Tips 2021.05.07

“自分らしい写真”を見つけるまで〜写真家・茶々さんの場合〜

カメラが手に馴染むようになってくるころ、おそらく多くの人が考えるのは“自分らしさをどう表現するか”ということではないでしょうか。現在プロとして活躍されているフォトグラファーの方々も、きっと「これだ!」というかたちに出会うまでは紆余曲折があったはず。そこで、IRODORIではXシリーズを愛用しているフォトグラファーの方々の“自分らしい写真”に出会うまでのストーリーやそれを叶える機材・設定などを詳しく綴っていただきます。第8回目は茶々(@Haya_chi25)さんです。

Vol.8:茶々

X-Pro2/XF35mmF1.4 R/F値:2.8/シャッタースピード1/1100 /フィルムシミュレーション:クラシッククローム

はじめまして、茶々といいます。1994年生まれ秋田県出身で、現在も秋田で写真活動をしています。普段は会社員で休日に写真を撮っており、本格的な写真歴は約2年半になります。

カメラを初めて手にしたのは高校2年生のとき。当時流行っていたSNSでブックマークしていた方がデジタルカメラを持っていて「私もカメラ欲しい!」と父にお願いして誕生日に買ってもらいました。その後、もう少しいいカメラが欲しいと思い購入したのが他社の一眼レフです。当時、カメラは旅行など何かイベント事で使っており、日常生活ではほとんど使っていませんでした。

そして社会人になり、ほぼカメラがインテリア化されていた頃にたまたまインスタグラムで素敵なギャラリーを見つけ、引き込まれ、「私もこんな写真が撮りたい!」と思い本格的にカメラを始めました。その方の使っていたカメラが『X-Pro2』だったので迷わず同じものを購入。これが私のXシリーズとの出会いです。

風景写真から始まり、たまにポートレートも撮り、現在はフード写真を撮るようになり施設・雑誌への写真掲載や写真教室、こういった執筆などさまざまな活動をしています。

カメラを始めた当初は近所の風景写真を撮影していた

カメラを始めた当初は田舎の田んぼ道を歩いたり、誰もいない公園で何かを探して撮っていました。カメラの設定などはほぼわからないまま写真を撮りに行き、ダイヤルを触りながら感覚で撮っていました。この写真は早朝に撮った薄明の空です。風景写真をよく撮っていた頃は、朝早起きして近所に車を走らせ、グラデーションが綺麗な空の写真を撮っていました。

X-Pro2 /XF35mmF1.4 R /F値:4.5 /シャッタースピード1/60 /フィルムシミュレーション:クラシッククローム

基本写真を撮りに行くときは一人。しかもいつも近所で撮っていたのでいつしか同じような写真が多くなっていきました。別のジャンルもと思い、友人に声をかけてポートレート撮影にも挑戦しました。撮影している時は楽しいし、喜んでもらえるのが何より嬉しかったんです。

X-Pro2 /XF35mmF1.4 R /F値:2.8 /シャッタースピード1/6400 /フィルムシミュレーション:クラシッククローム

ですが、会社員をしながらモデルを探し、数少ない休みの中で予定を合わせないと撮影できないポートレートは続けられないなと判断したため、その後は風景写真を撮り続けていました。

自粛を機にお菓子作りを再開したことがターニングポイントに

そして2020年3月、世間は自粛生活が始まり休日はおうち時間に。それまで休日は外に写真を撮りに行っていたので家で何をしようか考えた結果、もともと好きだったお菓子作りに久しぶりに挑戦しました。作った後で「どうせだったら写真を撮ろう」と思い、白テーブルの上でシンプルな写真を撮ったのが思いのほか自分の中で気に入り、「お菓子作りは楽しいし、食べられるし、写真も撮れるし、一石三鳥!」ということでフード写真撮影を始めることにしました。

X-T4/XF35mmF1.4 R/F値:2.0/シャッタースピード1/50 /フィルムシミュレーション:クラシッククローム

ちなみになぜ”テーブルフォト”ではなく”フード写真”なのかというと、私の考えでは、テーブルフォトは小物を使ってスタイリングするイメージ。一方で私の写真は小物等をほぼ使わずに食べ物ひとつをシンプルに撮るので、テーブルフォトとは少し違う気がします。フード写真というほうがしっくりくるのでそう言っています。

自然光のもと、はじめは白テーブルの上に食べ物を置いて俯瞰で撮影をしていたのですが、横からシンプルでお洒落に撮りたいということで背景紙を使用し始めました。(田舎の実家暮らし。背景になるお洒落な壁などないのです)これが今のスタイルとなっています。

X100V/F値:3.2/シャッタースピード1/60 /フィルムシミュレーション:クラシックネガ

私は、作る工程や食べかけを切り取ったもの、動きのある写真が好きなので、そういったものをよく撮ります。風景写真を撮っていた頃から葉っぱが落ちる瞬間や水が跳ねる瞬間を切り取るのが好きでした。フードでもそういう瞬間を撮りたいと思って、最初に思いついたのが“プリンがカップから落ちる瞬間”です。それからフードに動きをつけ始め、Twitterに写真を載せていくうちに徐々にお仕事もいただけるようになりました。

