カメラレンズ内の埃(ホコリ)に注意!写真への影響とおすすめ除去方法【Snap & Learn vol.30】

【Snap & Learn】の連載企画では、一般によく知られている写真の撮影テクニックやカメラ関連の専門用語を集め、初心者の方にも理解しやすいように作例やイラストを用いて解説しています。
写真を撮ったものの、小さな黒い影が写り気になっているなどの悩みをお持ちではありませんか? このような写真になってしまう要因の1つとして、埃(ホコリ)が挙げられます。
この記事では、ホコリが与える写真への影響とおすすめの除去方法について解説します。小さな黒い影などの違和感のある写真が多くある人は、ぜひ本記事を参考に対策法を押さえてください。
レンズ内のホコリが写真に与える影響
レンズ内にホコリが入り込んでしまうと、フレアやゴーストの発生、ホコリの写り込みといった現象を招くおそれがあります。これらの現象について、カメラの構造に関する説明も踏まえながら解説しましょう。
フレアやゴーストの発生
フレアとは太陽や照明のような強い光源に向けて撮影した際、画像全体が白っぽくなる現象を指します。一方でゴーストは、レンズ内で反射した光が写真に現れる現象であり、フレアの一種です。
両者が発生する要因として、逆光での撮影が挙げられます。逆光で撮影すると、レンズ内に太陽の強い光が反射し、漏れた光が写りやすくなります。
ほかにも、レンズ内での光の反射や屈折に支障をきたす要素としてホコリが考えられます。フレアやゴーストにより被写体が見にくくなっている場合は、逆光だけではなくホコリの侵入も疑ってみるとよいでしょう。
写り込み
フレアやゴースト以外にも、レンズ内のホコリが写真に写り込んでしまうこともあります。この場合、撮れた写真を見てみると小さい影のようなものが写ります。
特に影がはっきりと写ってしまうのは、レンズ内の後玉付近にホコリが入ったときです。カメラのレンズは複数枚で構成されており、前にあるのを前玉、後ろにあるのを後玉と呼びます。後玉はピントを合わせる役割を担い、微小なホコリも写真に写してしまいます。
前玉にあるホコリは後玉と比べて写真への影響は少ないものの、フレア発生の原因となる場合もあるため、メンテナンスにおいて綺麗に除去したほうが望ましいでしょう。
なぜ?レンズ内(カメラ内部)にホコリが混入する原因
大切に保管しているにもかかわらず、なぜホコリが混入しているか気になる人もいるはずです。主な原因として考えられる4つについて、説明します。
原因1:レンズの構造によるもの
レンズにホコリが混入する原因の1つは、構造的に完全な密閉が難しいためです。レンズには可動部分が存在することから、わずかに隙間が生じてしまいます。特にホコリが入りやすくなるのは、ズームレンズのズーム操作時やフォーカスリングの操作時です。
ズームレンズは焦点距離を、フォーカスリングはピントを合わせる働きがあり、どちらも左右に回転させて調整します。この操作で内部のレンズが前後に動くことにより、レンズ内部や外部の空気が出入りします。そのため、ホコリを含んだ空気の外部からの侵入を完全に防ぐことはできず、レンズに付いてしまうわけです。
原因2:レンズの設計と防塵性能
一般的なレンズは過酷な環境下での使用を想定しないため、特別な防塵性能は持っていないことが多いです。そのため、たとえば運動会など、風が強く土埃が舞うような環境で長時間撮影する場合は、比較的ホコリが付きやすくなります。
一方、高性能レンズは過酷な環境下の使用も想定されているため、防塵・防滴仕様が施されているのが一般的です。具体例としてゴムシーリングを採用する、もしくは特殊なコーティングをするなどの対策がなされています。
原因3:使用環境の影響
環境が悪い中でカメラを使用すると、レンズ内にホコリが侵入しやすくなります。主な例が、海辺や工場現場、砂漠といった砂塵が多い場所で撮影する場合です。
加えて湿気の多い場所での撮影も、ホコリでレンズ内を汚す可能性が高まります。一般的に湿度が高くなると、湿気とホコリが結合しレンズに付着しやすくなるためです。湿気の多い場所で頻繁に使用していると、レンズ内にカビが発生する可能性が高まりやすいので使用後のメンテナンスや保管方法に気をつけるようにしましょう。
どのようにカメラを保管すればよいかについては後述します。
原因4:長期間の使用による劣化
高性能レンズを使用していても、長期間使用すれば経年劣化などの影響で防塵性能は下がってしまいます。一般的なケースとして挙げられるのが、ゴムシーリングや接合部の素材の劣化です。これらが劣化すると隙間も生じてしまい、ホコリの混入が防ぎにくくなります。
カメラの使い方によっても、レンズの寿命に影響が及ぶことがあります。天候や地理的に過酷な条件下で撮影を繰り返せば、寿命は短くなりやすいです。なるべく長持ちさせるためにも、メンテナンスを行うことでレンズのコンディションにも配慮しましょう。
レンズ内部にホコリが入ってしまった場合はどうする?
