フィルムシミュレーション『ASTIA』で撮るベストショット〜mei・山根悠太郎・渡邉真弓〜
Xシリーズを愛用しているフォトグラファーさんに、各フィルムシミュレーションで撮影したベストショット2枚と、そのフィルムシミュレーションに感じている魅力や自身の想いをご紹介していただく本企画。今回は、やわらかい階調表現と彩度の高さをあわせ持つフィルムシミュレーション『ASTIA』について、meiさん(@4_adiantum7)、山根悠太郎さん(@yutaroyamane)、渡邉真弓さん(@ allo_mayumi)に語っていただきました。
ASTIA ①:mei
ASTIAは色彩の華やかさや画面のメリハリをしっかり保ちつつも、
ハイライトを抑えた優しい写りに仕上げてくれるので、
お花を写す時には必ずと言ってよい程に使う大好きなフィルムシミュレーションです。
一枚目は初夏の日の紫陽花。
紫陽花というとしっとりとしたシチュエーションを狙いがちなのですが、
それとは正反対の陽を燦々と浴びる姿も美しく、思わず足を止めました。
足下に咲く松葉菊のハツラツとした色が背景にあることで、
主役に据えた一朶の淡い青紫が霞んでしまうかと心配もしましたが、
ASTIAを使うことで上手く画面がまとまりました。
穏やかな印象を出しつつ、青や緑は深めに色を表現してくれるところも
このシミュレーションのお気に入りポイントです。
二枚目は夕方の空に揺れる藤の花。
西陽が差しこみ光に透けた花弁のきらめきや、
長く伸びた花房が風にふわりと揺れる淑やかな春の空気感を
ASTIAが一層効果的に引き出してくれたと思う一枚です。
この日は雲が多く、僅かな色付きだった夕焼け空の美しさも
しっかりと写し込むことができました。
コントラストと彩度はきちんと出てくるフィルムシミュレーションなので、
レタッチの際にテクスチャ補正をマイナスにかけてもぼんやりとしすぎず、
適度に柔らかな雰囲気に仕上がるのも魅力です。
ASTIA ②:山根悠太郎
『X-Pro2』を使用するとき、カラーならASTIA、モノクロームならACROSを選びます。
ASTIAは、彩度のバランスの良さとVelviaに比べて程よくローコントラストなところが気に入っています。拾いにくいニュアンスカラーもすくってくれるのでRAW現像時もとても便利。少し色飽和しやすい印象なので、彩度(特にグリーン)を少し引くのが個人的に好みです。
この日は京都に旅行で訪れていて、ちょうど桜が満開のお花見シーズンでした。春らしい陽気な空気感を写し出したくASTIAで撮影しました。
1枚目、鴨川沿いを颯爽と駆け抜けるおじさんと風に揺れ可愛らしく踊る枝垂れ桜がとても良かったです。
トリミングしていないので大きくプリントしても良さそうだなと思いました。
2枚目は京都駅構内で撮影しました。
海外からやってくる観光客がとても多くここは本当に京都なのかと疑うほど、どこを見渡しても外国の方だらけ。そんな光景がとてもシュールでなんだかクスッと笑えてきた時の一枚です。
Profile
ASTIA ③:渡邉真弓
ASTIAはよく使うフィルムシミュレーションのひとつ。
軟らかい階調でありながら、しっかりと発色するのがお気に入りのポイント。
Xシリーズのカメラと出逢った2014年からずっと使い続けています。
ベストショット1枚目は、窓際の風景。
窓から海が見えるこの風景が大好きで、行くたびに何度も撮影しています。
外は明るく室内は暗い。明暗差の激しいシーンですが、DR400とASTIAの色乗りの良さのおかげでしっかりと表現することができました。
この繊細な表現を“撮って出し”でできるのが、Xシリーズの魅力でもあります。
ベストショット2枚目はダリアの中にカエルがひょっこり!な可愛いシーン。
お花はASTIAで撮ることが多いです。ホワイトバランスシフトで青みを少しプラスし、さらに前ボケを入れて物語性を演出しています。