【Xシリーズ ユーザーインタビュー】コピーライター・ぽんずの溺愛カメラ『X-T3』が与えてくれた新しい視点と私らしさ
TwitterやInstagram、noteなどで活躍されているコピーライターのぽんず(@yuriponzuu)さん。“ぽんずブルー”と呼ばれる柔らかくあたたかな青色の写真が話題となり、フォトグラファーとしても注目を集めています。そんな彼女が愛してやまないのが、カメラを始めて3台目に迎えた『X-T3』。「強烈に惹かれてしまった」という同機の魅力、富士フイルムのカメラが教えてくれたという写真を撮ることの楽しさとそこから可能性やコミュニケーションが広がっていく喜びについて、ほとばしる愛とともに語ってくださいました。
Interview:ぽんず(@yuriponzuu)
--ぽんず さんのnoteには、溢れんばかりの『X-T3』ひいては富士フイルム愛が綴られていますが、そもそも写真を撮るようになったのはいつ頃のことですか?
ちゃんと始めたのは、大学生になるタイミングです。高校時代に写真をやっている先生のカメラを触らせてもらったりしているうちに、写真に憧れるようになって。それと、もともと旅行に行ったり絵を描いたりするのが好きだったんですけど、家族や友達を待たせて旅の思い出をスケッチ出来ないじゃないですか(笑)。それで大学の合格発表の日、おこづかいを握りしめてカメラを買いに行きました。
--そのとき購入されたのは?
他社さんのカメラで、いわゆる入門機と言われているものです。大学時代はずっとそのカメラを使っていました。ただ、社会人になると大学の友人と離れちゃったりして、周りにカメラ友達がいなくなってしまって。それで一旦、凪のときが訪れて--。
--カメラから少し離れていた時期があったんですね。
はい。なので、今みたいにちゃんと撮るようになったのは、1年前くらいのことだったりします。第2スタートを切ったきっかけは、女性のスキルアップや習いごとを探せるサービスで、たまたま写真に関する講座を見つけて受けてみたこと。「やっぱり写真楽しい!」って思ったし、学生のときと違って今はSNSでいくらでもカメラ友達を探せますし。それで、もう一回ちゃんとカメラをやってみようと思いました。
--そのタイミングで、カメラも入門機からステップアップしてみようと?
「ここらでいっちょ、社会人の底力を!」みたいな感じで(笑)、新しいカメラを購入しました。実はそれも他メーカーのものだったんですけど、それから半年くらい経ってX-T3を購入したので、そのカメラとは半年くらいの短いお付き合いでした。
--すっごく短いですね。
そのカメラに不足を感じたということではなく。大学時代は「入門機だから機能が少ないし」とか自分に言い訳をしていたところがあったので、今度は言い訳が出来ないくらいスペックの高いカメラを買うことで自分を追い詰めようと思っていたんです。実際、周りからもおすすめされていた機種だったので、そのときは正しい選択だと思っていて。ただ、なんとなく性格が合わないというか。
--どんなものにも相性はあるって言いますもんね。
それと、富士フイルムのカメラを愛用しているカメラマンの矢野拓実さんにたまたまお会いする機会があって、ちょっとだけ『X-T2』をお借りしたんです。そしたら、ファインダー越しに覗いた女の子の表情がめちゃめちゃ可愛いし、肌なんかも撮って出しなのにすごくきれいで。そのときの感覚が忘れられなくて。
--それがXシリーズとの出会いだったんですね。
いざ新しいカメラを買いに家電量販店へ行ったときも、隣にXシリーズが並んでいるのを見て「あの子たち、カッコいいなあ」みたいな印象はあって。入籍しようとしているけど隣のイケメンが気になる、みたいな(笑)。なので、なんとなく心の隅でくすぶりつつ半年を過ごして。そうしているうちに、X-T3が発売されるっていう情報が入ってきて「どうせ買うなら一番新しいものを妥協せず!」と。そこからは、特に迷わなかったです。
--そして実際にX-T3を購入されたわけですが、どんなポイントに惹かれたのでしょう?
まず、デザインが好きです。もともと「オレはメカである」みたいな無機物感が得意ではなくて。その点、富士フイルムのカメラは、知らない人が見たら「それフィルムカメラ?」って言われるようなアナログ感があるし、カチカチってダイヤルを回すところも気に入ってます。あとは、レンズ込みでコンパクトなところもすごく好きだし、全身の統一感みたいなところがカッコいいなと思っていて。海外に行ったときとかって、特徴的なデザインのカメラを持っていると「カッコいいね、それどこのカメラ?」とか「クールジャパン!」とか話しかけたりしてもらえるんです。そこも含めて、中身も重要だけど顔も好きになれるかっていうところは大事だなって思います。それと、やっぱり写真の色づくりですね。
--ぽんずさんがX-T3で撮影された写真はSNSにもたくさんあげられていますが、中でも“ぽんずブルー”と呼ばれている色味は、寒色なのにあたたかさのある、ひと目見ると忘れられない美しさですね。
ありがたいことに、そういうふうに呼んでいただけるようになって嬉しいです。X-T3を購入する前は、有料のレタッチソフトを使ってどうにか理想の色に近づける作業をしていたんですけど、一度六本木の東京サービスステーションで『X-Pro2』をお借りしたとき、それまで自分の好きな青の色を出せなくて苦労していたのが、ぴょこっと撮ってぺろって現像したら一瞬で「これだ!」っていう色が出ていてすごく驚きました。写真の色づくりというところは最初に富士フイルムを好きになったきっかけでもあるし、今もずっと好きです。
--撮影時には、どんな機能をよく使っていらっしゃいますか?
