フジノンレンズ『XF33mmF1.4 R LM WR』・『XF56mmF1.2 R WR』 × 被写体に引き込まれるポートレート〜Yuma Takatsuki vol.3〜
こんにちは、フォトグラファーのYuma Takatsuki(@yu_umaa06)です。
長年愛用している富士フイルムのレンズについて、僕なりの視点でシチュエーションに合わせた使用感や撮影ポイントなどを書いていくこの連載シリーズ。全3回のうち、本記事で最終回となります。
vol.3:XF33mmF1.4 R LM WR & XF56mmF1.2 R WR
今回のテーマは現行レンズである『XF33mmF1.4 R LM WR』と『XF56mmF1.2 R WR』 の二つです。これまでは今まで自分が使ってきたレンズを中心に書いてきましたが、今回は使用するのが初めてのレンズであり、写真も撮り下ろしです。内容と写真、合わせて楽しんでいただけたらなと思います。
① XF33mmF1.4 R LM WR
まずは『XF33mmF1.4 R LM WR』についてです。このレンズはしばしば『XF35mmF1.4 R』と比較されるかと思います。今回は、この二つのレンズを同じような場面で使って、それぞれの写りを比べてみました。
いきなりですが、こちらの2枚は共に逆光の写真。『XF33mmF1.4 R LM WR』と『XF35mmF1.4 R』、それぞれどちらのレンズで撮影した写真だと思いますか?
フィルムシミュレーションや編集は同じような雰囲気になるように仕上げています。
正解は…
下(比較右)の写真が『XF33mmF1.4 R LM WR』で撮影したものでした。光の入り方に違いはありますが、フレアやフリンジなどもしっかりと抑えられており、ピント面のシャープさも際立つ写りをしていました。
比較した写真をもう一つ。
こちらの正解は…
この2枚の写真はぱっと見ではあまり差が分からないかもしれません。しかし拡大すると肌の質感、髪の毛の一本一本のディテールや水面の描写など、様々な箇所で『XF33mmF1.4 R LM WR』の解像感の高さを感じました。まさしく、撮影したその瞬間を切り抜いたような写りだなと感じました。
『XF35mmF1.4 R』は、“解像感”の部分では『XF33mmF1.4 R LM WR』ほどとはいきませんが、『XF35mmF1.4 R』ならではの“描写性”があります。ピント面のカリッと感、ふわっとしたボケ感によって、その場の雰囲気を収めた写真が撮れるのではないかと思っています。写りすぎないところに魅力を感じるのです。
焦点距離でレンズを選ぶ場面に関しては、前回の『XF35mmF1.4 R』の記事で書いたように、使用感もほぼ問題ないなという感じでした。
その他の『XF33mmF1.4 R LM WR』で撮影した作例もご紹介します。
② XF56mmF1.2 R WR
次は『XF56mmF1.2 R WR』についてです。このレンズは『XF56mmF1.2 R』の後継レンズで、重さは40gほど重くなったとはいえ、全てにおいてアップグレードされたレンズです。
それではまず作例をご紹介します。
実は以前に、『XF56mmF1.2 R』を使用していたことがあったので、『XF56mmF1.2 R WR』もストレスなく使うことができました。様々なロケーションや距離感で使っていくなかで、このレンズの立体感やボケ感の虜になりました。
僕が換算85mmの中望遠域を使う場面としては、余白を多く作り奥行き感を強調しつつも、被写体となる人や物を目立たせたい場合に使うことが多いです。
こちらの写真は、奥まで道が続くことがわかるようにやや高めの位置から撮影し、奥行きを強調しています。さらにF値を開放近くで撮影することで、このレンズの特徴である滑らかなボケ感が被写体を浮かび上がらせ、立体感を強調することができます。
一見、被写体との距離感が遠いように感じるのですが、しっかり被写体の表情などを捉えているため、ぐっと被写体に引き込まれていくような、印象的な写真を撮ることができます。
他の作例もいくつかご紹介します。
最後に
いかがでしたでしょうか? 少しボリュームが多くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回で僕のこの連載シリーズは最終回となります。少しでも富士フイルムのカメラとレンズを使用する際の参考になれば幸いです。またどこかでお会いしましょう。本当にありがとうございました。