レンズ内部にホコリが入ってしまった場合、自力で取り除くのはおすすめできません。レンズ内部は、精密機器で構成されているためです。
掃除機やエアダスターを使い、ホコリを除こうと考えている人もいるかもしれません。しかし、この方法ではホコリを完全に除去できないだけではなく、新たにゴミを送り込む危険性も高まります。
さらにレンズの分解・清掃には高度な技術が求められるほか、専門的な道具も必要となります。無理にホコリを取ろうとすると、レンズの表面を傷つけてしまい、光学性能を損なう恐れもあります。
このような理由から、レンズ内の掃除を自力でするのは避けたほうが賢明です。綺麗に掃除をしたいのであれば、メーカーにメンテナンス依頼をし、ホコリを取り除きましょう。
レンズ内部のホコリ除去ならメーカーのクリーニングサービスがおすすめ
レンズ内部のホコリ除去であれば、富士フイルムの点検サービス(Xメンテナンス)がおすすめです。『Xメンテナンス』『Xメンテナンスプロ』の2種類があります。
『Xメンテナンス』は、清掃や動作確認が中心です。一方で『Xメンテナンスプロ』は、『Xメンテナンス』の内容に加え、消耗部の確認や光学性能の精密検査などが行われます。それぞれのご利用料金については公式ページでご確認ください。
富士フイルム点検サービス『Xメンテナンス』『Xメンテナンスプロ』
レンズを清潔に保つコツ3選
レンズを清潔に保つには、3つのコツ(メンテナンス、レンズ交換、適切な保管場所)を押さえる必要があります。
● メンテナンス
● レンズ交換
● 適切な保管場所
写真の完成度のみならず、カメラの寿命にも影響を与えます。それぞれのポイントにおいて、特に重視すべき点を解説します。
定期的なメンテナンス
カメラを使用したら、ブロアーやクリーニングクロスを使った定期的なメンテナンスを行いましょう。特にホコリが付きやすいレンズの前玉と後玉は、細心の注意を払って清掃してください。
まず前玉・後玉についたホコリをブロアーで吹き飛ばします。その後、レンズをクリーニングクロスで優しく拭き上げます。クリーニングクロスでレンズを拭くときのコツは、中心から外側に向かって円を描くことです。力を入れすぎると表面を傷つけてしまうため、優しく拭き取るようにしましょう。
レンズの前玉と後玉の掃除が終わったら、必ず前後共にレンズキャップをつけ、レンズボディの溝や隙間に溜まっているホコリを落とします。ブロアーでホコリを吹き飛ばした後、クリーニングクロスで鏡筒全体を拭き上げます。
慎重なレンズ交換
レンズ交換は、カメラの内部が外気にさらされます。そのためホコリも入り込みやすくなるので、環境面には十分配慮しなければなりません。
レンズ交換時に意識したいポイントは、風の強い屋外やホコリの多い場所を避けることです。まずは部屋周辺を掃除し、ホコリの舞いにくい清潔な環境下で作業してください。
また交換する際には、カメラのマウント部分を下向きにするとホコリが入りにくくなります。レンズは取り外した後すぐにレンズキャップを装着することを忘れないようにしましょう。
保管場所への配慮
直射日光の当たる場所や湿度の高いところに、カメラを保管するのは避けましょう。カメラの保管において、おすすめのアイテムが防湿庫です。簡易ドライボックスのような手軽に持ち運べるタイプであれば、一緒に乾燥剤も入れてください。
レンズキャップや専用のポーチも、レンズをホコリから保護する点で効果的です。空気中にはホコリが蔓延しているため、一時的に置いているだけでもホコリが付着してしまうおそれがあります。使用したらすぐにレンズキャップを装着し、大切に保管しましょう。
カメラの保管方法で寿命が変わる?初心者でも実践できるカビ・湿気対策【Snap & Learn vol.24】
レンズケアを怠らず、常にクリアな状態で撮影を楽しもう!
より綺麗な写真を撮るには、レンズケアを怠ってはいけません。上述したとおり、レンズは構造的にホコリの侵入を完全に防げる構造ではありません。適切な環境で保管するだけではなく、定期的なメンテナンスも心がけてください。
メンテナンスする際には、ブロアーやクリーニングクロスといったアイテムも必要です。ただしレンズ内は精密機器で構成されているため、内部のホコリを無理に取り除こうとすることは避けたほうが良いでしょう。日常的なメンテナンスには気を配り、清掃できない汚れが気になった際には、クリーニングサービスの利用も検討しましょう。
手軽に綺麗な写真を撮るなら『X-T50』がおすすめ
手軽に綺麗な写真を撮りたいのであれば、富士フイルムの『X-T50』がおすすめです。
『フィルムシミュレーションダイヤル』が搭載されており、被写体やシーンに合わせて全20種類のフィルムシミュレーションを直感的な操作で切り替えることができるため、静止画・動画の両方でさまざまな色調をより気軽に楽しめます。
また、富士フイルムのWR(Weather Resistant)レンズは直径75μm以上の固体粒子の侵入を防止するため、屋外での撮影時においても頼もしい相棒となるでしょう。
photo by Mio Tangstad
