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Column 2024.04.24

GFXを通して、富士フイルムと対話してみる。3回シリーズのコラムの締めくくり。〜記憶カメラvol.3〜

こんにちは。ブログ『記憶カメラ』を書いている中の人です。このコラムもついに今回のvol.3が最終回。ちょっと寂しかったりもしますが、おかげさまでvol.1vol.2をたくさんの人に見ていただけたようで、感想なんかもいただけたりと“コラムを通した対話”という貴重な体験をさせてもらいました。

もともと、このコラムが始まったのも富士フイルムさんから「これからもっとユーザーと対話したい」とお声がけをいただいたから。そこで今回は、前回までのコラムの冒頭でも触れていた「富士フイルムさんに質問してみました」という内容をさらに膨らませて、全編を通して“富士フイルムさんと対話している感覚”のコラムにできたらなと思っています。

Profile

記憶カメラ

写真やカメラについてのブログ「記憶カメラ」を日々運営している「中の人」。
フィルムカメラで写真を撮っていたことから、デジカメにおいてもクラシックなスタイルの「写真機」を好み、富士フイルム X100VやX-Pro3、X-T5などを愛用する熱烈な富士フイルムファンでもある。 昨年、ラージフォーマットのGFX50SIIやINSTAX mini Evoも愛機に加わり、ますますFUJI機との日々を謳歌中。

HP:https://kiokucamera.com
Twitter:@KiokuCamera
Instagram:@kiokucamera

対話の主なテーマは、GFXシリーズ。僕も昨年、『GFX50S II』を購入してすっかりその魅力にハマったわけですが(笑)、その大きな理由として「GFXシリーズには、富士フイルムの過去から現在、未来への夢が最も色濃く詰まっている」ということを強く感じたから。GFXシリーズに込めた思いをお聞きできれば、それはひいては富士フイルムさんの未来やXシリーズの未来も見えてくるはず。そんなことを考えながらいくつかの質問と、僕が普段使っているGFXシリーズへの感想なども交えて、コラムvol.3を書き進めたいと思います。

▲『GFX50S II』

GFXシリーズのことを中心に、富士フイルムさんへいろんな質問をしてみました。

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Q1. 記憶カメラからの質問
GFXシリーズを世に送り出してから、富士フイルムさんのなかで、また富士フイルムユーザーの間にどんな“変化”みたいなものを感じられていますか?(写真に対して、カメラに対して、クリエイティブな創作性に対してなど)

A1. 富士フイルムさんからの回答
Xシリーズを使用されているユーザーは、フィルムシミュレーションに代表される色の良さに満足されており、GFXではさらにその色の良さにプラスして圧倒的な解像度(高画質)に驚かれる方が多く、さらにボケ味やダイナミックレンジの幅も魅力的で、他社カメラでは真似できない独自性に惹きつけられている方が増えてきていると感じています。

また、GFXシリーズの登場以来、世界中の写真家さんがプロの現場で素晴らしい作品を残してくれています。それらの作品のおかげもあり、富士フイルム製のカメラ=プロの道具というイメージが以前にも増して受け止められるようになってきたのではと感じています。
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富士フイルムさんの回答が機械そのものの進化のお話以上に“写真の色や奥行き”のお話をされているのが、とても興味深いですね。他社カメラでは真似できない独自性というのは、まさしく『写真屋・富士フイルム』としての他所との立ち位置の違いみたいなものを感じます。

僕もそうですが、Xシリーズの色にそもそも満足していたのが、GFXシリーズを手にしたことでなんともいえない空気感や立体感といった“撮りたかった世界観”を気づかせてもらったような気がしています。そんなユーザーの驚きに、また想像以上の手応えを感じられている富士フイルムさんがいて、機械を語る前に“写真を通して対話”することがカメラやレンズの未来を形作る源泉なんだなとあらためて感じます。

GFX50S II /GF35-70mmF4.5-5.6 WR /F5.6 /1/250秒 /ISO100
フィルムシミュレーション : クラシックネガ

GFX50S II /GF35-70mmF4.5-5.6 WR /F5.6 /1/480秒 /ISO200
フィルムシミュレーション :ノスタルジックネガ

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Q2. 記憶カメラからの質問
GFXシリーズの使い方や楽しみ方で、これは意外とみんな知らないけど“開発者からすると隠れおすすめ的な楽しみ方”(機能、セッティング、撮影方法などなんでも!)みたいなことがあれば、ぜひ参考に教えてください。

