フィルムシミュレーション『PRO Neg. Hi』で撮るベストショット〜クロカワリュート・渡辺未知〜
Xシリーズを愛用しているフォトグラファーさんに、各フィルムシミュレーションで撮影したベストショット2枚と、そのフィルムシミュレーションに感じている魅力や自身の想いをご紹介していただく本企画。今回は、やや鮮やかな色彩が特徴で、メリハリをつけたいシーンにおすすめのフィルムシミュレーション『PRO Neg. Hi』について、クロカワリュートさん(@ryuto_kurokawa)、渡辺未知さん(@photomichi)に語っていただきました。
PRO Neg. Hi ①:クロカワリュート
フィルムシミュレーションって、使っている人それぞれのマイブームがあると思うんです。
最近クラシックネガを使いがち、とかなんだかんだPROVIAいいよね、とか。
僕でいうと、PRO Neg. Hi に戻ってくる頻度はかなり多いです。
普段はスタジオで人物や商品を撮ることが多いですが、プライベートでは割となんでも気の向くままに撮るんです。
なので汎用性のあるフィルムシミュレーションに設定することが多い。
でも少しだけ、ほんの少しクセがほしい。そんなときにぴったりなのがPRO Neg. Hiなんです。
今回ご紹介した作例はまさにそれ、ぜんぜん違う雰囲気の写真ですよね。笑
静的で心象的な夕暮れも好きですし、闇夜を駆けるスポーツカーのテールランプもたまらない。
PRO Neg. Hiはどんな写真でも割とハマってくれるんです。
特徴としては、やや硬め。コントラスト高め。
ぐっと立体感が増すイメージ。
でも彩度は高くないので、強すぎない。落ち着きも含んだ質実剛健な画作りです。
PRO Neg. Hiを当てて終わり、でもいいですし、PRO Neg. Hiをスタート地点として現像しても楽しいですね。
味付けの濃いめなフィルムシミュレーションも楽しくなってアレコレ使って、でもまた結局戻ってきてしまうのはPRO Neg. Hiだったりします。
PRO Neg. Hi ②:渡辺未知
フィルムシミュレーションには、表現意図に合わせてこまめに切り替えられる利点と、豊富な選択肢の中から自分に合う1つを見つけ、常用にできる利点があります。私の使い方は後者。Xシリーズを手にして以来ほとんどの写真をPRO Neg. Hiで撮影しています。控えめで上品な色調と程よいコントラストが特徴のPRO Neg. Hiは、私が作風としている“さりげなく、深い写真”にぴったりです。
こちらは、ロンドンの古いパブで撮影したウェディングフォト。窓から差し込む強い光と室内の仄暗いタングステンがせめぎ合う難しい環境でしたが、透明感のある色合いと人物や物の明確な存在感が際立つ、PRO Neg. Hiらしい1枚に仕上がりました。夢のようなシーンをより美しく、なおかつ「夢じゃない」と思わせるリアリティをもったイメージで残せるところがPRO Neg. Hiの魅力。まさしくそれは“さりげなく、深い写真”の魅力そのものといえます。
『X-T5』の試写を兼ねた“JPEG撮って出し”の1枚。オールドローズのシックなピンク色と折り重なる花びらの立体感は、やはり秀逸。さらにスムーススキン・エフェクトをONに設定することで諧調に“しっとり感”が加わり、バラの甘い香りまで写真に込めることができました。