富士フイルムXシリーズとそぞろ歩き〜フィルムシミュレーション『クラシックネガ』と六本木・表参道へ〜
フィルム時代から90年以上に渡って色彩表現を追求・研究してきた富士フイルムならではの、20種類のフィルムシミュレーション。今回は、フィルムカメラで撮影したような、どこか懐かしく情緒ある表現が特徴の『クラシックネガ』で写真を撮りながら、六本木から表参道までそぞろ歩きしてきました。
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今回の集合場所は、六本木駅直結・東京ミッドタウンにある『フジフイルム スクエア』。“こころ彩るところ”をコンセプトに掲げる、富士フイルムの複合型ショールームです。
1階には、写真ギャラリーのほか、GFX・Xシリーズ、交換レンズなどの最新製品をタッチ&トライできるコーナーがあったり……
アンティークカメラや富士フイルムの歴代カメラなどが展示されている『写真歴史博物館』があったりします。
『写真歴史博物館』では毎日15時から、富士フイルムで写真製品の研究・開発・技術サポートに長年携わったOB “フジフイルム スクエア コンシェルジュ“によるガイドイベントが開催。貴重な史料や分かりやすい解説と共に、写真技術の歴史やちょっとした雑学など、15分ほどの短時間ながら濃厚な知識を得ることができます。
と、せっかくなので色々と楽しんでしまいましたが、用事があるのは2階の『イメージングサービスカウンター』。
ここでは、デジタルカメラや交換レンズの修理・メンテナンスサービスのほか、Xシリーズのトライアルサービスも行なわれているのです。
受付の方にお話を伺い、『X-H2』と『XF18-55mmF2.8-5.6 R LM WR』『XF30mmF2.8 R LM WR Macro』をレンタルすることにしました。
まずは、観光客にも人気の六本木交差点へ。『クラシックネガ』によって低彩度に写った都会の景色が、妙に感情を揺さぶります。年末のもの寂しさも影響しているのでしょうか。
時刻は16時少し前。あまりにも美しい夕陽だったので、少しだけティーブレイク。冬の夕暮れを味わいます。
さて、六本木通りを右に曲がり、秘密めいた階段を降りると、六本木トンネルに出ます。
「あの夕陽から10分しか経っていないのに、空の色が全然違うね」「この前見たサスペンスドラマに六本木トンネルが映っていたよ」。カメラを手にして歩くと、何かと話題にこと欠きません。
六本木トンネルを抜けると、右手は国立新美術館、左手は青山霊園です。
霊園のそばは、暗くなるとほんのり怖い。青緑色が強めの『クラシックネガ』で撮るとホラーちっくな仕上がりで、この通りを歩く時の気持ちを的確に表していると感じたのでした。
青山一丁目駅の交差点に出て、左へ。少し早歩きで進みます。
というのも、暗くなる前に明治神宮外苑いちょう並木に行きたかったから。時刻は16時45分頃、ギリギリ間に合いました! 天高く伸びる木々、移ろう空模様、そしてぼんやりと明かり灯る外苑前の入り口の組み合わせで、欧州を彷彿とさせるような一枚が撮れました。
そのまま青山通りを道なりに。都心の冬の夜は、電飾でおめかしして、いつもと異なる表情を見せてくれます。
手前にピントをあわせて背景をぼかしたり、あえてピントを完全に外してみたり、“玉ボケ”の表現を楽しむことができます。
ところで今回レンタルした『X-H2』。軍艦部にあるサブ液晶モニターがとっても便利。シャッター速度、絞り、露出補正表示、ISO、フィルムシミュレーション、ホワイトバランス、画像サイズ、撮影モードがパッと確認できるのです。
寒くて体がこわばってきましたが、「良い景色が撮れそう」とビビッときて、歩道橋からの景色を望むことにしました。
その勘は大当たり。夕刻、六本木から表参道へ歩いていけば、薄明の空を堪能できることに気づきました。
終点は、イルミネーションで輝く表参道。ど定番ですが、あえて『クラシックネガ』で撮るというのがミソです。温かみある照明の彩度が抑えられ、シックな雰囲気へと仕上がるからです。
どこを切り取っても素敵に写るからこそ迷います。どの場所・どの角度で撮るのが良いだろうかと周囲をぐるりと観察。
「ちょっとあの道にも行ってみようか」。煌めく世界を目前に、いつの間にか体力回復。この日はいつもよりも少し長めに楽しんでから、それぞれ帰路に着きました。
model ハンナ
photo by Mio Tangstad
text by 編集部Y