A2. 富士フイルムさんからの回答
ご存知かもしれませんが、GFXシリーズはもともと4:3のフォーマットかつ超高画質ということもあり、選択できるアスペクト比が非常に多く、当社が販売してきた中判フィルムカメラで選べるフォーマットや大判の5:4なども含めて撮影時のフレーミングを楽しむことができます。

また、『GFX50S』『GFX100』『GFX100 II』だけが使用可能な別売のEVF用のチルトアダプターも、ウェストレベルや縦位置時でも縦横にチルト可能なので、こちらもフレーミングを楽しむという意味で非常に役立つので、ぜひお使いいただければと思います。
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なるほど!フレーミングの楽しさ。僕は35mmフィルムの慣れもあってデジカメではセンサーサイズに関わらず3:2を好んで使っていたのですが、たしかにGFXシリーズを手にしてからは4:3を含めていろんなアスペクト比で撮るおもしろさを意識し始めたように思います。

GFX50S II /GF35-70mmF4.5-5.6 WR /F5.4 /1/50秒 /ISO500
フィルムシミュレーション :クラシッククローム

ラージフォーマットは、まさしく中判カメラで撮っている感覚を意識することも多くて、辺りの空気の階層みたいなものを微細に感じとりながら一枚一枚をじっくり撮るあのリズム、いかにも中判カメラを彷彿させるあの『GFX50S Ⅱ』のシャッターフィールが、「あ、いま僕は写真を撮っている」というなんともいえない写真を撮る心地よさを思い出させてくれる。(富士フイルムさんとしては、昨今は電子先幕シャッターも主流となり、最新の『GFX100 Ⅱ』のようにさらなる高いレベルでのレスポンス向上に努めているとのこと) チルトアダプターも興味がわいてきましたが、そうすると『GFX100 Ⅱ』の購入?を検討しなくてならないかな……笑。

GFX50S II /GF35-70mmF4.5-5.6 WR /F5.6 /1/100秒 /ISO100
フィルムシミュレーション :PROVIA

GFX50S II /GF35-70mmF4.5-5.6 WR /F5.6 /1/320秒 /ISO100
フィルムシミュレーション :クラシックネガ

GFX50S II /GF35-70mmF4.5-5.6 WR /F5.6 /1/550秒 /ISO200
フィルムシミュレーション :クラシックネガ

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Q3. 記憶カメラからの質問
GFXシリーズ開発陣の皆さんがいちばん多用されているボディ機種、使用レンズ、使用フィルムシミュレーションなどを、よかったら教えてください。

A3. 富士フイルムさんからの回答
個人で使用されている方は『GFX50R』が最も多いと思います。純粋にプライベートで趣味の写真を撮られている方、特に風景写真が多いのではないかと思います。レンズも『GF32-64mmF4 R LM WR』などが多いですが、スタイルに合った50mmや大口径レンズ(110mm、80mm、55mm)も人気があります。

またフィルムシミュレーションはXシリーズも含めて、当社メンバーはいろいろ多用されている方が多いです。特に今回新開発した『REALA ACE』は新たなネガの標準フィルムとして個人的にもいろいろなシーンで非常に満足感を持って使用しています。
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開発陣の皆さんは早くからラージフォーマットに慣れ親しんでいることもあって『GFX50R』が人気なんですね。やっぱり写真好き、カメラ好きなのが伝わってきます笑。レンズは好みによっていろいろとのことですが、僕は純正のフジノンレンズは『GF35-70mmF4.5-5.6 WR』を使っています。かつてのキットレンズのイメージをいい意味で大きく裏切られたというか、その写りの良さに本当に驚いています。とにかく軽量コンパクトで、数値的にはそれほど明るくないレンズなのにびっくりするくらい豊かなボケも堪能できる。大きな声では言えませんが、皆さん、まずはこれ一本あれば大丈夫です(笑)

GFX50S II /GF35-70mmF4.5-5.6 WR /F5.6 /1/400秒 /ISO200
フィルムシミュレーション :クラシックネガ

新開発のフィルムシミュレーション『REALA ACE』は、フィルム時代から富士フイルムを愛用されている人たちの間でとくに話題沸騰中ですね。Xシリーズの最新機種『X100Ⅵ』にも搭載され、夏頃には現行機種などにもファームウエアで提供される予定とのリリースもありましたから、こちらもGFX/Xシリーズ共々、注目ですね。待ち遠しい!

