X-T50 /XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR /F3.8 /1/170秒 /ISO2500
フィルムシミュレーション:REALA ACE

X-T50 /XF90mmF2 R LM WR /F2.0 /1/140秒 /ISO800
フィルムシミュレーション:クラシックネガ

ーー『X-T50』で撮影していただいた画を見ていると、日常のふとした光景も写真に残すことで感情に訴えかけるものになるのだろうというふうにも感じます。

お仕事で撮影させていただくときは、本当にそう思ってもらえたらいいなと思ってとっています。よく、“写心”と書いて「心を写す」なんて言いますけど、私はその表現がすごく好きなんです。写真っていうのは、気持ちを揺さぶってくれるものだと思っています。スナップ写真なんかもそうですよね。長い時間を経て、「この時は楽しかったね」「写真に残しておいてよかったね」って思えるような瞬間が、誰にでもあると思うんです。「何気ない生活って、こんなにいいものだったんだ」って、私が撮った写真を見てそういうふうに感じてもらえたら一番嬉しいですね。

X-T50 /XF90mmF2 R LM WR /F2.2 /1/110秒 /ISO2000
フィルムシミュレーション:クラシッククローム

Profile

maru

インテリアコーディネーター/フォトグラファー
福岡県出身、埼玉県在住。
不動産の仕事をしながらインテリアコーディネーター、写真撮影の仕事をこなす。
「家」という暮らしの礎の提案、インテリアのコーディネート、写真撮影と、トータルで寄り添えるような暮らしのスペシャリストを目指す。
リノベーションをした自宅を被写体とした室内フォト写真教室を現在準備中。
Instagram:@maru_grt

NU renovation コラム 「春夏秋冬の暮らしごと」連載中

その他【Review】記事はこちらから

Tag

Keyword Contents

Instagram

@life_with_xseries