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Review 2023.02.24

【Xシリーズレビュー】フォトグラファー・平井裕士が体験した『X-T5』の圧倒的解像感と豊かな階調表現

昨年11月に発売された、X-Tシリーズ待望の新機種『X-T5』。洗練されたコンパクトなボディに約4020万画素の第5世代センサーを搭載した、写真を撮ることの楽しさをさらに高次元へ押し上げてくれる一台です。今回は、Xユーザーであり、SNSを中心に自身が撮影したストリートスナップを発信しているフォトグラファー・平井裕士(@yuji87)さんに、『X-T5』の進化した解像感や豊かな階調表現を体験していただきました。

Interview:平井裕士

――まずは『X-T5』を手にした率直な感想から聞かせてください。

私は、『X-T3』を4年ほど前から使っているのですが、『X-T5』はより持ちやすく、液晶画面自体も『X-T3』と比べて画質が上がっていると感じた、というのが率直な感想です。

――普段は『X-T3』に加えて、『X100V』もお使いとのこと。その点も踏まえて、操作感はいかがでしたか?

シャッターの感覚が上品な仕上がりになっているように感じました。街中や住宅地に入って撮影することが多いので、音を気にせずシャッターを切ることが出来るのは大きな利点ですね。メニュー画面のレイアウトやUIに関してもTシリーズを使っている僕にとっては全く違和感がありませんでした。また、普段と同じようにファインダーを覗いて撮影したのですが、『X-T3』と比べると視認性が断然上がっていて情報も見やすくなっていたので、街で撮影するときにファインダー越しに隅々まで確認出来るというのはすごくメリットだなと思いました。

X-T5 /XF23mmF2 R WR /F5.6 /1/320秒 /ISO250
フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

X-T5 /XF23mmF2 R WR /F5.6 /1/680秒 /ISO250
フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

――では早速、今回『X-T5』で撮りおろしてくださった写真を拝見しながら、本機の描写力や色表現について撮影ポイントと併せてお伺いできればと思います。

第5世代のセンサーから新しくXシリーズに搭載されたノスタルジックネガは、ずっと使ってみたかったフィルムシミュレーションでした。ニューカラーの時代をイメージされているということで、僕自身も影響を受けたスティーブン・ショアやウィリアム・エグルストンの作品のような雰囲気で撮りたいなと思い被写体を探しました。ノスタルジックネガは特徴として、全体的にアンバーな色合いに仕上がるところが好きですね。シャドウ部分やディテールは約4,020万画素のセンサーの強みが生かされているなと思います。写真を拡大してみるとガラスの描写や植物の葉脈といった細かいところまできれいに写し出されていますし、鉄やアルミの質感もこれまで以上に繊細に描写されていることに純粋に驚きました。

X-T5 /XF23mmF2 R WR /F5.6 /1/640秒 /ISO125
フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

こちらの写真も、フィルムシミュレーションはノスタルジックネガ。レンズの絞りだけ設定してシャッタースピードとISO感度はオートで撮らせてもらいました。露出も変に転がることもなくて、感覚的にオートホワイトバランスの精度も上がったのかなと思いました。画素数が増えた分、階調も豊かになったことで、このカニひとつとっても赤やオレンジ、たくさんの色が混ざっているんだなあと、色表現の幅の広がりを感じられるポイントですね。たとえば昆虫のように質感や色のバリエーションが複雑なものを撮影するときにも『X-T5』は活躍してくれるカメラだと思います。

X-T5 /XF23mmF2 R WR /F4.5 /1/640秒 /ISO320
フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

いつもは主に晴れている日に撮影することが多いのですが、この写真は曇りの日に見つけた場面。『X-T3』には手ブレ補正がついていないので、こういったシャッタースピードを落とす必要がある場面ではあまり撮らないのですが、今回はそういったシチュエーションでも撮ってみようかなと。結果的に全く手ブレすることなく自転車の質感や細部まで写し出されていて、僕自身の写真のバリエーションが増やせそうだなと思うきっかけになった一枚です。

X-T5 /XF27mmF2.8 R WR /F5.0 /1/80秒 /ISO200
フィルムシミュレーション:クラシッククローム

高画素になったことで高感度時のノイズが気になったので、雨の日の夜に撮影してみました。この写真に関しては、手持ちの『XF16-55mmF2.8 R LM WR』を使っています。結果的にノイズ感はシャドウ部にもほとんどなく、露出もオートに設定していたのですが、正面手前の白いライトと奥側の看板といったハイライトのポイントをいい具合に調整してくれています。その場の雰囲気や微妙に光に照らされる部分の質感といったディテールもちゃんと描写されていたので「すごいな」と思いながら撮影していました。

X-T5 /XF16-55mmF2.8 R LM WR /F4.5 /1/60秒 /ISO1600
フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

こちらの写真は、早朝の光に照らされている場所を探して撮影しました。扉の手前の段差になっている部分に、拡大してようやく見えるほどの小さな砂利石が転がっているのですが、パソコンのモニターで見ても気づかないぐらいのものが写せていることにすごく驚かされた一枚です。ノスタルジックネガの色表現と写真の雰囲気が合っていて、これまで行っていた撮影後の調整をせずともカメラ内で色づくりを完成させてくれるので、編集の手間がなく個人的にすごく助かりました。今回ノスタルジックネガを使ってみたことによって、『X-T5』はより自分好みの色を発見する手助けをしてくれる機種だなと感じました。

X-T5 /XF27mmF2.8 R WR /F4.0 /1/640秒 /ISO200
フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

――色表現という点で、平井さんとしては富士フイルムの色づくりやフィルムシミュレーションについてどんな印象をお持ちですか?

