写真の構図に迷う初心者必見!基本のカメラ構図10種類と活用例を紹介【Snap & Learn vol.12】
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【Snap & Learn】の連載企画では、一般によく知られている写真の撮影テクニックやカメラ関連の専門用語を集め、初心者の方にも理解しやすいように作例やイラストを用いて解説しています。
「写真を撮るといつも同じような印象の写真になってしまう」「SNSで見かけるようなすてきな写真を撮りたいけれど、方法がわからない」と悩んでいませんか?実は、構図を意識することで写真の仕上がりは大きく変わります。
本記事では、写真を撮るうえで覚えておきたい構図を10種類解説します。それぞれの特徴を理解することで撮影の幅が広がり、状況に応じた適切な構図を選べるようになるでしょう。
ここから選べばOK!写真を上手に撮るための基本構図10種類
写真撮影において、構図を意識することは欠かせません。まずは、10種類の基本構図について理解を深めましょう。さまざまな構図を使いこなして、写真の完成度を高めてみてください。
画角をマスターして理想の写真を撮影しよう!初心者向けにレンズも紹介【Snap & Learn vol.11】
三分割法:絵画やデザインにも使われる定番構図
三分割法は、画面を縦と横に3等分し、その分割線上や交点に被写体を配置する構図です。全体のバランスを保ちながら被写体を効果的に際立たせられる、写真撮影においては基本中の基本ともいえるポピュラーな構図です。
たとえば風景を撮影する場合、画面を横に3等分した分割線のうち下側の線に地平線を沿わせて撮影すると、地面と空の割合が1:2になることで空の広大さが際立ち、バランスの取れた写真になります。
二分割法:対比や対称性を強調する構図
二分割法は、画面を上下または左右に2等分し、どちらか一方のセクションに被写体を配置する構図です。この構図では視線が自然と被写体に集中するため、余計な情報(視覚的なノイズ)を省きやすくなっています。また、写真全体がスッキリと整理されることで、安定感や落ち着いた印象を感じる写真に仕上がります。
たとえばポートレート撮影の場合、画面の片側に被写体を配置し、もう片側に空間(余白)を持たせることで、被写体の表情や動きをより引き立てられるでしょう。
日の丸構図:見る人の目を自然に引き寄せられる構図
日の丸構図は、被写体を画面の真ん中に配置する構図です。写真の中で何が主役なのかがパッとひと目でわかるほど、視線の中心を明確にできることが魅力です。
中央に配置された被写体は、見る人の目を自然と引き寄せるだけでなく、強いインパクトも与えます。
たとえば建物を撮影する場合、その正面を画面の中央に捉えることで建物のデザインや特徴が際立ち、全体の美しさや魅力を効果的に伝えることが可能です。
額縁構図(フレーム構図):枠内の被写体を強調
額縁構図(フレーム構図)は、被写体の周囲に窓枠や門、木の枝などを写し込み、被写体が額縁の中に収められているかのように見せる構図です。見せたい被写体に視線を誘導することはもちろん、額縁の役割を果たす素材との対比により『写真に奥行きが出る』『引き締まった印象になる』などの効果も引き出せます。
たとえば風景を撮影する場合、手前にある木々や枝葉を自然の額縁に見立ててその中に山を捉えれば、写真に立体感が生まれ、風景の美しさがよりいっそう引き立つでしょう。ただし、枠となる素材が主役を圧倒しないようバランスには注意が必要です。
トンネル構図:明暗の差を活かした構図
トンネル構図は、洞窟やトンネル、アーチ状の木々や構造物などで被写体を囲む構図です。視線を中央の被写体へと誘導する効果があります。
たとえば洞窟の内側から外の景色を撮影する場合、洞窟をフレームとして画面に収めながら外の夕日に染まる風景を捉えれば、洞窟内の暗闇と外の明るい光が対比され、幻想的な写真が撮れます。
撮影時は『明暗の差を活かすこと』『奥に位置する被写体にピントを合わせること』『被写体とそれを囲む素材とのバランスを工夫すること』が、写真の魅力を引き立てる重要な要素です。
対角線構図:スピード感や躍動感を与える構図
対角線構図は、画面の中に対角線をイメージし、被写体を斜めに配置する構図です。写真に動きや奥行きを生み出し、スピード感や躍動感を効果的に演出できます。
たとえば、次のような被写体の撮影に適しています。
● 水の流れや風にそよぐ鯉のぼりのように動きのある被写体
● 道路や並木道のような直線的な風景
● 整然と並んだ建物や小物、雑貨
対角線構図を活用することで、単調になりがちな被写体やシーンにも変化をつけられ、より魅力的な写真に仕上げられます。
放射線構図:写真に奥行きをもたらす構図
放射線構図は、画面の一点から複数の線が放射状に広がっているように見せる構図です。視覚的な焦点を生み出すことで写真に奥行きや広がりを持たせられ、迫力や躍動感を与える効果があります。長く続く道路や高層ビルが連なる都市風景などの撮影に有効です。
人物のポートレートでは放射状の線が集まる一点にモデルを配置することで、被写体の存在感を強調できます。うまく活用できれば、視覚的にインパクトのある印象的な写真を作り出せるでしょう。
三角構図:バランスの取れた美しい構図
三角構図は、画面の中に三角形をイメージして被写体を配置する構図です。
