冬限定!雪の日に向けて覚えておきたいこと〜Photoli’s Tips vol.5〜
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IRODORIの読者の皆さん、こんにちは。Photoliフォトグラファーの藍嶋しおです。
Photoli(@photoli_info)は、写真の楽しさをたくさんの人に広めることを目的に、写真を撮るコツや撮影のアイデアを発信しているメディアです。
この連載では、意識すると少し写真が上手に撮れるようになるかも?というアイデアを、みなさんにわかりやすくお伝えしてきました。
最終回である今回は、北海道在住の私が“雪の日の撮影のコツ”についてお届けします。
私は生まれも育ちも北海道の生粋の道産子なのですが、そんな私でも冬が訪れるたびに、窓から見える雪景色やしんしんと降る雪の美しさに懲りることなくうっとりしてしまうものです。
しかし、そんな美しい風景を写真に収めようといざ撮ってみると、降る雪がうまく写ってくれないということがよくありました。
読者のみなさんの中にも以前の私のように、「せっかく雪が降ったのにうまく写らなくてタイミングを逃してしまった」「そもそも雪の日にカメラを外に持ち出していいのかわからない」など、さまざまな壁にぶつかって雪撮影を断念してしまう方も少なくないのではないでしょうか。
一度断念してしまった方も、これから初めて撮る方も、基本のポイントを押さえて雪の日に備えましょう!
雪を撮影するコツ
降っている雪を撮る際のポイントは、以下の3点です。
①F値を小さくする
②フラッシュを使う
③背景に暗い色を持ってくる
文字だけではイメージがつきにくいと思うので、ひとつずつ作例を交えながら詳しくみていきましょう。
①F値を小さくする
F値は、レンズに取り込む光の量を表す値で、ボケに大きく関係するものでもあります。
雪を撮影するときになぜF値を小さくする必要があるのかというと、ピントを合わせた被写体の手前に降る雪を大きくボカす表現ができるからです。
次の2枚の写真はそれぞれF4.0、F1.4で撮影したものです。
F4.0で撮影したものよりも、F1.4で撮影したものの方が、手前の雪が大きくボケて写っています。
F値はレンズによって変化させられる範囲が決まっているので、現在お持ちのレンズで最も低い値に設定してみてください。
降っている雪の量が少ないときは特に写りにくいのですが、F値を小さくしてあげることで改善することが多くあります。
今回は降る雪の写りやすさに重点を置いているので、F値を小さくすることをおすすめしていますが、表現のひとつとしてあえてF値を大きくする方法もあります。余裕があるときは、ぜひF値を変化させながらお好みの写りを研究してみてください!
②フラッシュを使う
フラッシュを使うと、雪が光を反射して、より白く鮮明に写すことができます。
今回、私は外付けのフラッシュ『クリップオンフラッシュEF-42』を使っていますが、もちろんカメラに付属しているものでもOKです!
フラッシュを使うとどのような写りになるのか、実際に見てみましょう。
まずは明かりのない場所で撮影した場合です。
フラッシュを使わないとほぼ降る雪は写りませんが、フラッシュを使うと雪が白く反射して写ります。
続いては、街灯などの明かりのある場所で撮影した場合です。
フラッシュを使わなくても街灯の光が届く範囲の雪は写っていますが、フラッシュを使うことで街灯の光が届かない手前の雪まで写すことができます。
フラッシュの有無でかなり写り方が違いますよね。
暗い場所でも明かりがある場所でも、まずはフラッシュを使うということを覚えておくと迷わずに撮影できると思います◎
③背景に暗い色を持ってくる
最後に背景について。雪撮影の背景選びで重要なのは、色です。
背景に“暗い色”を置くことで、白い雪をより綺麗に見せることができます。
以下の写真を見ると、上部の明るい色の部分よりも、下部の暗い色の部分の方がより細かい雪まで鮮明に写っていますよね。
背景を暗い色にする最も簡単な方法は、夕方〜夜の時間帯に撮影することです。
わざわざ暗い色の背景を探さなくても、暗くなった空がその役割を担ってくれるのです。
①と②ができていても、背景選びを間違うとうまく写らないことがあるというほど大切な要素なので、しっかり押さえておいてください!
雪を撮影するときに気をつけたいこと
カメラの防水対策
雪は雨よりも濡れない印象があるため、雪の日にカメラをそのまま持ち出したという経験がある方も多いのではないでしょうか。
たしかに雨と比較して雪はすぐに濡れることは少ないですが、時間が経てば当然溶けて濡れていきます。そのような濡れによるカメラへの影響を防ぐためには、レインカバーを使用すると安心です。
レインカバーを持っていない方は、カメラ全体を覆うようにタオルを巻きつけるだけでもOK。
なお、フラッシュ撮影をする際に不要な影が出る場合があるので、この写真を撮った瞬間ではレンズフードを付けていなかったのですが、レンズ保護などのため、撮影の際には基本的にレンズフードを付けておきましょう。
撮影中に雪でレンズが濡れると写真に滲みやぼやけが生じることもあるので、吸水性の高いクロスなどでこまめに拭いてあげると良いでしょう。
また、雪が降っているときはカメラ内部に雪が入ってしまう可能性があるので、外でのレンズ交換は避けてください。
レンズ・カメラ内部の結露
寒い場所から暖かい場所に入ると、寒暖差でレンズやカメラの内部が結露することがあります。
急激な温度変化による結露はカメラやレンズの不具合につながる可能性があるので、都度カイロで温めたり、こまめにレンズを拭くなどの対策をしましょう。
バッテリーの消耗
気温の低い屋外ではバッテリーの消耗が激しくなり、「まだ撮りたいのに充電が切れてしまった」なんてこともよくあります。そんな寒い日の撮影には、予備のバッテリーを持っておくと安心です!
最後に、道民の私がおすすめしたい防寒対策は、インナーを暖かいものにして隙間風を防ぐことです。内側から暖かくなると持ちが段違いです!
寒さに耐えられない服装では撮影にも身が入らなくなってしまうので、しっかり防寒対策をして撮影に出かけましょう!
雪の日におすすめの被写体
いつも目にしている見慣れたものや景色も、雪の日はまた違った表情を見せてくれます。
降る雪だけでなく、雪の日だからこそより魅力的に写るものたちも知っておくと表現の幅が広がること間違いなしです。
雪の日におすすめの被写体をいくつかご紹介するので、撮影のイメージを膨らますためにぜひ参考にしてください◎
撮ってみたい被写体はありましたか?撮りたい被写体を見つけておくと、急に雪が降ってきたときでもスムーズに撮影に移ることができます。
難しいと思われがちな雪撮影も、基本のポイントを抑えれば怖くありません。
今回紹介した3つのポイントを頭に入れながら、思う存分雪撮影を楽しんでくださいね◎
この記事を読んでくださったみなさんの雪撮影への不安を、少しでも解消できていれば嬉しいです!