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Special 2024.09.06

フィルムシミュレーション『ACROS』で撮るベストショット〜片岡三果・高橋優里・星野翔〜

Xシリーズを愛用しているフォトグラファーさんに、各フィルムシミュレーションで撮影したベストショット2枚と、そのフィルムシミュレーションに感じている魅力や自身の想いをご紹介していただく本企画。今回は、モノクロながらディテールの再現が得意で、“美しいモノクロ”を目指して設計されたフィルムシミュレーション『ACROS』について、片岡三果さん(@mikachu0720)、高橋優里さん(@ you43n_stilllife)、星野翔さん(@ shocha_photography)に語っていただきました。

ACROS ①:片岡三果

早朝にParisのホテルをチェックアウトしモン・サン・ミッシェルへ向かうも、バスが見つからず、電車は乗り継ぎが多く、長期ストライキの影響もあり断念。

旅の目的だったふわふわオムレツも諦めざるを得ず、再び今朝と同じホテルに戻ることに。失意の中、チュイルリー庭園で少年と犬に出会い、気持ちが少し軽くなった。モン・サン・ミッシェルにはまた行けるはずと感じ、今回の旅が新たな瞬間との出会いに導かれたものだと受け入れる。

使用しているモノクロフィルム“ACROS”の質感が、ヨーロッパの風景にぴったり合い、旅の思い出を鮮やかに閉じ込めた一枚に仕上がった。

その土地に降り立つとき、その時の空気感でフィルムシミュレーションを想像し、その旅中はだいたいそのフィルムシミュレーションで過ごす。

ACROSを選ぶときはややコントラストを強めたいので、+Yeのフィルターモードを。

X-T2 /XF35mmF1.4 R /F1.4 /1/6400秒 /ISO800
フィルムシミュレーション:ACROS +Yeフィルター

出産直後に自分で娘のファーストショットを撮りたかったが、分娩室での撮影は禁止されていたため、ASTIAに設定していたカメラを夫に渡し、代わりに別室で子の計測時に撮影。

わたしは麻酔が強く残り、再び娘に会えたのは8時間後だった。そこでようやく自分でシャッターを。お気に入りのACROS+Yeフィルターで撮影。

後で見返しても、その時の空気感がそのまま閉じ込められているような一枚に仕上がる。

これから何千、何万枚も娘を撮る中でファーストショットはこれ1枚。

このファーストショットには、その時のさまざまな感情が込められている。

X-T4 /XF16-55mmF2.8 R LM WR /F2.8 /1/58秒 /ISO200
フィルムシュミレーション:ACROS +Yeフィルター

Profile

片岡三果

北海道三笠市出身 絵画を描く気持ちで写真を表現する写真画家。
FUJIFILM X photographer。 漫画家の両親、大叔父が油絵画家という家庭環境で育ち、幼い頃から美術、デザインを学ぶ。 写真を通して一期一会を忘れないよう、自分史を提案し撮った写真をプリントして楽しむことを大切にしている。 国内外での写真個展、写真集の独立出版多数。

2024年初春の始まりの時、母になる。

Web:https://kataokamika.com/
Instagram:@mikachu0720
note:https://note.com/kataokamika/

ACROS ②:高橋優里

部屋に花を飾る時に色は癒しであるのに対して、写真を撮る時は色による先入観や情報を排除することでさらなる心地よさを感じさせてくれます。

茎が描く曲線美。花びらの艶やかな質感。朽ちていく儚く美しい姿。色があることで気が付かなかった魅力がACROSで撮った写真にはたくさん写っていました。

とくに、細かいディテールをACROSの豊かな階調がより美しく描写してくれます。彫刻のような立体感や陰影の美しさ、シルクを纏ったようなとろみのある柔らかさも表現できる。絵の具でベタ塗りしたような黒や、墨で描いたような繊細な階調も出せる。そんな幅広い表現力がACROSの好きなところです。

ベストショット1枚目の基本設定は、レッドフィルター/ハイライト +4/シャドウ +4/高感度ノイズ低減 -1。くるくるした可愛らしい姿のガーベラには、秘められた強い生命力を感じたので力強さに比重を置きたくこの基本設定で撮影。

X-E4 /XF35mmF1.4 R /F3.6 /1/105秒 /ISO320
フィルムシュミレーション:ACROS

2枚目の写真は花びらがふんわりと開いていく過程。シルクのような艶めかしさや、クリームのような柔らかさを感じたので基本設定を少しカスタム。モノクロームカラーをWC +1/MG -1にして温かみをプラス。グレイン・エフェクトは“弱”“小”に。シャドウ部分のディテールもしっかり感じられ、しなやかさが増します。

X-E4 /XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro /F8.0 /1/240秒 /ISO320
フィルムシュミレーション:ACROS

目の前のものに没頭して、リラックスできるACROS。デトックスや瞑想のような魅力も感じずにはいられません。

Profile

高橋優里

フォトグラファー
仕事でコーヒーに携わるようになったことと、Xシリーズのカメラに出会ったことをきっかけにテーブルフォトやstill life(静物)を撮り始める。現在はバリスタとして勤務する傍ら、休日にリビングの一角で花やコーヒーなど身の回りの好きなものを撮影して楽しんでいる。

Web:http://you43n.wixsite.com/yuritakahashi
Instagram:@you43n_stilllife
note:https://note.com/yuri_takahashi

ACROS ③:星野翔

僕は色彩豊かな自然の中で敢えてACROSを使うことがあります。同じようなフィルムシミュレーションである“モノクロ”と比べると、シャープでシャドウ部はより締まり、白黒の階調がより緩やかに感じられる特徴があります。これが自然風景と相性が良く、僕がACROSを選択する理由の一つです。また+Ye/R/Gフィルターを使うことで特定の光の波長域をカットし、同じ白黒写真でも風景に合わせて違った表現をすることができるのも面白さの一つでもあります。

1枚目は霧の湿原。カラーでは感じられないような感覚が伝わるでしょうか。複雑な木々の重なり、ラインや質感、霧に浮かぶ木々のシルエットや草の葉一枚一枚に存在感がプラスされ、植物たちが感じ取っている”光”をACROSがしっかりと表現してくれています。普段はカラーで撮ってしまいがちな場面でもACROSを使うことで、また違った視点で彼らを見ることができると僕は思っています。

GFX100S /GF45-100mmF4 R LM OIS WR /F16.0 /1/8秒 /ISO400
フィルムシミュレーション:ACROS

2枚目は冬の作品。雪庇(せっぴ)や背景にある雪の斜面のラインとワンポイントで霧氷の木を配置することでアートな作品に仕上げることができました。こういった場面でもACROSとは非常に相性が良く、見せたいラインや木のディテールをシャープに表現してくれます。

GFX100S /GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR /F22.0 /1/500秒 /ISO200
フィルムシミュレーション:ACROS

Profile

星野 翔

森の写真家
長野県を中心に活動する写真家。車中泊をしながら四季折々の日本を走り回り、幻想的な森の風景を撮影している。その他、海外の風景写真ウェブマガジンへの執筆も定期的に行っている。”無形から有形へ”をテーマに、形のないデジタルデータを実際にプリントして飾るまでを重要視しており、2021年「森ノ聲」、2022年「AMBIENT」と2年連続で個展を行い、同時にフォトブック「AMBIENT」を出版。通年で行っている自身のワークショップでは、森の撮影からプリントまでのノウハウを指導している。

Twitter:@shochacamera
Instagram:@shocha_photography
Web:https://www.shohoshinophotography.com/

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