以前は他社製のカメラを使っていたのですが、そのときは色に対して言語化しづらい違和感があったんです。そうした違和感を感じなかったこと、見たままに近い色味で写し出してくれるところに惹かれてXシリーズを使っています。フィルムシミュレーションに関しては、クセのない表現をしてくれるPROVIAと落ち着いた印象のクラシッククロームをよく使っています。スナップやポートレート、テーブルフォトといった幅広い撮影ジャンルをカバー出来る汎用性と、撮ったあとに悩む時間を少なくしてくれるような色表現に魅力を感じています。

X-T5 /XF27mmF2.8 R WR /F5.6 /1/35秒 /ISO200
フィルムシミュレーション:PROVIA

X-T5 /XF27mmF2.8 R WR /F5.6 /1/200秒 /ISO124
フィルムシミュレーション:クラシッククローム

――併せて、今回の撮影で使用していただいた2種のレンズ(『XF23mmF2 R WR』と『XF27mmF2.8 R WR』)についてはいかがでしたか?

今回使わせていただいたレンズは、どちらも細かいところまで写し撮ってくれるという点で必要十分過ぎるほどだと感じました。特に『XF23mmF2 R WR』は普段使っている『X100V』と同じ焦点距離ということでセンサーの違いが明確に表れていて、『X-T5』に対する魅力をより感じるきっかけにもなりました。

X-T5 /XF23mmF2 R WR /F5.6 /1/640秒 /ISO125
フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

――『XF27mmF2.8 R WR』は、以前から気になっていたレンズだそうですね。

換算41mmの焦点距離ということで、普段35mmで撮っているときの「もうちょっと寄りたいな」というモヤモヤを全部クリアしてくれるようなレンズだなと実際に使っていて感じました。今まで手にしてきた中でも一番小さいんじゃないかというほどコンパクトで、長時間持ち歩くときでも全く苦にならないというところも魅力ですね。防塵防滴ということで、雨の中の撮影など今まで試してこなかった表現へのチャレンジを後押ししてくれるレンズなんじゃないかなと思います。リーズナブルな価格でありながらカメラの高画素センサーに後れをとるようなことはなくて描写力も高く、手元に置いておきたいレンズですね。

X-T5 /XF27mmF2.8 R WR /F4.5 /1/150秒 /ISO200
フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

――今回の撮影を踏まえて、『X-T5』の強みを生かせるシチュエーションやおすすめのポイントなど平井さんの視点で聞かせてください。

オートフォーカスの追従性がすごく高いので、動く被写体の撮影にもおすすめできる機種だと思います。操作が感覚的にできるのですごく使いやすく、失敗する要素が限りなく少ないので、これからカメラを始める方にとっては『X-T5』で撮るとすごく楽しいのではないでしょうか。お気に入りのフィルムシミュレーションが見つかれば撮影中に色を気にしすぎることがなくなり、自分が惹かれるものに意識を集中させられる効果も得られそうです。高解像度でトリミングの耐性もありますし、撮れる写真の画素数が増えたことで捉え方や表現の仕方が変わっていきそうな予感がする1台だと感じています。もしまた機会があれば、展望台など高いところから俯瞰で撮影して、『X-T5』の解像感だと街の機微をどこまで写し出せるのかを見てみたいですね。

X-T5 /XF23mmF2 R WR /F5.6 /1/640秒 /ISO125
フィルムシミュレーション:PROVIA

X-T5 /XF23mmF2 R WR /F4.5 /1/480秒 /ISO125
フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

――最後に、ストリートスナップを撮る上でのこだわりや平井さん流のスナップ写真を楽しんで撮るコツを教えてください。

スナップを撮るうえで心がけていることとしては、よく歩くこと。歩かないと出会えない場面というのがあるので、僕自身はもうとにかく歩き続けます。好きな写真家の作品に似たシチュエーションを見つけて撮ってみたり、目的地を決めずひたすら歩き続ける中で「なぜこの写真を撮ったんだろう」と自分が撮りたいものや好きなものが思いがけず見えてきたり、さらにそれを共有できる人と出会えるというのも写真の面白みかなと思っています。

X-T5 /XF23mmF2 R WR /F5.6 /1/420秒 /ISO125
フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

text by 野中ミサキ(NaNo.works)

Profile

平井裕士

写真歴11年。2016年に写真をもっと楽しくするメディア「RECO」にフォトグラファーとして参加したことをきっかけに、訪日観光客を意識した観光地撮影を開始。日常の何気ない風景を記録している。写真はSNS、写真展で発表している。写真に対する自身の考えなどはnoteに文章でまとめている。

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