古性のち×富士フイルムレンズ『ときめく写真を探して vol.3』 XF60mm F2.4 Macroと旅する鎌倉
人はどうしても“前の成功体験”を大事に守ってしまう生き物だから、知らないものや未知の世界に触れるのは、いくつになってもドキドキする。そんな訳でわたしは、何度もチャレンジと挫折を繰り返し、このレンズをなんとカメラバッグの奥にしまい半年間も連れて持ち歩いてしまった。
それでも勇気を持って切り取った景色たちは非常に柔らかく新鮮で、普段見ている日々に、愛しさを吹き込んでくれた。
こんにちは、フォトグラファーの古性のちです。今回は『XF60mm F2.4 MACRO』という、マクロレンズと鎌倉の町を歩いてきました。
覗くたびに「まって、近い!(笑)」とびっくりしてしまい、ついつい普段使い慣れているレンズに逃げる……を繰り返してきたのですが、時間をかけてゆっくりと歩み寄るうちに「これは冒険をするためのレンズなのでは」と気づきました。
そんな普段よりちょこっと違う世界へ踏み入ったドキドキ感と、このレンズの持つ柔らかさを写真を通してお伝えできれば嬉しいです。
一緒に旅したレンズ『マクロレンズ XF60mm F2.4 Macro』
同じ場所からシャッターを切った写真で比較するとわかりやすいのですが、左が普段使っている23mm、右が今回連れて歩いた60mmです。実際のぞいている世界に、更に二・三歩寄っていくようなイメージのレンズです。
【ポイント】ファインダーの向こうの想定外の世界を自由な発想で楽しんでみる
このレンズと仲良くなるためのコツはとにかく想定外を思いっきり楽しんでみること。「近すぎて全体がうつらない!」と頭を悩ませるのではなく「新しい世界が見えた!」と自由な発想の種をつくることができると、上手にお付き合いができる気がしています。そうすることで、今まで見落とされていたものやことに、息を吹き込んでくれる面白いレンズだと思います。
マクロレンズ『60mm F2.4 MACRO』と旅する鎌倉
ファインダーをのぞいて、普段よりも近く感じる世界に少し躊躇しながらシャッターを切ってみる。太陽のキラキラを思いきり吸い込んで光るボケ感がそれはそれは美しくて、フォーカスも早い。寄りの写真は、間違いなくこのレンズの得意技です。
少し足を動かして距離をかせげば、遠くのポツンと立っている写真も撮れてしまうのが魅力的。「笑ってー!」と大声でこちらが遠くから叫ぶものだから、モデルさんもふふふ、と思わず笑ってくれる。このレンズの程よい距離が作ってくれるやさしい空気感は、きっと写真にも溢れ出すのでしょう。
夕方、少しずつ暗くなる海岸でシャッターを切ってみる。ファインダーを覗くと、背景にはさっと潔く青一色。余計なものが映り込んでこない、狭い画角ってこんなに心地よいのか、と知りました。
いつもは朝から撮影しているとこの時間には疲れてしまうのだけれど、レンズが軽いからか、普段より少しだけ体力が温存されている気がして、何度もシャッターを切りました。
いつもの世界から冒険へ連れ出してくれるレンズ
普段「この写真は失敗できない……!」とシャッターを切っては「なんだかつまらないんだよなあ……」と首を捻っていたわたし。
このレンズは、そんな優等生を守ってしまう人の冒険心に火をつけてくれるレンズです。新しい世界を見たいと思っている人にはおすすめ。
そしてポートレートをこれから撮りたい人には、入門の一本としてもベストなのではと感じました。とにかくモデルさんとの程よい距離がたまらない。初対面でも、遠くから撮りながら少しずつ、心の距離を取り払ってくれます。
ぜひ、一度使ってみてください。
Model: 更紗