【X/GFXシリーズユーザーインタビュー】フォトグラファー・北原優 歩幅を合わせてくれる、相棒のような存在の富士フイルムのカメラたち
大学時代、留学を機に『X-M1』を手に写真を撮り始めた北原優さん(@yukitahara_)。クリエイティブな仕事に就くことを目標に写真を撮り続け、制作会社でスチールとムービーの実践を経験した後、2025年6月にフリーランスのフォトグラファーとして独立されました。さまざまなプロの道具を操る日々を経て、フリーランスとしての武器として選んだのは『GFX100 II』『GFX50R』『X-H2S』。この選択には、カメラとレンズへの北原さん流のこだわり、ご自身の表現者としてのスタンスとの相性などがあったといいます。
Interview:北原優
クリエイティブな仕事に就くためにはじめた写真
──写真を撮るようになったきっかけを教えてください。
元々はデザイナーなどクリエイティブ系の仕事をに就きたいと思っていました。ただ、紆余曲折あって地元の宮崎県で語学系の大学に進学したんです。大学には『祝就職』と書かれた卒業生が就職先が記載されている掲示板があって、そこにはスーパーマーケットや航空会社ばかり。自分が思い描いていた将来像とのギャップに焦りを感じ、いろいろな先生にクリエイティブ系に進むにはどうしたらいいかを相談していたんです。そうしたら、絵でも文章でもいいから、とにかく1日5分でいいからアート活動をしろと。でも僕は絵も文章もうまくないので、じゃあ写真をやってみようかなと思い立ったんです。ちょうどカナダ留学をすることになったタイミングで、身の回りのものを売って手に入れたのが『X-M1』でした。クラスメイトがX-A5を持っていて、それがすごいかっこいいなと思っていたのと、予算に収まってくれたので(笑)。
──そこからいかにプロのフォトグラファーになっていったのでしょう。
留学中は1日1枚、必ずInstagramに投稿するようにしていました。ちょうどカナダでもInstagramが広がり始めていた時期で、写真系アカウントにフィーチャーされたり小さなものですが賞をいただいたく機会があったりしました。本当に勘違いなんですけども、そこで「写真うまいかもしれない」と思うようなって、そのまま続けることができました。
卒業後はロンドンに留学してクリエイティブ関連を勉強する予定だったのですが、コロナ禍になり留学を断念することになりました。その後、地元でしばらくニートをしていたのですが、東京に住んでいた先輩から「東京に来ないか」と誘っていただいてその先輩のシェアハウスに転がり込みました。当時から写真の仕事はしたいという思いはあったものの、繋がりもない中で簡単にはできるわけもなく……。そんなとき、たまたま先輩から教えてもらった制作会社でインターンを始め、実践の中で写真と映像を学びました。そして2025年6月にフリーランスに転向しました。
──そうした経験を経て、現在はどのような写真を撮っているのでしょうか?
言語化するのが難しいですが、光がキラキラとしているの様子が好きで、波の反射や夜走っている車の反射など目で追ってしまいます。また、油絵っぽいトーンの写真に惹かれますね。ただ、いまは仕事の撮影ばかりになってしまっていて、留学のときのようにじっくりと写真を撮る時間があまり見つけられていないです。
なくてはならない存在『XF56mmF1.2 R APD』
──現在は『GFX100 II』『GFX50R』『X-H2S』などをお使いです。どんな点に魅力を感じていますか?
これまでに『X-T1』や『X100V』なども使ってきましたが、常に富士フイルムのカメラは大切な存在です。その理由は第一にフジノンレンズ、『XF56mmF1.2 R APD』の存在ですね。とにかく好き。これが使いたいからXシリーズを愛用しています。通常の『XF56mmF1.2 R』と比べると APDが導入されていることでわずかにF値が暗くなるわけですが(ボケを美しくするアポダイゼーションフィルターを搭載しており、そのフィルター分の減光がある)、被写体が浮き出ているような感覚が唯一無二だと感じているんです。まだ丸の内に『FUJIFILM Imaging Plaza 東京』があったとき、APDの効果を知りたくて試しにいったのを覚えています。
──愛用の『XF56mmF1.2 R APD』は現在『X-H2S』でお使いということですね。『X-H1』も使っていたそうですが、『X-H2S』に買い替えてみての感想は?
