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Tips 2019.08.30

暗い店内でカクテルを美味しそうに撮るコツとは?〜神保町バー『COCKTAIL WORKS 神保町』〜

【フードフォトテクニックvol.9〜神保町バー・COCKTAIL WORKS 神保町〜】
X-T30』で“料理写真を美味しそうに切り取る”撮り方テクニックを、都内の気になる素敵なお店の情報とともに紹介する連載企画『フードフォトテクニック』。スマホのカメラにも応用できる、構図のポイントや上手に撮るためのちょっとしたコツもご紹介します。今回は、本格的なお酒を気軽に楽しめるバー『COCKTAIL WORKS 神保町』さんにお邪魔しました。

今回訪れたのは神保町のバー〜COCKTAIL WORKS 神保町〜

本の町・神保町の駅から徒歩約3分。カフェやコーヒースタンドが立ち並ぶ千代田通りに深夜まで明かりを灯す1軒のバーがあります。2016年10月にオープンした『COCKTAIL WORKS 神保町』、国内外のクラフトジンをメインに扱う、おしゃれな大人の隠れ家です。

X-T30(camera)/ XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(lens)/ F値:3.2 / シャッタースピード:1/60 / PRONeg.Std(フィルムシミュレーション)

X-T30(camera)/ XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(lens)/ F値:3.2 / シャッタースピード:1/40 / PRONeg.Std(フィルムシミュレーション)

奥まったドアを開けた先で迎え入れてくれたのは、店長の宍倉さん。淡い照明が非日常感を誘う店内は、アンティークに造詣が深いというオーナーのこだわりで設えられたアトリエのような空間。オーセンティックなバーの雰囲気を楽しめるカウンターと合わせて、広々としたテーブル席も用意されています。「いわゆるバーって、狭くて薄暗い空間にカウンターしかないイメージですよね。バーというもの自体、アメリカの禁酒法時代に警察の目を逃れてお酒を飲む場所が起源だと言われていて、その背景を汲んであえて入りづらくしている面もあるんです。ただ、普段あまりお酒を飲まない方にも興味を持っていただければという想いから、親しい人と食事を囲みながらお酒を楽しめる店を目指しました(宍倉さん)」

X-T30(camera)/ XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(lens)/ F値:3.2 / シャッタースピード:1/60 / PRONeg.Std(フィルムシミュレーション)

親しみやすいお店ながら、通にはジン専門店として知られているCOCKTAIL WORKS 神保町。カウンターには、170種類ものクラフトジンが並びます。そもそもクラフトジンとは、風土と素材を活かし小規模生産で作られるジンのこと。「もともと5年くらい前にヨーロッパで起こったジンブームが日本に流れてきて、ここがオープンした3年くらい前から国産ジンの生産も盛んになってきました」と宍倉さん。なんと世界中には1000種類以上ものクラフトジンがあるのだそう。なかでも国産ジンは、お米や山椒、紫蘇といった和の素材で香りづけされており、海外のものと比べても個性豊かで女性にも飲みやすいものが多いのだとか。

X-T30(camera)/ XF35mmF1.4 R(lens)/ F値:1.4 / シャッタースピード:1/30 / PRONeg.Std(フィルムシミュレーション)

X-T30(camera)/ XF35mmF1.4 R(lens)/ F値:1.4 / シャッタースピード:1/30 / PRONeg.Std(フィルムシミュレーション)

ムードを際立たせる暗い場所での撮影テクニック

同店で味わえるのは、個性豊かなジンと目にも美しいカクテルたち。写真&解説付きのメニューブックが用意されているのもバー初心者には嬉しいポイント。メニューから味わってみたい一杯を選ぶも良し、バーテンダーさんと会話しながら気分や好みにフィットするとっておきの一杯を用意してもらうも良し。シェイカーを振るう美しい手さばきにうっとりするのもバーならではの楽しみです。この日は、看板メニューの『シンガポール スリング』と人気の2杯、前菜の盛り合わせをオーダーしてみました。

X-T30(camera)/ XF35mmF1.4 R(lens)/ F値:2.8 / シャッタースピード:1/100 / PRONeg.Std(フィルムシミュレーション)

ビールに使われているIPAのホップで香りづけされた『GIN IPAのジントニック』。ニュージランド産の“GIN IPA”は、他のジンと比べてアルコール度数が高いものの、ベーススピリッツに使われているホエイ由来の柔らかな味わいが特徴。ジェニパーベリーというジンには不可欠なスパイスとグレープフルーツの皮、ミントでアクセントをつけた、ジンの芳醇さを楽しめるシンプルな一品です。ほうじ茶のジン(!)を練りこんだ自家製生チョコと一緒にいただきました。

【ISO 3200】X-T30(camera)/ XF35mmF1.4 R(lens)/ F値:2.2 / シャッタースピード:1/15 / PRONeg.Std(フィルムシミュレーション)

暗い場所で撮影する際、まず注意したいのが手ブレと明るさ。今回のように暗いシチュエーションでは速いシャッタースピードで撮ることができるようISO感度を高めに設定しましょう。一般的に、ISO感度が高くなるにつれ画質が粗くなってしまいますが、高感度に強いXシリーズでは安心して撮影することができます。

▶︎ISO感度とは?