X100V/F値:4.5/シャッタースピード1/500 /フィルムシミュレーション:クラシックネガ

構図は主に日の丸構図のザ・シンプルなのが好きです。これも風景写真の頃から。私の場合風景からフードに入っているのですが、フードで撮りたいイメージが風景でいうと“広い海や空を背景に真ん中にポツンと船や鳥が重なる”イメージです。

クラシカルな見た目とフィルムのような色味に惹かれて

私がXシリーズのカメラを使用する理由は主に①色味 ②見た目 ③操作性この3つになります。
単純です(笑)

カメラを本格的に始めるときに買ったカメラがX-Pro2だったのですが、写し出される色味とそのクラシカルな見た目に魅了されました。富士フイルムのXシリーズにはフィルムのような色味を楽しめるフィルムシミュレーションというワクワクするような機能があり、私のお気に入りはクラシッククロームとクラシックネガです。彩度を抑えてどんな場面でもどこか懐かしい雰囲気・エモさを引き出してくれます。

X100V/F値:6.4/シャッタースピード1/125 /フィルムシミュレーション:クラシッククローム

カメラの設定に関しては色温度をK(ケルビン)でシーンごとに調整することが多いです。色温度はフードを撮る際にはほとんど触れませんが、風景において夕方だったら数字を小さくしてオレンジを少し強くしたり、雨の日だったら数字を大きくして寒色系の色にしたりとかです。ただ数字をどちらかに大きく振りすぎると不自然な写真になってしまうのでそこは仕上がりを見ながら気をつけています。ISO・シャッタースピード・F値以外の細かい設定は基本オートにしています。

X-Pro2は、天面を見ると現在の設定を把握でき、ダイヤルをササっと回してすぐに設定が変えられる点と、フォーカスレバーが使いやすいと感じています。あとは個人的にX-Pro2の少し乾いたような軽い“パシャッ”というシャッター音とシャッターボタンを押した瞬間の手に伝わる感覚が好きです。

X-Pro2の他にはコンパクトデジタルカメラの『X100V』、ミラーレスデジタルカメラ『X-T4』を使用しています。

X-Pro2/XF35mmF1.4 R/F値:4.0/シャッタースピード1/250 /フィルムシミュレーション:クラシッククローム

X100Vを選んだ理由は「気軽に持てるコンデジが欲しいと思った」のと「フィルムシミュレーションのクラシックネガを使ってみたかった」という2点です(もちろん見た目も好きでした!)。クラシックネガはフード写真を撮る際に使っており、そのあとにVSCOで『E3』のプリセットを当てるのが好きです。
X-T4を選んだ理由は色味・見た目の他に、動画も撮りたいと考えていたのでバリアングル液晶が決め手でした。

現在使用しているレンズは『XF35mmF1.4 R』と『XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS』です。どちらもリーズナブルな価格で写りも良いのでずっと使っています。

思い切って違うことに挑戦することで、新しい道が開けるかもしれない

カメラを始めて約2年半。SNSを見て、あれも撮りたいこれも撮りたいといろいろなジャンルに挑戦しました。やはり中には撮影・レタッチともに苦手だと感じるジャンルもあり、落ち込んだ時期もありました。私はたまたま以前から好きだったお菓子作りを再開し、それを撮るうちに食べ物を撮るのが合っているのかなと感じ始めたのですが、最初の頃は「これ(フード写真)でいいのかな」なんて悩むこともありました。結果、だんだん楽しくなり今こうしていろいろな活動ができているのでフード写真を初めてよかったと思っています。

X100V/F値:4.0/シャッタースピード1/1000 /フィルムシミュレーション:クラシッククローム

写真において、もしも今撮っているジャンルでうまくいかないと悩んでいたり、撮りたいものが分からなくなっていたりしたら、思い切って全く違うことに挑戦してみると新しい道が開けるかもしれません。
私も今の風景写真とフード写真を続けながら、新しいことに挑戦していきたいと思います。

X-T4/XF35mmF1.4 R/F値:5.0/シャッタースピード1/500 /フィルムシミュレーション:クラシッククローム

最後まで読んでくださりありがとうございました。

Profile

茶々

フォトグラファー

秋田県出身、秋田県在住。1994年生まれ。
普段は会社員。2018年9月頃に本格的にカメラを始め、現在は風景写真を撮りながら自分で作ったスイーツや料理をメインで撮影。インスタグラムで“架空の喫茶店”「茶々屋」を経営。雑誌「GENIC」に写真掲載。写真教室講師、プリセット販売等の活動をしている。
Twitter:@Haya_chi25
Instagram:@kissa_chachaya
Note: https://note.com/cha_cha_212

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