最近はクラシッククロームにハマっています。覗いていて一番テンションが上がるんです。便利だなって思うのは、サイレント撮影。カフェとか友達と遊んでいるときとかに使っています。ワンタッチで無音に出来るし、許可さえ取れば周りに迷惑をかけずに撮影出来るのも気持ちとしてもラクだし、結果カフェ写真や食べ物写真を撮ることが前より増えました。
--機能が表現の幅を広げてくれた、好例ですね。
それと、瞳AFは常にONです! 使っていることを忘れてしまっているくらいヘビーユースしているんですけど、これは本当に感謝(笑)。乱視なのでファインダーだけだと心許ないっていうときも安心して撮れるし、人物撮影の精度が上がりました。あっ、あともうひとつ、ビューファインダーに水平線がずっと出てくれるのはありがたいです。大学生のときなんかはわりと好き勝手撮ったりしていたんですけど、いかにまっすぐ撮れるかが絵づくりにどれだけ大事かっていうのがわかったし、感覚だけでは撮れなかったものが少しずつ撮れるようになってきたという感じがしています。
また、撮ったあと勝負になりがちなところで、富士フイルムのカメラは撮るまでの時間の楽しさだったり、それこそフィルムカメラで楽しかったところをデジタルに置き換えたらどうなるだろう?っていうところが軸にあるものづくりの姿勢がラブ!です。
--noteにも「撮ったものよりも新しい視点をくれる」ということを書いていらっしゃいましたね。
「私なんかが撮っても新しいものは撮れない」とか「これだけ上手い人がいるなかで自分はなんてヘタなんだ」みたいな気持ちが強くなってしまって、一度写真がつまらなくなりかけたときがあったんです。そんなときX-T3に出会ったことで「もっと気軽でいいんだ」って思えるようになって。通勤途中に空がきれいだったとか、誰に評価されるとかではなく楽しいから撮る、それでいいじゃん!っていう初心みたいなものを思い出させてくれたし、それは私が偶然受け取ったというよりも、コンパクトな作りだったり軽さだったり、そういうところも含めてそう思わせてくれているのかなって。ただ単にスペックが優れているというよりは、気持ちの面まで変えてくれるカメラだなって思っています。
--気負わず身軽になったからこそ、撮った写真をSNSにアップすることを楽しめるし、そこで生まれたつながりや共感が、もっと撮りたいという気持ちを後押ししてくれそうですね。
ソフトを使って編集する時もありますが、X-T3にしてからは、1から色をつくるというよりは、最後に少し香辛料を振りかけて(整えて)自分好みにする--程度のことも増えたので、撮る→SNSに載せるまでのサイクルもすごく短くなりました。ひとつ、1月くらいに私の写真を見てくれる方が一気に増えた出来事がありまして。それが、それまで1個でも「いいね!」がほしいからハッシュタグを付けまくってセルフリツイートしまくって気合でガチガチに頑張ろうとしていたんですけど、『X-Pro2』をお借りして撮った写真をそのときの気持ちのまま呟いたら、初めてたくさん反応がもらえて。
あ、どうしよう、FUJIFILMの色がほんとに好きかもしれん
って気づいてしまった日の写真 pic.twitter.com/g6RP8eLuTY
— ぽんず (@yuriponzuu) January 26, 2019
「このくらい素で好きなものを言うほうが人も共感してくれるんだ」っていうのが私にとってすごく象徴的な出来事でした。それと、フジユーザーの方は優しい人が多くて! そこも好きなところです(笑)。
--確かに、みなさんどこか似ているところがあるというか、数ある中からXシリーズを選んで使っているという共通項が仲間意識を深めているのかもしれませんね。
すぐに仲良くなれる人が多かったり、新参者として歓迎してくれる感じが嬉しかったり。それは「とりあえず買った」とかじゃなくて、「フジの色が好き」とか「デザインが好き」とか、意志があってXシリーズを選んだという人が多いからつながれるのかなって。それこそTwitterとかで機種が同じというだけで絡んでくださる人とか、トラブルが起きたときにダイレクトメッセージでアドバイスをくれたりとか。お互い同じメーカーを好きな人同士で助け合おうみたいな空気があって。結婚相手もいい人だし親戚もいい人だったみたいな(笑)。フジのカメラの周りに集う人たちのあたたかさみたいなものは、日々感じています。
--そして、この9月から世界一周の旅に出られるそうですね。ぽんずさんがX-T3で切り取る旅の風景、すごく楽しみにしています。
ありがとうございます。あまりはっきりルートは決めていないんですが、半年を目処にハノイからスタートして地続きで西側に進んで、クリスマスマーケットの時期にヨーロッパにいられるといいなあって思ってます。X-T3を使うようになって仲良くなった方たちも応援してくれていたり、実際富士フイルムの機材で世界を巡っていらっしゃる方がいるのも心強くて。今はありがたいことに「ぽんずといえば青」と思ってもらえているところがあるんですけど、そこで満足していたら上達しないので、これからモノクロとか暖色にもチャレンジしてみたいし、新しい表現が見つけられる旅になればいいなと思っています。
text by 野中ミサキ(NaNo.works)
photo by 高見知香