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Review 2022.12.14

【Xシリーズレビュー】クリエイター・大瀧拓也と『X-H2』 写真も、動画も。圧倒的解像度が際限ない表現欲求を満たす

新開発の約4020万画素『X-Trans™ CMOS 5 HR』センサーと高速画像処理エンジン『X-Processor 5』を搭載した、シリーズ史上最高画質を誇るフラッグシップモデル『X-H2』。被写体を正確に捉える高機能AF、そしてXシリーズとして初めて8K/30P 4:2:2 10bitの映像記録に対応した、どこまでも表現の可能性を広げてくれる一台です。今回は、フリーランスクリエイターとしてさまざまな企業・ブランドの展示会映像やWeb CMを手掛け、スチールカメラマンとしても活躍する大瀧拓也(@takutaki)さんにX-H2での撮影をリクエスト。撮影体験から感じた機動力やフィルムシミュレーションの魅力について語っていただきました。

Interview:大瀧拓也

――Xシリーズでの撮影体験は今回が初めてだったそうですね。もともと富士フイルムにはどんなイメージをお持ちでしたか?

富士フイルムさんがミラーレス一眼を展開していることは知っていたのですが、普段趣味でフィルム写真を撮っていることもあって、フィルムメーカーというイメージが強かったんです。なので、個人的にフィルムシミュレーションにはすごく興味がありましたね。

X-H2 /XF33mmF1.4 R LM WR /F2.0 /1/100秒 /ISO2000
フィルムシミュレーション:ETERNA

――では早速『X-H2』について、まずはボディ本体や操作感についての感想から聞かせてください。

普段使っているのが、いわゆるミラーレスの中でもあまりボディの厚みがないカメラなので、しっかり重厚感のあるボディが新鮮でした。ただ、見た目ほど重さは感じませんでした。特に良いと感じたのが、握ったときの安定感。深めのグリップですごく手に馴染む感覚があって、撮影時にも疲れにくいホールド感がありました。操作性については、ISO感度やホワイトバランスがあらかじめボタンに割り当てられているので、とっさに数値変更を出来たりと操作が直感的で使いやすいと感じました。

▲X-H2

――撮影時、特に印象的だった機能などはありますか?

X-H2 /XF33mmF1.4 R LM WR /F1.4 /1/2500秒 /ISO125
フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

一番良いなと思ったところが、マニュアルフォーカスアシストですね。僕が使っているカメラにもアシスト機能はあるのですが、ピントエリア中心に拡大してしまって全景が見られなくなっちゃうんです。X-H2は、フォーカスチェックの機能でファインダーを覗いたそのままの状態の全景と拡大して寄った状態の画を瞬時に切り替えて見えるので、ピントを合わせたいポイントがすごくわかりやすかったです。特に今回お借りしたレンズ(『XF33mmF1.4 R LM WR』)は、開放で撮るとピントのシビアなF値の明るいレンズだったので、よりその便利さが体感出来たのかなと思います。また、ポートレート撮影では、オートフォーカスの精度の高さも感じました。モデルさんのポージングの変化を捉えて正確かつスムーズに瞳にピントを合わせてくれるので安心感がありましたね。

X-H2 /XF33mmF1.4 R LM WR /F1.4 /1/2500秒 /ISO125
フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

――もともと気になっていたと仰っていたフィルムシミュレーションについてはいかがでしたか?

普段、映像でも写真でもあとから調整することを考えながら撮影するクセがついてしまっていて。基本的にはRAW現像で自分のイメージに近づけて調整していく流れなのですが、現像せずとも、フィルムシミュレーション次第で雰囲気がガラッと変わる楽しさがすごくありましたし、その場で画を完成させようという意識で撮るのも楽しいなと感じさせてくれるカメラだなと思いました。今回JPEGでの撮って出しというお題をいただいたので、フィルムシミュレーションの質感なども気にしながらいつも以上に一枚一枚集中して撮影しました。

――では、ここまででお話いただいたポイントを踏まえつつ、今回撮影していただいた写真を拝見しながらX-H2での撮影の感想をさらに伺っていきたいと思います

今回、お借りした二つのレンズのなかでも大口径中望遠レンズの『XF56mmF1.2 R WR』をメインに使わせてもらいました。レンズ自体の描写力が高いので、ちょっと引き目に撮った写真でも手前や奥のボケがすごくキレイに出ているなと感じました。F値が明るいレンズなので、柔らかいボケと不自然じゃない馴染み具合がすごく好みでした。

X-H2 /XF56mmF1.2 R WR /F1.4 /1/250秒 /ISO125
フィルムシミュレーション:クラシックネガ

X-H2 /XF56mmF1.2 R WR /F1.6 /1/1600秒 /ISO1600
フィルムシミュレーション:クラシックネガ

こちらの写真は、フィルムシミュレーションのクラシックネガで撮影。クラシックネガは、『写ルンです』的な色みで親近感がありました。ETERNAと比べるとダイナミックレンジが狭目な印象で、ハイライトとシャドウのバランス調整がちょっと難しく感じましたが、光と影のコントラストがハマればめちゃくちゃカッコいい画になると思います。