たとえば食事のシーンでは、サラダ・メイン料理・デザートの3つの被写体を並べる際に三角形を意識することで、写真全体がバランスの取れた印象になります。また、メイン料理を中心に置いて付け合わせやドリンクを三角形の頂点に配置する場合、メイン以外の被写体や背景をボカすことで、メインを際立たせつつ奥行きのある写真が演出できるでしょう。
三角形は、正三角形に限らず不等辺三角形などでも同様の効果が得られるため、幅広いアレンジが可能です。
シンメトリー構図:視覚的な安定感をもたらす構図
シンメトリー構図は、画面の上下または左右が対称になるように被写体を配置する構図です。歪みがなく、まるで鏡に写したかのように対称的なこの構図は、自然界や建築物など日常的なシーンにも多く見られます。バランスが良く安定感があるため、視覚的に心地よいと感じることが多いでしょう。
特に建築物や橋、水辺などでの撮影に適しており、水面やガラスの表面などに被写体を反射させて写すリフレクション撮影にも効果的です。シンプルでありながらも、写真に深みと洗練された魅力を加えられます。
曲線構図:奥行きと柔らかさを与える構図
曲線構図は、画面の中にS字やC字状の曲線を描くように被写体を配置する構図です。
川の湾曲や山間の道などの撮影に適しており、自然が生み出したカーブを活かすことで写真に動きと奥行きを表現できます。また、なだらかな曲線のように柔らかく優美な印象を与える効果もあります。
ポートレート撮影ではモデルの体のラインを活かしたポーズを取り入れること、料理の撮影では皿や食材を曲線的に配置することで視線を誘導し、作品にリズム感を加えられます。
写真の構図をマスターするための4つのポイント
写真撮影にどの構図を取り入れるにしても、使いこなすためには基本を理解し、実践を重ねることが大切です。ここでは、構図をマスターするためのポイントを4つ解説します。
理想の写真を参考にして何度も練習
構図をマスターする第1歩は、理想とする写真を見つけて手本にすることです。好きな写真家の作品や雑誌、SNSなどで見つけた気になる写真など、良いと感じた写真のマネをしながら練習を重ねましょう。
同じ被写体やシチュエーションを試しながら、自分の写真と手本を見比べれば、改善点や新たな発見が見えてきます。繰り返し練習し、少しずつ修正を重ねることで構図の基本が自然と身につき、自分らしい表現へとつながるでしょう。
グリッド線を活用して構図を決定
グリッド線は、カメラの画面に表示される縦と横の補助線で、構図を整える際に非常に便利なツールです。活用することで水平・垂直のラインが確認でき、写真の歪みを軽減するのに役立ちます。傾きのない写真を撮るための基準として重宝します。
さらに、グリッド線を意識することで被写体の配置がバランスよく整い、構図に安定感を与えられます。
なお、『グリッド線』は一般的な呼び名ではありますが、メーカーによって呼称が異なります。例えば、富士フイルムのカメラでは『フレーミングガイド』と呼びますので、富士フイルムのカメラを使用している人は覚えておきましょう。
主題の明確化
写真における主題とは、その写真が伝えたいテーマや焦点となる部分です。主題を明確にすることで見る人が何に注目すべきかがわかり、伝えたい意図やメッセージがより伝わりやすくなります。
たとえば山や湖を主題とする場合、前景に花や岩を配置することで主題をより際立たせて視覚的な深みを加えることが可能です。ポートレート撮影では、主題となる人物の顔にピントを合わせて背景をボカすことで、人物の表情や感情を強調できるでしょう。
主題に合わせて前景や背景、ピントの位置を調整することで全体のバランスが整い、自然な構図が作りやすくなります。
構図を組み合わせて表現の幅を拡大
異なる構図を組み合わせることで、それぞれの特性を活かした魅力的な作品が生まれます。
たとえば湖を撮影する場合、『三分割構図』で地平線(湖の水平線)を画面の上から3分の1の位置に配置し、さらに『対角線構図』を用いて前景に湖へと延びる小道や桟橋を斜めに取り入れれば、奥行きが強調され、視覚的に豊かな写真に仕上がります。
ほかにも『日の丸構図』と『トンネル構図』を組み合わせて被写体をより際立たせるなど、構図の組み合わせ次第で写真の表現の幅を広げられるでしょう。
いろいろ試しながら自分ならではの構図の組み合わせを見つけてみてくださいね。
構図を意識して魅力的な写真を撮ってみよう!
写真の構図には、三角構図や対角線構図など、さまざまな種類があります。思い通りの写真が撮れないと悩んでいるなら、『構図』を意識して撮影してみましょう。1つの構図に頼りすぎず、さまざまな構図を試し、慣れてきたら複数の構図を組み合わせてみることも1つの方法です。独自の撮影スタイルを確立しながらベストショットを追求してみてください。
魅力的な写真を撮るためにはカメラ選びも重要!
富士フイルムが販売する富士フイルムXシリーズは、“持つ喜び、操作する楽しみ”をコンセプトに軽量性と高画質のバランスを追求したシリーズです。APS-Cセンサーを採用し、クラシカルでコンパクトなデザインが特徴となっています。
約90年にわたるフィルムの色彩研究の経験を生かした『色再現』はもちろんのこと、心地のよいシャッター音や手になじみやすいダイヤルなど、操作性にも工夫が凝らされています。
手持ちのカメラで構図を意識した練習が済んだ方は、カメラの買い替えも検討してみてください。富士フイルムの思いと技術が詰まった渾身のXシリーズで、新たな瞬間を写真に収めてみませんか。
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