“瞬きをするようにシャッターを切ろう。「X-E3」と一緒に。”- 写真家・渡邉真弓 vol.01
カメラを始めてから日々の暮らしがすこし変わった。
行きかえりの道に咲く花が可愛かったり、空は毎日同じではないこと。
ファインダーを通して見る私の世界は、ささやかな発見の連続だ。
海の見える駅で降りてみようと思った。
もうすっかり夏どころか秋も終わりかけ。
波も風もごうごうと鳴っていた。
初めて降りる駅。初めての場所。
いつもなら、スマホの地図を片手に最短距離のルートを歩く。
迷わず効率よく目的地まで。
でも今日は、カメラを片手にのんびり歩いてみよう。
私の心が惹かれて出会うモノやコトが、ルートを自然と決めるだろう。
今日は「X-E3」と一緒。
レンズは「XF23mmF2 R WR」をセレクト。
広角23mmのレンズで見る世界は、自分の目で見る世界よりちょっと広くてゆったりとしている。
赤い花に惹かれて近づくと葡萄がなっていた。
なぜ葡萄がここに?と思わず立ち止まる。
「XF23mmF2 R WR」は最短撮影距離が22cmだから、
本当はもっと近づけるけれど、
赤い花と葡萄が終わりかけの秋をまだねばっている感じにキュンときて、
この距離感にした。
空を自由に泳げたら。
そんなことを思いながら、ファインダーを覗く。
なんやかんやと毎日いろいろあって、あっという間にすぎていく。
でも、カメラと一緒にいるときは、いろんなことがシンプルになって、
時間の流れがいつもよりゆったりするように思う。
「X-E3」のオートフォーカスの組み合わせは、自由に泳ぐ彼らをしっかり捉えてくれた。
心の赴くままに、ぐんぐん歩く。
E3は337g。 XF23mmF2 R WRは180g。
カメラとレンズで約500g。
重さが気にならない。
秋の光はせつない。
そして透明感がある。
フィルムシミュレーションは『クラシッククローム』をセレクト。
せつなさや透明感がさらに増す。
可愛い出会い。
私の姿を見ると、ささっと隠れてしまった。
そのまま見守っていると、ゆっくり顔をちょっとだけ出した。
驚かせないように無音シャッターを使う。
坂道を降りていく鴨にも遭遇した。
こちらは堂々とした歩きっぷり。
夕陽に照らされる道端の花に勇気をもらう。
最後はまた海にたどり着いた。
波はシャッターを切るたびに全然違う表情を見せてくれる。
ごうごうとした風や波は、この駅に降り立ったときと同じだけれど、
無心でファインダーを覗くうちに、空は優しく暮れていった。
またここに来るとき、私はどんなことを思うのだろう。
そして、風や波や空は、どんな顔を見せてくれるのだろう。
また新しい景色を見よう。
「X-E3」そして「XF23mmF2 R WR」と一緒に。
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