X-H2 /XF56mmF1.2 R WR /F1.2 /1/8000秒 /ISO125
フィルムシミュレーション:クラシックネガ

フィルムシミュレーションのETERNAは、ほど良く彩度が低くて階調が滑らか。特に空を撮ったときに本当に映画みたいな色みを写し出してくれるところがすごく好みでした。この写真も、実際ではもうちょっとレースの色が濃いんですけど、ETERNAで撮ったことで生地の柔らかさや優しい雰囲気が出ているし、空も幻想的な色合いになっていると思います。

X-H2 /XF56mmF1.2 R WR /F1.2 /1/8000秒 /ISO125
フィルムシミュレーション:ETERNA

X-H2 /XF56mmF1.2 R WR /F1.2 /1/8000秒 /ISO125
フィルムシミュレーション:ETERNA

ノスタルジックネガは、個人的にすごく好みなフィルムシミュレーション。温かみのある色みは人の肌も美しく見せてくれるし、万能だと思います。クラシックネガと比べて色乗りも良く階調も豊かで使いやすいなあという印象です。ETERNAがシネマ感で、クラシックネガがザ・フィルムだとしたら、ノスタルジックネガはそれとまた違った情緒的な雰囲気があってすごく素敵でした。

X-H2 /XF33mmF1.4 R LM WR /F1.4 /1/600秒 /ISO1250
フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

X-H2 /XF33mmF1.4 R LM WR /F1.4 /1/100秒 /ISO640
フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

最後に、ETERNAで撮影した、すごく気に入っている一枚です。月が出る時間帯の空の絶妙なグラデーションも美しく、ETERNAのダイナミックレンジの広さがよく表れていると思います。逆光の写真もハイライトと影になっている部分のバランスがうまく取れていて、本当に映画の1シーンのような写真になりました。

X-H2 /XF33mmF1.4 R LM WR /F2.5 /1/800秒 /ISO1250
フィルムシミュレーション:ETERNA

X-H2 /XF33mmF1.4 R LM WR /F2.2 /1/250秒 /ISO125
フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

――今回は静止画だけでなく、動画撮影もお試しいただいたそうですね。

そうですね。今回は写真撮影がメインだったので、もし機会があれば今度はETERNAで撮影した動画を切り貼りした映画っぽい作品を作ってみたいですね。動画撮影で印象的だったのは、手ブレ補正の強力さ。実際、三脚やジンバルを使えない現場もあるので臨機応変に対応出来るよう手ブレ補正は重視しているのですが、X-H2は僕が普段使っている、より動画に特化したカメラと比べても手ブレ補正が強力だと思います。8K動画に対応しているという点もすごいですし、長時間撮影やLog撮影も出来るということなので、X-H2は動画メインに撮影される方にもオススメできるスペックなんじゃないかなと思います。

X-H2 /XF33mmF1.4 R LM WR /F2.2 /1/100秒 /ISO1000
フィルムシミュレーション:ETERNA

――では最後に、改めてX-H2と今回の撮影について感想をお願いします。

「本当にAPS-Cセンサーなんですか?」というのがX-H2を使わせていただいた感想です。そのくらい解像感も素晴らしいですし、そもそもAPS-Cで4000万画素って、聞いたことがないですよね。髪の毛やまつ毛といった繊細な部分もしっかり写せていますし、風景にしても歪みや滲みがなくキレイに撮れていて、すごく満足感がありました。今回とても楽しく撮影させていただいて、表現の幅が広がっていく感覚やJPEG撮って出しでも画が完成されているところに感動しました。そういったところは富士フイルムさんがとても大切にされている部分なんだろうなと感じました。周りにいるユーザーから評判は聞いていましたが、X-H2を体験してXシリーズが選ばれる理由がわかったような気がします。

X-H2 /XF56mmF1.2 R WR /F4.0 /1/160秒 /ISO125
フィルムシミュレーション:クラシックネガ

text by 野中ミサキ(NaNo.works)

Profile

大瀧拓也

photographer
映像制作会社を独立し、クリエイティブチーム「akioto」を設立。
以後、フリーランスクリエイターとして活動し、映像を中心に企業VP、MV、WebCM、ウェディング映像などの企画・撮影・編集を行う。写真では特にポートレート撮影を得意としており、被写体をより魅力的に写し出すことに定評がある。
Instagramでは48kフォロワーを持ち、映像・写真それぞれの特色を活かし様々なPRに携わっている。
Instagram:@takutaki
Web:https://akioto.amebaownd.com/

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