また、店内の光を活用するのが重要なポイント。ここではカウンターのバックライトを光源に、ISO3200で撮影することができました。また、暗い場所での撮影には、開放F値が小さい明るいレンズでの撮影がおすすめです。 (ここではXF35mmF1.4 Rを使用)。お店のように三脚などが使えない状況で手持ち撮影するときのポイントは、とにかく脇を締めてカメラを固定すること! 今回は、すべて手持ちでぎゅっと脇を締めて撮影を行いました。

【ISO 3200】X-T30(camera)/ XF35mmF1.4 R(lens)/ F値:2.0 / シャッタースピード:1/125 / PRONeg.Std(フィルムシミュレーション)

日本のジンブームの先駆けとなった国産クラフトジン“季の美”を使った『メロンのカクテル』。 フレッシュメロンのジューシーな甘みに隠し味の抹茶の上品な苦味が加わることで生まれる複雑な味わい、そしてとろけるほどクリーミーな口当たりが至福の味覚体験をもたらしてくれます。グラスが浅く氷の入っていないショートカクテルは“ショートタイムカクテル”の意。ぬるくなって味わいが変わってしまう前に飲みきるのもオトナのたしなみです。

【ISO 3200】X-T30(camera)/ XF35mmF1.4 R(lens)/ F値:2.0 / シャッタースピード:1/125 / PRONeg.Std(フィルムシミュレーション)

今回は、鴨肉のローストやスモークサーモン、自家製キッシュなど、肉・野菜・魚がバランス良く盛られた前菜をオーダー。お酒に合うアンティパストからパスタやステーキといった本格的な一皿まで、豊富な食事を楽しめるのもCOCKTAIL WORKS 神保町の大きな魅力です。フードも可能な限り自家製にこだわっているのだそう。

【ISO 3200】X-T30(camera)/ XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(lens)/ F値:3.6 / シャッタースピード:1/50 / PRONeg.Std(フィルムシミュレーション)

もうひとつ、音を立てて撮影したくない、バーなどの静かな場所での撮影で知っておくと便利な機能が電子シャッター。シャッター音を立てずに無音でシャッターを切ることができるので、目立たずさりげなく撮影することができます。また、無振動のためメカニカルシャッターと比べ、よりブレづらくなります。

お店の看板メニュー『シンガポール スリング』は、シンガポールの最高級ホテル『ラッフルズ』で生まれたカクテル。世界一美しいと謳われるシンガポールの夕陽をイメージした、100年以上もの歴史を持つ一杯です。同店では、本場で出されているものを忠実に再現し、同じグラスで提供しています。生のパイナップルを使用した果実感たっぷりのジュースのような軽い飲み心地。お酒があまり強くない女性にも人気の逸品です。

【ISO 6400】X-T30(camera)/ XF35mmF1.4 R(lens)/ F値:2.8 / シャッタースピード:1/60 / PRONeg.Std(フィルムシミュレーション)

ここでは、ライトのあるカウンターと違って、ほぼキャンドルの灯りしか光源がないテーブル席で撮影。充分な光がない状態でも、光の薄さを逆手にとった撮り方で『シンガポール スリング』のロマンチックな佇まいを際立たせることができました。

【ISO 12600】X-T30(camera)/ XF35mmF1.4 R(lens)/ F値:1.4 / シャッタースピード:1/125 / ACROS(フィルムシミュレーション)

また、高感度撮影時で使えるのが、モノクロのフィルムシミュレーション『ACROS』。高感度になるにつれより強い粒状感が出てくるため、あえてISO感度を12600に設定し、フィルムらしい奥行きのある質感が際立つ1枚に。時代を越えて愛される一杯の魅力とストーリーを感じさせる、趣たっぷりの画に仕上がりました。

今回は、リラックスした雰囲気で本格的なカクテルを楽しめるバー『COCKTAIL WORKS 神保町』で、クラフトジンとカクテルの魅力をX-T30を使って撮影してみました。薄明かりの中で飲むカクテルは、気持ちを緩めてくれる魔法の薬のよう。お気に入りの一杯がある粋な人生、神保町で始めてみては?

【今回登場したテクニック】
・暗い場所での撮影はISOを高感度に設定
・開放F値が小さい、明るいレンズを使う単焦点レンズだと比較的明るく撮影ができる
・電子シャッターの活用でブレを抑えつつ静かに撮影
・ACROS×高感度で粒子間のあるフィルムライクな奥行きのある写真に

Spot Information

COCKTAIL WORKS 神保町

住所:東京都千代田区神田小川町3-7-13 ヴァンサンクビル1階
電話番号:03-6886-2138
HP:https://orchardknight.com/

今回登場したカメラ

FUJIFILM X-T30

「フードフォトテクニック」の記事はこちら

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text by 野中ミサキ(NaNo.works)
photo by 大石隼土

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