スチールもムービーも求められる案件が多く、そのようなハイブリッド的な立ち回りをしてくれるカメラとして導入しました。『X-M1』から『X-T1』、その後『X-H1』の時期が5年ほどあっていちばん長かったんです。でも『X-H2S』はシャッターダイヤルがなくなってしまって乗り換えを見送っていたんですが、手に入れてからはグリップの深さやコマンドダイヤルの配置含めしっかり設計として考えられていることが分かり、『X-H2S』もとても好きになりました。
──富士フイルムの色についてはどのように感じていますか?
もちろん富士フイルム製カメラならではの色も気に入っています。案件の都合で他社の機材を使うこともありましたが、どうしても自分の納得のいく色に持って行けなくて頭を抱えていました。赤点じゃないけれど、納得はいかないというような感じ。特に赤と緑が思った通りに出ないんです。ずっとそれが悔しくて……。その点、Xシリーズをたまに仕事で使うと、驚くほどハマることがありました。そんな経験を重ねるなかで、フリーになると決めたときに『GFX100 II』『GFX50R』『X-H2S』を一度に購入、仕事のための機材もX/GFXシリーズにしました。完全にテンションがバグっていましたね(笑)。
──それはかなりの覚悟ですね!フィルムシミュレーションはいかがでしょうか。
仕事の撮影であってもフィルムシミュレーションを使うことは多く、いまはREALA ACEを愛用しています。REALA ACEが登場する前はPROVIAとPRO Neg.Stdで撮ることがほとんどでしたね。現像はCapture Oneを使っていて現像を行うのですが、大きく手を加えなくてもREALA ACEは十分に美しく発色してくれるのがすごいと思っています。
──REALA ACEを気に入っている理由は?
PROVIAは意外とビビッドに発色しますが、REALA ACEは少し落ち着きがあり、いまの僕の作品のスタイルには合っていると感じています。PROVIAを使っていたときは、編集で色味を落ち着かせるようにしていたので、そういった調整をすることが少なくなったなと思いますね。感覚的な話なのですが、Instagramに上げている写真を見返してみても、少しフェードかかったトーンの写真が多くて、そういう描写が自分の好みなのかなと思っています。
静止画と動画、その両立を叶える『GFX100II』
──GFXシリーズの2台についても使い分けをお伺いしたいです。
いまは広告の仕事が主で、人物を撮る機会が多いかと思えば、物撮りの仕事もあり……オールラウンダーなカメラが欲しいと思っていました。そして、フリーランスになるのであれば後悔はしたくなかったので、いま世の中にある最も良いカメラを使いたいと思い『GFX100 II』は購入を決めました。また、Capture Oneと繋いで使うことが多く、そのような環境だととても操作感がとても良く、ファンクションボタンへの割り振りなども扱いやすいですね。
僕は動画を『GFX100 II』で撮ることもあるのですが、その切り替えのしやすさなどもあります。仕事で撮影する動画のメイン機は『X-H2S』ですが、自分の作品を撮るときには『GFX100 II』を使うこともあったり。仕事ではビスタビジョン(40.96mm x 21.60mm)サイズのシネマカメラを使うこともありますが、『GFX100 II』ならそれに近いようなセンサーサイズで撮ることができるんです。一方で『GFX50R』は昔ながらのデザインやダイヤルが豊富に付いているのが好きで、ほぼプライベート用として使っています。また、Gマウントのレンズは『GF45-100mmF4 R LM OIS WR』を重宝しています。
プライベートの一部になるX/GFXシリーズ
──表現者としての目標はありますか?
単純に撮っていたいです。元々、広告なども好きですし。撮るということは僕にとってコミュニケーションツールのひとつ。だから、楽しく続けていけたらと思っています。
──富士フイルムのカメラは、そんな感覚の北原さんに寄り添ってくれるカメラという感覚でしょうか。
そう思います。機材としてのカメラというより、自分のプライベートの一部になるようなカメラを使いたいという気持ちがずっとありましたが、そんな存在になってくれていると思います。『GFX50R』も含め、過去に使っていた『X-H1』や『X100V』も同じ感覚でした。僕はせかせかできない人間。XシリーズやGFXシリーズは、相棒のように自分の歩幅に合わせてくれますね。結局、最高峰のカメラってAF性能とかで計れるものではないと思っていて。むしろ、癖が強いカメラが多いじゃないですか。こういう表現をする、こういうスタイルで撮るならこのカメラだよね、みたいなものがあって、富士フイルムのカメラはまさに僕のスタイルにフィットしてくれる感覚です。
text by 鈴木文彦
今回登場したカメラ


























