古性のち×富士フイルムレンズ『ときめく写真を探して vol.4』 XF35mmF1.4・XF35mmF2と旅する横浜
カメラを初めて手にしたのは今から8年も前のことで、生まれ育ったこの横浜をレンタルしたカメラを連れドキドキしながら歩いたことを今でも覚えている。
だからか、いつもこの町を歩くときは、過去の思い出の上に丁寧に新しいものを重ねていっているような気がして、なんだか妙な気持ちになる。
久々に歩いた青い都市。相棒のレンズは初めて手にしたあのカメラのものと同じ、35mm。
こんにちは、フォトグラファーの古性のちです。今回は『XF35mmF1.4 R』・『XF35mmF2 R WR』という、同じ焦点距離の単焦点レンズ2本を横浜の町で撮り比べしてきました。最初は「どう違いがでるか……」とドキドキしていたのですが、どちらの長所も知ることができた良い散歩になったので、じっくりお伝えさせてください。
一緒に旅したレンズ『XF35mmF1.4 R』・『XF35mmF2 R WR』
どちらもはじめましてのレンズだったのですが、両方とも驚くほどにコンパクトで軽い。どちらも焦点距離が35mmなので、35mm判換算すると53mm。単焦点の中では標準画角のレンズ。単焦点を初めて触る方にも扱いやすい距離感と重さです。
【ポイント】柔らかさを撮るか、すっきり撮るかでレンズを選択する
このレンズ達、焦点距離が変わらないため(特殊なこだわった撮影をしない限り)そこまで大きな違いはでないのですが、F値が小さいXF35mmF1.4の方が優しい柔らかな世界観になります。なので、自分が表現したい世界により近しいレンズを選択してあげる方法がより良いかな、と感じています。山下公園編をXF35mmF2のレンズ、中華街編をXF35mmF1.4で撮影してきたので、ぜひ見比べてもらえたらと思います。
『XF35mmF2 R WR』と旅するみなとみらい
この日の海沿いは風が強くて、下手すると足下を持ってかれてしまいそうなくらいだったのだけど、そんな中切るシャッターはフォーカスも早くて、ばちっと風の流れも切り取ってくれる。レンズが小柄なので、手にも持ちやすい。風に負けじとオートフォーカスでぱしゃぱしゃとシャッターを切り続ける。
被写体をぱきっと捉えてくれるから、背景とのコントラストが気持ちいい。普段あまりポートレートを撮ることが少ないわたしも「こんなに美しく被写体を捉えてくれるなら、撮られる側にもきちんと喜んでもらえるかもしれない」なんてこっそりと思った。
『XF35mmF1.4 R』と旅する横浜中華街
中華街の雑多な雰囲気を、レンズを通して覗き込む。F2よりも、当たり前だけれど周りの雰囲気がふんわりとボケる。被写体の一部以外が背景と溶け込んで、優しい世界。クラシッククロームで切り取れば、ノスタルジックな異国の出来上がり。
室内も問題なく明るく切り取れる。輪郭がとろけそうなくらいにぼけたグラスは、なんだか中の飲み物までとろり、濃厚に見える。静かで優しい。普段使っているレンズもF1.4だけれど、やはりわたしはこの世界が好きだな。
外の撮影にはF2、優しい世界を優先するならF1.4が良いかもしれない
1日連れ添ってみて、「どちらも同じくらい好きだな……!」と感じたのですが、やはり私の推しはF1.4。“もう少しパキッとした写りが好きな人”や“少し過酷な環境で外撮影が多い人”には軽さもサイズもよりコンパクトなF2をおすすめしたいです。記事では触れませんでしたが、F2には防塵防滴が備わっているため、寒さや雪、小雨にも安心です。
ピントの合いすぎていない優しくてふんわり空気に溶けるような世界観のF1.4。
被写体が映える、ぱきっとすっきりした世界観のF2。
ぜひ好みに合わせて使い分けてみてください。
Model: 犬山ハルナ