日々を彩る花に惹かれて、寄り添って。mei vol.2〜道端で出逢う花〜
こんにちは。mei(@4_adiantum7)と申します。
愛してやまない、日々を彩る花達を見つめていくこの連載の第二回。
第一回目コラムの終わりで思い浮かべていた通り、今回はレンズ一本をお供にのんびりとお散歩してみることに。道端での小さな出逢いに焦点を当てていきます。
お散歩へ出かけましょう
今回の相棒は『XF50mmF2 R WR』。
焦点距離は76mm相当と、普段の視野よりもう一歩ぐっと近づいて写るこのレンズ。ポートレートにも丁度いいのかも。
普段は画面いっぱいに沢山の花を満たす写し方が多いけれど、今日のお散歩は一輪・一株を人に見立てたポートレートのように、お花を写してみるカットがあっても楽しそう。そんなことを考えながら、お家の近くでの出逢いを探していざ出発です。
早速、見知らぬ花を発見しました。こうして寄ってみるとピンク色の彼岸花のようだけれど、彼岸花よりは大きい。今にも綻びそうな小さな蕾と目があった気がして、吸い寄せられるように近づいて写してみました。
振り返れば、今度は爽やかな青紫の花がフェンスからせり出して咲き誇っています。陽を浴びて一際煌く一輪を中心に、少し離れて一枚。
そのまま普段使う大通りから逸れ、細道に入ってみれば、そこからは初めて見る景色。知らない街に来た時のような高揚感と共に足を進めます。
そして真っ先に見つけたのは夏の代名詞、ひまわりです。
遠目にも目を奪われる元気な黄色。白い壁を背景に、その鮮やかさが一層引き立っています。すらりと背が高く、背筋を張って前を向く姿が美しい子でした。
そんな見上げた先の黄色に見惚れつつ、ふと足元を見れば、そこにも可愛らしい黄色がちらり。小さなポンポンのような花芯と丸みのある花びらが、絵本に出てくるような造形です。
次に出逢ったのは、盛りを過ぎた紫陽花達。
緑に囲まれたアナベルと、塀からひょっこりと顔を出したピンクの子。
色褪せた様子に、ドライのブーケが連想されて、彩度は控えめにマットな質感で現像しています。
もう少し歩くと今度は小さな空き地が。公園とお隣のお宅の間のそこはびっしり雑草が生い茂っています。けれど、ところどころお隣のお庭に咲いているのと同じ花が紛れ込んでいました。
特に目をひいたのは、一輪だけ咲き誇る立派な白百合。球根が転がってしまったのでしょうか。青々と茂る草の中で凛と輝いて見えました。
夏のきらきらとした陽は、綺麗な玉ボケにして表現しています。
他にもここには柳花笠(やなぎはながさ)や藪虱(やぶじらみ)といった夏の花達が種々咲き乱れていました。
夏の花というのは、どれもはっきりと鮮やかな色の力強さがあって、見ているだけで元気が出るものですね。
そして色ともう一つ、夏のお散歩で発見した魅力は、強い日差しで生まれた花と葉の影が特に美しいこと。白い壁や道と影とのコントラストに美しさを感じたお気に入りの2枚で、今回のお散歩を締めくくります。
ご近所散歩は私の原点
さて今回のテーマ、“道端で出逢う花”というのは、実は私の写真撮影の原点でもあります。
高校生の時、初心者向けのミラーレスと単焦点を買ってもらって夢中で撮っていたのは、通学路や近所の公園、川沿いのサイクリングロードをささやかに彩る四季の花。
毎日毎日、少しずつ芽吹き、花開き、枯れいき変わっていく花達を飽きることなく眺めて探して夢中でした。
けれど、大学生になると一気に行動圏が広がって、道端の花よりも花畑や群生地に目がいくように。更に時は流れて地元を離れ、今住んでいる街では主な移動手段が徒歩と電車だった地元とは打って変わって、どこへ行くにも車を使う日々に。
朝は慌てて車へ乗り込み、帰る頃には日は沈んでしまっていて、道端の花に目を向ける時間はすっかり無くなってしまいました。
今回は写真を始めた頃の、予期せぬ小さな出逢いひとつひとつに夢中になって、目的地もなく花探しをしていたあの頃に戻ったような感覚を取り戻せた気がしています。
これを機に、今後は定期的に単焦点レンズ1本を連れた気軽なお散歩時間を作ってみようと思います。初めてカメラを持ったばかりの頃のときめきを、いつまでも忘れないように。