フード&トラベルライター西村愛の「旅するカメラ」Vol.2〜倉敷篇〜
〜ぎゅっと凝縮した街をゆっくり歩いてみる、倉敷美観地区の旅〜
地域性が生んだ産業を現代にも受け継ぐ街、倉敷歴史旅。
2018年4月、岡山県・倉敷市。
事前の下調べも特になく、ふらりと新幹線で向かったひとり旅。
倉敷駅からは徒歩で10分ほど。美しい街並みと商店が並ぶ美観地区へと向かいました。蔵と川の景色、路地、和洋折衷の建築物にお寺など、広いエリアで見応えもある街。フォトスポットもたくさんあって、カメラ片手に散策する人や海外からの観光客も多く訪れる観光地です。
岡山といえば“きびだんご”(笑)
本きびの小餅を櫛に刺したお団子風のきびだんご。川沿いに咲くポンポンのような八重桜の前で、花より団子とまいりましょう。
倉敷は瀬戸内海に浮かぶ大小の島々をつなぎ合わせるようにして干拓された地域。そう、ここはもともと「海と島」でした。そんな土地であったことから塩気が多く田畑には適さず、綿花栽培が行われました。山の上の阿智神社を見ると、一角にかつての灯台。この小山はもともと島であり、すぐ下まで海だったことがわかります。
綿花だけでなく様々な売り買いを行う時、倉敷川が水運として大きな役割を果たしました。よって川沿いには商家や問屋の大きな蔵が並ぶ街が作られ、現代にもその景観が残されました。今では観光船が浮かぶ静かで優美な川です。
明治時代になり、大型機械を導入し衣料品製造を盛んにしたのが倉敷紡績(現在のクラボウ)です。この創始者である大原家が倉敷に残したものは偉大。それは「大原美術館」。私は、個人の美術館としては日本一だと思う。
世界中から集めた絵画や彫刻を約3,000点収蔵しており、うち展示品700点にはモネ、ゴーギャン、マティス、ピカソ、モディリアーニなどの巨匠作品も。古代エジプトの古美術や中世の作品などもあり、幅広さと希少性ある作品を鑑賞できます。建築当時のままのイオニア式の玄関が迎えてくれます。
館内は撮影禁止です。しかし蔵を用いた展示室や庭の設えなど外観からでも十分楽しめるので、ぜひカメラを持って訪れたい場所。
このような繁栄の歴史があって、この周辺では制服やジーンズが多く作られるようになり、日本でも有数の繊維の街になりました。久々に訪れた倉敷はいくつもの魅力的なコンテンツを持つ街として、各国の人々から愛される街でした。
倉敷ジーンズストリートでは、ジーンズカラーの青い肉まんを購入(笑)
ふかふかの皮に黒豚の脂が美味しい餡。ネタっぽく買ってみたけど美味しくてびっくり。
お土産にもジーパン。ジーパンキーホルダー。
お尻のパッチ(タグ)は色展開もしていました、ダメージジーンズバージョンもありました!再現率が高くてカワイイ。
倉敷紡績の工場跡地である「倉敷アイビースクエア」。「X-T2」でフィルムシミュレーションブラケット機能を使ってみました。
フィルムシミュレーションブラケット機能とは……
一度シャッターを切るだけで様々なフィルムシミュレーションを同時撮りできるもの。モノクロ設定なども可能です。濃淡がきちんと再現され、どれもその場の雰囲気が映し出されます。私はVelviaが好みです。
アイビースクエアはカフェやお土産屋さん、ホテルなどが立ち並ぶ文化複合施設となっていて、旅の途中に気軽に立ち寄れるスポット。過去、工場であった建物の面影を感じることができたり、倉敷での繊維産業の成り立ちなども学ぶことができます。
倉敷は人々の知恵によって拓かれた産業を礎に、アートとファッションそしてのんびりとした景観を楽しめる場所。建物そのものが景色となりその古さの中に新しさを加えて、さらにはそこに日本の四季が重なる。
1日では足りないほどの充実感ある旅となりました。
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