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Column 2018.03.09

【彩りコラム】by 新井まる(girls Artalk 代表) vol.04「心の色を映し出す」

子供の頃、旅先に画材とスケッチブックを持っていくのが新井家のスタンダードだった。

この前片付けをしていたら、昔の絵やスケッチブックがひょっこり出てきて、
懐かしさのあまり、片付けなどそっちのけで眺めてしまいました。

夏に妹と捕まえたカブトムシ
海に沈む夕陽をみて、夢中で塗ったオレンジや紫
旅館の窓から見えた霧がかった森。何とも言えない深緑は手持ちの色をどう組み合わせようか……。

そんな記憶が一気によみがえる。

「二度ともどらない瞬間を、心の動きと一緒にまるごと閉じ込めたい」

その気持ちは昔も今も全然変わってないなぁと、昔のスケッチブックを眺めながらちょっと可笑しくなりました。

大人になった今はというと、スケッチブックの代わりに相棒のカメラ「X-E3」とおでかけしています。

フィルムを交換するように、写真が撮れるフィルムシミュレーションと、
ホワイトバランス調整を組み合わせると、より絵を描くような感覚で写真が撮れる。

本来は、見ている色を忠実に再現するための機能だけど、
心の色を表現するのにもピッタリなのです。

さて、ここでご紹介したいのは、リストの再来と言われている23歳の若きピアニスト反田恭平さんのエピソード。

彼が弾いているのは、巨匠ホロヴィッツが愛用していた1912年製のスタンウェイのピアノです。反田さんは100年以上前につくられたこの楽器のことを、絵を描くときの絵の具に例えていました。

〜「絵の具のチューブから出したそのままの色が普通のピアノの鍵盤だとしたら、ホロヴィッツが愛用していたこのピアノは、パレットの上で混ぜ合わせた絶妙な色がひとつひとつの鍵盤になっているイメージ」〜 

ちょうどその鍵盤の色を調整するように、
私はカメラで心で感じた色に近づける設定をしているのかもしれません。

たとえば……

道ばたのスミレは若草色。
楽しいクッキングは、美味しそうなサーモンピンク。
うっすらブルーは、朝焼けを眺める窓ぎわの空気。

写真を撮るときはいつも、
スケッチブックに絵を描いていたあの頃と同じような気持ちで
柔らかい心になれる。

慌ただしくて心がすり減りそうなときでも、シャッターを切ることで
知らずしらずのうちに心のバランスを保っている気がします。

街角で、一足早く咲きはじめた桜を発見!
春の足音はこんな色かな……?

春はもうすぐそこですねぇ。

今回登場したカメラ

FUJIFILM X-E3

Profile

新井まる(Maru Arai)

アート専門webマガジン「 girls Artalk(ガールズ・アートーク) 」代表 / 株式会社maru styling office 代表取締役
 
イラストレーターの両親のもと、幼いころからアートに触れ、強い関心を持って育つ。
大学時代からバックパッカーで世界40カ国を巡り、美術館やアートスポットなどにも足を運ぶ旅好き。
新卒採用で広告代理店に就職し営業として3年間勤務の後、アパレルEC部門の販促に約1年間関わる。その後、一念発起して独立。アート専門webマガジン「girls Artalk(ガールズ・アートーク)」を立ち上げ、アートの魅力を伝えることに日々奮闘している。
好きなものは、餃子とお酒と音楽と旅。

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「 girls Artalk(ガールズ・アートーク) 」は、「ガールズトークをするように、アートの話をしよう」という想いからできた、アートをもっと身近に楽しむためのアート専門webマガジン。各分野で活躍する女性ライターやモデルたちがリアルな目線で情報を発信。アート業界から注目を集めている。

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