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Review 2025.08.22

【Xシリーズレビュー】〜俳優・小関裕太と『X-E5』〜変わりゆく自分と、変わらない“好き”と

近年、話題を呼んだドラマでの好演も記憶に新しい俳優の小関裕太さん。ドラマ・舞台への出演をはじめ、フォトグラファーとしても活躍の場を広げている注目の存在です。そんな小関さんの表現に寄り添い続けてきたのが、18歳のときに購入した『X-E2』。今回は、10年以上にわたって愛用してきた“相棒”の最新モデルにあたる『X-E5』での撮影を体験していただきました。自身にとってカメラは「変わらない好き」と「変化していく自分」を表現するツールだと語る小関さん。そのまなざしを通して、愛機『X-E2』との共通点と進化のポイント、『X-E5』の魅力を紐解いていきます。

Interview:小関裕太

――IRODORIにご登場いただくのは、昨年開催された写真展『LIKES』時のインタビュー以来となります。写真展以降フォトグラファーとしての活動にもさらに注目が高まるなか、現在はカメラとどう付き合っていらっしゃるのでしょうか?

写真展を経験したことで写真や生活の中の物事に対する視野が広がったように感じていますし、撮影のお仕事や撮ったものを見ていただく機会も増えました。とはいえ、次回の写真展を見据えるというよりは、これまでと変わらず「いいな」と思った瞬間を『X-E2』で撮るスタイルを続けていきたいなと思っています。

――小関さんが12年にわたって愛用している相棒『X-E2』への愛は、前回のインタビューでも語っていただきましたが、同時に「もし今後『X-E5』が発売されたりするならEシリーズ縛りで2台持ちしてもいいかなあ」ともお話されていましたよね。今回、X-Eシリーズ最新機種『X-E5』を、手に取ったときの第一印象から教えてください。

まず、箱を開けたときにテンションが上がったのが、この美しい佇まい。僕が愛用している『X-E2』は少し丸みのあるシルエットですが、『X-E5』はミニマムで洗練されたボディデザインが素敵だなと思いました。実際に手に取ってみると、Eシリーズらしいコンパクトさはそのままに重厚感と品があって、「新しい時代のカメラだ」という高揚感がありましたね。

――アルミ切削加工のみで成形された軍艦部や天面左側に設けられた窓付きのフィルムシミュレーションダイヤルといった、Xシリーズ初となる仕様も“新しい時代”を感じさせてくれる大きな要素ではないでしょうか。

もともとフィルムシミュレーションダイヤルについては事前に耳にはしていて、どんな仕様になるのかなって予想はしていたのですが、Xシリーズの象徴でもある軍艦部も今までよりさらにカッコよくなっていて、さらにそこにフィルムシミュレーションダイヤルまで追加されていて、想像を超えてくるこだわりと新しさへの驚きがありました。

――今回、仕事やプライベートのさまざまなシチュエーションで『X-E5』を体験してくださったそうですが、これまでの撮影と違いを感じた場面は?

一番は、撮影のスピード感ですね。今回、自分がMCを務めている音楽番組で『X-E5』を使ってライブ撮影をする機会があったのですが、照明の明るさが安定しない環境でアーティストの動きも追わなきゃいけないし、失敗したらもう同じシーンは撮れないプレッシャーを感じているなかで『X-E5』のレスポンスの速さといろんな設定を手早くできる操作性は心強かったです。

――『X-E5』に新しく採用されたコントロールレバーやAFモード切り替えスイッチなども撮影のスムーズさや安心感につながったのではないでしょうか。

とくにAFモードの切り替えは『X-E2』ではダイヤルからだったのですが、『X-E5』は側面部のスイッチで切り替える形に仕様が変わって、慣れるまでに少し時間はかかりましたけど使っているうちに素早く切り替えられるようになって、便利だと思いました。フィルムシミュレーションダイヤルもすごく画期的でしたね。今回『X-E5』を手にしたタイミングがモノクロ写真を撮りたいと思っていた時期と重なっていたこともあって、「これはモノクロで撮りたい」と感じたときにパッとダイヤルで切り替えて、さらにそこから明暗やホワイトバランスを細かく調整できるので、表現の自由度が高いカメラだなと感じました。

――今回『X-E5』で撮影してくださった写真の中から小関さんがとくに思い入れのある3枚をセレクトしていただきました。まずは、光と影のコントラストが叙情的なモノクロの1枚から。こちらの写真にはどんな意図が込められているのでしょう?