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Q4. 記憶カメラからの質問
GFXシリーズの今後の展望はどんなことが社内で語られているのでしょうか? また、チェキシリーズ、Xシリーズ、GFXシリーズときて、今後さらなる富士フイルム全体の“夢”みたいなことがあれば教えてください。

A4. 富士フイルムさんからの回答
もちろん具体的な製品のことはお話できませんが、当社としてはやはりGFXシリーズをより“一般化”したいと考えています。ハイエンドなプロの現場はもちろんですが、より一般の方々にも手にとってもらえるGFXシリーズになることを期待しています。

また全社としては、当社はフィルムメーカーであることも含め、20周年になるフィルムシミュレーションなど「富士フイルムらしい」と思っていただける商品や特徴を続けて行きたいと考えています。
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GFXシリーズの凄さはまさに、プロが求めるレベルにありながら、僕らのようなアマチュアの写真愛好家でも、価格も含めて手が届く世界が用意されていることだと、本当に実感しています。僕らのように趣味で普段からスナップ撮影を楽しんでいる人間たちは、常に絶景写真を撮るために活動しているわけではなく、それこそ日常のなにげない光景や家族の写真なんかを撮っている。でも、そういう特別に絵になる被写体じゃないからこそ、空気感や色にこだわりたいという思いがある。

そんな日常シーンにラージフォーマットのカメラを持ち出せる世界が用意されていることこそ、富士フイルムを使う醍醐味だと感じています。まさに、富士フイルムさんが言われる“GFXの一般化”。昨年から展開されている『写真幸福論』という思想もまた、GFXシリーズの一般化というこの回答に詰まっている気がしています。

GFX50S II /GF35-70mmF4.5-5.6 WR /F5.6 /1/110秒 /ISO100
フィルムシミュレーション :クラシックネガ

GFX50S II /GF35-70mmF4.5-5.6 WR /F5.6 /1/170秒 /ISO100
フィルムシミュレーション :ACROS

カメラは写真を撮る道具ですが、そこに写るものは撮り手の心情や人生そのものであり、そういう意味ではとても人間くさいプロダクトだと思います。そうした人間らしい“人柄”だったり“個性”、喜怒哀楽みたいなものがいちばん色濃く感じるのが、僕にとっての富士フイルムでもあります。GFXシリーズはまさに、そんな“らしさ”が挑戦も含めて凝縮されたカメラ。その未来は、僕らの人生の未来でもあるような気がして、本当に楽しみでなりません。

GFX50S II /GF35-70mmF4.5-5.6 WR /F22 /1/5秒 /ISO100
フィルムシミュレーション :PROVIA

GFX50S II /GF35-70mmF4.5-5.6 WR /F5.6 /1/1400秒 /ISO400
フィルムシミュレーション :クラシックネガ

さて、GFXシリーズをテーマに、それに関連するXシリーズの話や富士フイルム全体の話を富士フイルムさんに質問するかたちでコラムをお送りしてきましたが、いかがだったでしょうか。実は僕から質問した数はもっといっぱいありまして……、すべてを紹介していたらさすがに文字数が膨大になるので、今回は4つの質問&回答に厳選させていただきました。

素人のふわっとした質問に、回答しづらいことも含めて時間をかけてしっかり回答してくださった富士フイルムさんには本当に感謝いたします。なかなか一般ユーザーがこうして開発者の方々に質問させていただく機会などはありませんが、「ファンとの対話の一環になれば」とコラム3回シリーズにわたって、富士フイルムのこれまでとこれからのことをお聞きすることができ、ちょっとだけファンみんなの代弁役を担えたかなと思っています。

GFX50S II /GF35-70mmF4.5-5.6 WR /F5.6 /1/1800秒 /ISO400
フィルムシミュレーション :クラシックネガ

僕のコラムはこれでおしまいとなりますが、僕の富士フイルム生活はもっと興味津々で奥深いスタートになる気がしています(笑)。そんな様子はまたいつも通り、ブログ『記憶カメラ』のほうで綴っていきますので、どうぞそちらのほうもよろしくお願いします。

それではまた、いつかこの場所でお会いしましょう。より濃密な富士フイルム愛をみんなで持ち寄って!

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