ホワイトバランスとは?設定・調整方法と表現の広げ方を解説【Snap & Learn vol.4】
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【Snap & Learn】の連載企画では、一般によく知られている写真の撮影テクニックやカメラ関連の専門用語を集め、初心者の方にも理解しやすいように作例やイラストを用いて解説しています。
撮影した写真を見て、「思っていた色合いとは異なる」「イメージしていた雰囲気が伝わらない」と感じたことはありませんか?そんな時は『ホワイトバランス』の見直しをおすすめします。ホワイトバランスを適切に設定することで、思い描く色合いを引き出し、撮影をより楽しむことができます。
本記事では、ホワイトバランスの基本的な概念や、設定・調整方法について詳しく解説します。初心者にも理解しやすい内容になっているので、ぜひ参考にして、自分だけの色合いを見つけてみてください。
ホワイトバランスとは
ホワイトバランスとは、撮影環境における光の色味を補正し、白いものを正確に白く写すための機能です。白以外の色も、ホワイトバランスの設定次第で自然の色に近づけることが可能ですが、設定を間違えると肉眼で見る色とは異なる色になってしまうこともあります(詳しくは後述します)。
ホワイトバランスには『AUTO』『晴れ』『日陰』『電球』『蛍光灯』といった選択肢があり、それぞれの光源に合わせて調整することで、思い描く色合いや雰囲気を実現できます。この設定を意識することで、写真に込める感情やストーリーがより際立ち、作品に独自の魅力を与えることができるのです。
晴れた日の自然光や、温かな間接照明、そして曇り空の光など、それぞれの光源は異なる色温度を持っており、これが写真の色味に大きな影響を与えます。
人間の目は周囲の色を自然に認識する能力がありますが、カメラはそのままの色味を記録します。だからこそ、ホワイトバランスを適切に設定することが重要なのです。
ホワイトバランスと色温度
色温度とは、光源が持つ色味を数値化したもので、ケルビン(K)という単位で表されます。一般的に、低い数値は赤みを帯びた温かい印象を与え、高い数値は青みが強く冷たい印象を持たせます。
たとえば、電球の光で撮影すると、写真が冷たく感じられることがありますが、ホワイトバランスを調整することで補正され、温かさを取り戻すことができます。逆に、赤みが強い晴れの光でも、色温度を調整することで、より自然な色味に近づけることができます。
ホワイトバランスの調整方法と設定種類
それでは、具体的にどのようにホワイトバランスを調整し、どのような設定があるのかを見ていきましょう。初心者でも簡単に実践できる方法を解説していくので、ぜひ参考にして、自分の理想の色合いを手に入れてください。
オートホワイトバランス(AWB)
オートホワイトバランス(AWB)は、カメラが撮影する場所の光の色を自動的に判断し、最適なホワイトバランスを調整してくれる便利な機能です。これにより、異なる照明条件でも白いものは白に、中立色も自然な色を再現できます。
たとえば、電球色の下で撮影すると、色が黄色味を帯びることがありますが、AWBを使用することで、肉眼で見たままに近い色に調整してくれます。
AWBはほとんどのカメラに標準で搭載されており、特にスナップ写真やさまざまな光が混ざったシーンでは非常に役立ちます。複雑な光の状況でも、AWBは強い味方になってくれるでしょう。
モード切り替え
AWBは自動で光源の色を検知し、適切なホワイトバランスを調整してくれますが、時には思い通りの色味にならないこともあります。特に、夕焼けのように特定の色合いを強調したいシーンでは、AWBがその色を補正してしまい、夕焼けの色合いが少し失われることがあります。
『晴れ』『日陰』といったプリセットホワイトバランスを選ぶことで、よりイメージに合った色合いを表現できます。たとえば、夕焼けを撮影する際には『晴れ』モードに設定することで肉眼で見たままに近い色となります。
また『日陰』モードを利用することで、赤みを強調し、より印象的な表現も可能です。
状況に応じたモードを選ぶことで、自分のイメージにぴったり合う美しい写真が撮影できるでしょう。
カスタムホワイトバランス
カスタムホワイトバランスは、白い紙やグレーカードを使って自分自身で正確なホワイトバランスを測定する機能です。この設定は、異なる光源(ミックス光源)が混在するシーンで特に役立ち、求める色を忠実に再現したいときに最適です。たとえば、屋外の自然光と室内の電球光が同時に存在する場合、オートホワイトバランスではうまく調整できないことがありますが、カスタムホワイトバランスを使えば、理想的な色合いを得ることができます。
富士フイルムのXシリーズは設定がとても簡単で、白い紙を画面中央に置き、シャッターボタンを押すだけ。その後、「GOOD!」の表示が出れば測定完了です。この機能を活用することで、撮影環境にぴったり合った色合いを得られ、思い描くイメージを見事に具現化させることができます。
設定方法については以下のページも参考にみてしてくださいね。
>>富士フイルム|色調や階調をコントロールしてみませんか?