『ACROS+Rフィルター』で撮影した、自分としては珍しく明暗の深い写真です。空間自体にレトロで重たい雰囲気があったので、この空気感にじっくり浸れるような写真にしたいと思って、パッと見ではよくわからないけど集中して見てみるとしっかり全体を捉えられるような絵を意識しました。今って、カラーで撮ったあとアプリでモノクロに加工できちゃうじゃないですか。しかもトーンの選択肢も豊富ですよね。だけど、この写真のように窓から差し込む光に照らされた柔らかな明るさと、手前の影がつくる深みとのあいだに生まれる穏やかな階調はアプリでは再現できないところだと思います。

――『X-E5』には約4020万画素の高画素センサーが採用されているので、大判プリントももちろん可能。プリント鑑賞だと、また違った魅力も発見できそうですね。

マット紙でポストカードにしてもいいし、光沢紙で大きく引き伸ばしても良さそうだなと思っています。約4020万画素ってすごいですよね。僕はわざとブレさせたりピントを外した雑味のある写真が好みなんですけど、そうした写真こそ高画質のカメラで撮ることで“不完全さ”さえも質感やニュアンスとして細かく再現されます。写真が持つ“引き込む力”は高い画質や解像度から生まれるんだなと改めて感じました。

――2枚目は、色使いが印象的な作品。映画ポスターのようなインパクトがありますね。

写っているのは僕の足なんですけど、このとき履いていたブルーのパンツと赤い絨毯ってコントラストの強い組み合わせだったので、写真にするとどんな絵になるのかな?という遊び心で撮りました。こちらはPRO Neg.Stdで撮影しています。少し彩度を下げることでブルーとのなじみも良くなって落ち着きのある写真になったと思います。画質設定をしっかり活用するようになったのは最近なのですが、フィルムシミュレーションをさらに自分好みに設定できるというのはすごく特別感がありますね。

――『X-E5』にはダイヤルのFS1-FS3のポジションに、フィルムシミュレーション+自分好みの画質設定を個別に登録して、オリジナルの「FSレシピ」として保存できる機能が搭載されましたが、より自由で繊細な表現が可能になりますね。

その人らしい写真の個性が広がるし「僕のレシピで撮った写真だよ」って自慢したくなっちゃいますよね。フィルムシミュレーションというパレットで自由に遊ばせてもらえる感じがすごく楽しいです。あまりにも自由度が高くてちょっと悩んじゃうところもありますけど、これからXシリーズを使ってみようという人はまずは自分の好きなフィルムシミュレーションを見つけて、そこから徐々に自分の好みを探っていくといいんじゃないかなと思います。

――そして3枚目は、ささやかな一瞬を丁寧に切り取った作品。水滴の描写にこだわって、何度もトライされたそうですね。

生活感のなかにある幻想的な雰囲気や静けさを美しく撮りたいなと思って、この写真にはすごく時間かけました。もともと暗い部屋で、水滴を撮るためにシャッタースピードを速めるとさらに暗くなってしまうのでそこに少し苦戦しました。こちらもフィルムシミュレーションは、PRO Neg.Std。僕はカメラを構えるときにいつも自然と呼吸を止めてしまうので、このときも水滴の加減調整と息継ぎを繰り返しながら撮影しました。

――今回、『X-E5』の発表に合わせて登場したレンズ『XF 23 mm F2.8 R WR』で撮影していただきましたが、こちらのレンズについての印象も教えてください。

『X-E2』のキットレンズ『XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS』での撮影に慣れているのでパンケーキレンズでの撮影自体が新鮮だったのですが、とても明るく写るしズームレンズの焦点距離の広角側と近い感覚で撮れるので違和感なく使えました。あとはやっぱり、コンパクトに収まるぶん持ち歩きがしやすくて、旅や仕事での移動が多い自分としてはありがたいですね。

――小関さんは旅先にフィルムカメラも持参されることもあるそうですね。

『写ルンです』もよく使っています。画角や明暗、入り込んじゃう光や傷のような偶発的なものも含めて想像を超えたものを写し出してくれるのがフィルムの良さ。逆に、色味や画質のすべてを操作して写真に自分の意思を込められるのがデジタルの良さだというふうに自分の中ではっきり棲み分けをしています。なので、旅のように偶然の出会いを求めているときには、フィルムカメラで撮ることが多いです。ただ、デジタルだからこそ出会える新しい世界もありますし、どんなふうにも撮れるからこそ自分が気づかなかった自分自身を見つけられるというのは『X-E5』の新しい機能に触れるなかで改めて感じたところでもあります。

――「『X-E2』は僕にとって相棒であり、物理的な旅だけじゃなく自分探しの旅をするうえでも重要なツール」という以前のインタビューにもつながるお話ですね。

役者は感情を軸にやる仕事なので、どうしてもオンとオフを切り離せないところもあって。そんなふうに変わり続ける自分の心情と状況と環境とが揃う一瞬を切りとるということにカメラという相棒を持つこと、写真を撮ることの素晴らしさがあると思っています。先日、ドラマで共演している方が「『X half』を購入しました!」って報告してくれたんですけど、今回僕も『X-E5』を通して最初に『X-E2』を手にしたときのワクワクが蘇ってくる感覚があったので、すごく共感できるところがありました。『X-E5』は無限の可能性が詰まった長く楽しめる1台だと思います。

text by 野中ミサキ(NaNo.works)
photo by Kana Tarumi
hair & makeup by MARIKO SASAKI
stylist by Yukina Yamanaka

衣装クレジット:
ニット¥39,600 saby 問 evolve/03-6823-5074
パンツ¥4,980 MDR 問 osharewalker /HP:https://www.osharewalker.co.jp
その他スタイリスト私物

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