フィルムシミュレーション『ETERNA』で撮るベストショット〜太田森彦・国分真央・御手洗剛〜
Xシリーズを愛用しているフォトグラファーさんに、各フィルムシミュレーションで撮影したベストショット2枚と、そのフィルムシミュレーションに感じている魅力や自身の想いをご紹介していただく本企画。今回は、映画のワンシーンのような“シネマ・ルック”を表現することができるフィルムシミュレーション『ETERNA』について、太田森彦さん(@morihikoohta)、国分真央さん(@ mao_kokubu)、御手洗剛さん(@go_mitarai)に語っていただきました。
ETERNA ①:太田森彦
普段はスタジオで構図や照明をつくりこむ撮影をしているせいなのか、旅行ではラフに撮りたくなることがあります。今回ご紹介するのはタイに行った際の写真で、広角レンズをつけて歩きながら撮ったり、ノーファインダーで撮ったり、といった感じです。家に帰って落ち着いたころにやっと見て、気に入った写真があったらETERNAで現像をします。
ETERNAはトーンの調整幅が広いので現像のスタートとして気に入っています。ただフラットなのではなく、階調はしっかりあるので、シャドウを締めつつ階調を残しやすいです。また低彩度で、トーンを詰めていくと色も乗ってくるので色調整も反応が良いです。
映画用フィルムを基にしたフィルムシミュレーションということで、好きな映画のトーンに似せてみたり、シネマスコープの比率でクロップをしてみたりと、色々遊んでいます。少しグリーンに転ばせるのが今は好きです。今回の現像は FUJIFILM X RAW STUDIOを使用して現像しましたが、カメラ内現像でここまで調整できるのは凄く良いです。
ベストショットで選んだ2枚ですが、被写界深度メモリのついた広角レンズ(『XF14mmF2.8 R』 『XF16mmF1.4 R WR』 )で撮影しています。オールドレンズくらいでしか見なくなったメモリですが、これがあるおかげで撮れた写真だったかもしれません。
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ETERNA ②:国分真央
ここ最近はETERNAに惚れ込んで使っています。
フィルムシミュレーションを開くと、説明書きに“動画向き”と記載があるのですが
梅雨の時期のしっとりとした雰囲気と、少し”ひんやり”感のある落ち着いたトーンが
とてもマッチしているなと感じ、使用をしています。
また自分の作風にも合うと感じており、撮った瞬間に”最終的にどう魅せたいか”のゴールが
イメージしやすいのも良いところです。
そういった意味でもコントロールしやすい点が 、動画向きと言われているのかなと解釈しています。
今回の作例にはないのですが、ポートレートも申し分なく使えましたし、
これからの夏の時期はどうしても彩度が強いものが多いので、
そんな高ぶりを少し落ち着かせてくれる点も気に入っています。
今回はJPG(撮って出し)の作例ですが、ETERNAが最近は好きすぎて、
RAWで現像する際に自分なりの解釈をしたETERNA風のプリセットも作って楽しんでいます!
(そういった写真は、最近SNS等に載せているので見ていただけたらと思います。▷@ mao_kokubu)
それでも、彩度がもう少し欲しい……という方は彩度を上げたり、
カラーグレーディングを少し調整するだけでも雰囲気が変わりますので是非お試しください。
特に中間調に手を加えるとグッと変わると思います。
今回は夏前の梅雨時期の作例でしたが冬の季節にも合いそうですし、海や湖など”水”を連想させる場所にも良さそうです。
また作例の様に、雨などの落ち着いた表現を持たせたい時におすすめです。
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ETERNA ③:御手洗剛
特に雨の日は ETERNA で写真を撮りたくなります。GFXシリーズ と ETERNA の組み合わせにより柔らかな階調が湿度感を表現してくれて、まるで自分自身が映画を撮っているかのような錯覚に陥ります。私は撮って出しではなく RAW 撮影・現像することが多いのですが、ファインダーからフィルムシミュレーションを通じて世界を捉えることで、間違いなく撮影のテンションやテンポ感に影響するのを実感しています。
映画は目が疲れないようコントラストを落としていると耳にしたことがありますが、ETERNA も映画用フィルムに着想を得ただけあって、柔らかな階調と低めの彩度が特徴です。それゆえ、若干コントラストをつけてあげると、写真としてちょうど良い仕上がりになることがあります。また、よりシネマ感を出すために、色被り補正を緑側に寄せることが多いです。