色温度設定
ホワイトバランスをより細かく調整したいときには、色温度設定の活用が効果的です。この機能では、光の色温度を指定してホワイトバランスを調整できるため、求める色味により近付けることができます。
先述したように、ケルビン(K)の値が低いと暖色、逆に高いと寒色の印象を与えます。たとえば、白熱電球は約2700Kで、晴れた日の太陽光は約5000K〜6500Kです。全体的に青を強調したいときはケルビン値を低く、赤を強調したいときは高く設定することで、色温度を調整できます。
たとえば、さわやかな青空を表現したい場合、色温度を低め(5000K以下)に設定して青を強調し、清涼感を演出できます。夕焼けの温かさを引き立てたい場合は、色温度を高め(6000K以上)に設定して、赤みを増幅させると良いでしょう。
こうした調整を行うことで、写真に込める感情やストーリーがいっそう鮮明になり、みなさんの想いがそのまま色として表現されるのです。色温度設定をマスターすることで、作品はさらに生き生きとしたものになることでしょう。
作例あり!ホワイトバランスを用いた表現方法
ここからは、色温度を上げる表現と下げる表現について、実際の作例を見ていきましょう。
ほんわか温かい雰囲気に!色温度設定を上げた表現
色温度設定は高い方が温かい色味になり、写真にほんわかとした印象を与えることができます。たとえば、夕日が沈む瞬間を捉えた写真では、色温度を高めに設定することで、オレンジや赤の美しいグラデーションを強調し、ロマンティックな雰囲気を演出できます。
また、紅葉のシーンにおいても、色温度を高めに設定することで、葉の鮮やかな赤やオレンジを際立たせ、秋の豊かな風景を表現できます。
クールで涼し気な印象に!色温度設定を下げた表現
色温度が低いと、写真にクールで涼し気な印象を与えることができます。特に、水辺のシーンでは、青みを強調することでさわやかさや清涼感を引き出せます。
晴天の下で撮影する際には、色温度を下げることで青空の鮮やかさが際立ち、清々しい雰囲気を強調します。これにより、日差しの下での開放感をより感じさせることができます。
後から編集したい場合はRAW形式で撮影
ホワイトバランスの設定をした後でも、撮影した写真の色味を調整したいと感じることはよくあります。そんなときにおすすめなのが、RAW形式での撮影です。RAW形式では、JPEGに比べて多くのデータを保存しています。撮影後に画像編集ソフトを使ってホワイトバランスを変更することで、色温度を簡単に調整でき、理想の色合いに仕上げることが可能です。
特に、色味にこだわる場面が多い風景写真や商品撮影では、あらかじめRAW形式で撮影しておくことで後から色味を編集できるため、意図しない色合いになってしまっても心配いりません。
撮影時は後から調整の利かない構図や絞りなどの設定に集中できます。
ホワイトバランスを使いこなして幅広い表現をしよう
ホワイトバランスを使いこなせると、写真の表現の幅が大きく広がります。色温度を変化させることで、意図する雰囲気を強調し、見る人に強い印象を与えることが可能です。
温かみや涼しさ、親密さやクールさなど、さまざまな感情を色で演出してみてください。これらの技術を身につけることで、あなたの作品は一層魅力的になり、見る人の心に深く響く印象を与えられるでしょう。ぜひホワイトバランスを駆使して、表現の幅を広げてみてください。
ホワイトバランスを意識した撮影をするのにピッタリなカメラ『X-T50』
富士フイルムの『X-T50』は、クラシカルなフィルムカメラデザインを纏ったミラーレスカメラで、手にした瞬間から撮影の楽しさを感じられます。わずか438gの軽量ボディに、約4020万画素の驚異的な高画質性能を搭載し、日常の一瞬も旅先の景色も鮮やかに捉えます。
このカメラは、ホワイトバランスの設定が非常に充実しており、オートホワイトバランスでは『ホワイト優先』『AUTO』『雰囲気優先』の3種類から選択可能です。白熱電球下で『ホワイト優先』を選ぶことで、電球色の影響を無くして、被写体本来の色に再現し、逆に『雰囲気優先』を選ぶと温かみのある雰囲気を引き立てることができます。これにより、撮影の瞬間から理想の色合いで被写体を捉えることが可能です。
『X-T50』を手にして、心に残る瞬間をより鮮やかに、美しく切り取ってみませんか?あなたの写真表現を新たな次元へ引き上げる1台です。
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