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Tips 2024.09.23

ストロボとフラッシュの違いとは?基礎知識と使い方のコツを紹介【Snap & Learn vol.19】

【Snap & Learn】の連載企画では、一般によく知られている写真の撮影テクニックやカメラ関連の専門用語を集め、初心者の方にも理解しやすいように作例やイラストを用いて解説しています。

ストロボとフラッシュの違いについて疑問に思ったことはありませんか?本記事では、その違いを基礎知識とともにわかりやすく解説。さらに、効果を発揮できる撮影シーンや使用時の注意点についても紹介します。ストロボやフラッシュを使って撮影の表現の幅を広げたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

ストロボとフラッシュの基礎知識

まずはストロボとフラッシュの基礎知識について解説します。ストロボとフラッシュの違いや種類、特徴を順番に見ていきましょう。

ストロボとフラッシュの違い

ストロボとフラッシュは呼び名が違うだけで、どちらも写真撮影で使われる人工的な光を発する装置のことを指します。厳密に言うと、ストロボはフラッシュの一種です。ストロボという言葉は、もともとストロボ・リサーチ社が販売していたフラッシュの商品名でした。この名前が広く使われるようになり、いつしかフラッシュ全般を指す呼び方として定着したのです。

かつては商標権があり、他社はストロボという名称を使えませんでした。しかし商標権が切れた現在では自由に使える名称になっています。ただしもともとは他社の商品名だった名残もあり、ストロボの名称が商品名として使われることはあまりありません。日本のメーカーでは、フラッシュやスピードライトといった名称で販売されることが多いです。

ストロボ・フラッシュの種類と特徴

ストロボやフラッシュは、カメラに装着するタイプと、カメラから離して使うタイプに分けられます。装着型は内蔵型と外付け型、離して使うタイプはオフカメラフラッシュとワイヤレスフラッシュに分類されます。それぞれの特徴は以下の通りです。

ストロボ・フラッシュの届く範囲

ストロボやフラッシュの光が届く範囲は、調光範囲や被写体との距離によって決まります。調光範囲とは、フラッシュの光が適切に届く距離のことです。被写体と距離が近すぎると白飛びし、離れすぎると暗く写ります。

また、距離に合わせて、ISO感度や絞り値(F値)を調整することでも明るさの調節が可能です。ISO感度を上げると暗い場所でも少ない光で明るく撮影できます。絞り羽を開くとカメラに取り込む光の量が増え、全体が明るくなります。距離に応じて調整することで、適切な明るさの写真が撮れるようになるのです。

ISO感度の目安を5つのシーン別に解説!適切な設定方法や仕組みも【Snap & Learn vol.3】
F値とボケ・明るさの関係を比較!写真の表現への活かし方も解説【Snap & Learn vol.5】

撮影シーン別:ストロボとフラッシュの効果

続いて、撮影シーン別にストロボとフラッシュがどんな効果をもたらしてくれるのか解説します。ここで紹介するようなシーンで撮影する際には、ぜひストロボやフラッシュを活用してみてください。

暗い場所で撮影する場合

ストロボやフラッシュが活躍する場面の1つに、暗い場所での撮影が挙げられます。部屋の暗い場所や夜の屋外でも、被写体の質感や雰囲気を引き立てながら、明るく自然に写すことができます。

ただし、フラッシュの効果が発揮されるのは、光が届く範囲までです。撮りたいものが遠すぎる場合は明るく写らないため、被写体までの距離に注意して使用する必要があります。

逆光の場合

ストロボやフラッシュは、逆光での撮影に特に役立ちます。たとえば太陽が被写体の背後にあると、被写体に影ができて暗く写ることがあります。そのような際はフラッシュを使うことで影を和らげ、明るく自然に被写体を撮ることが可能です。

また、自然光は必ずしも均一に当たるわけではなく、光のムラが出ることもあります。フラッシュを使うと被写体全体に均等に光を当てられるため、より鮮明な写真が撮れます。

夜景を背景にしたポートレート撮影の場合

夜景をバックにポートレートを撮影する際も、ストロボやフラッシュはとても役立ちます。夜の暗い環境では人物が暗くなりやすい上に、夜景の光が背景にあると被写体が目立たなくなりがちです。

フラッシュを使えば人物に適度な光を当てることができます。その結果、夜景と被写体の明るさのバランスが整い、美しい写真を撮影できます。

ストロボ・フラッシュの発光モードの選び方

ストロボやフラッシュにはさまざまな発光モードがあり、場面に応じて使い分けることで被写体の魅力を引き出す撮影が可能です。たとえば、富士フイルムのカメラには主に以下3つの発光モードがあります。

 ● AUTO
 ● 強制発光
 ● スローシンクロ

それぞれの機能やおすすめシーンを下の表でまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

なお、各モードで『赤目軽減発光』機能の有無を選ぶことができます。瞳が赤く写る現象を軽減しますが、フラッシュが2回発光するため、1回目と2回目の間に被写体やカメラが動くと写真にブレが生じる原因となるため注意が必要です。

表現の幅を広げるカメラ機能やアクセサリー・覚えておきたい撮影方法

続いて、ストロボ・フラッシュの表現の幅を広げてくれる機能やアクセサリー、また覚えておきたい撮影手法をご紹介します。

自動調光機能

自動調光機能を使えば、適切な明るさで撮影できます。先述したストロボ・フラッシュの発光モードは、フラッシュを発光するかどうかを決める仕組みです。一方、自動調光機能は、発光時の光量を調整する役割を持ちます。

なかでも『TTL(Through The Lens)』機能は、自動調光機能の代表的な例です。撮影前にフラッシュを発光して反射光を測定し、その結果を基に光量を自動で調整する機能です。

被写体の光の当たり方や色によって理想的な光量は変わりますが、TTLを使えば難しい調整が不要になり、自然で美しい写真に仕上がりやすくなります。

スレーブ発光機能

スレーブ発光機能は複数のフラッシュを使い、メインのフラッシュの光に反応し、その他のフラッシュが自動で発光する機能です。複数のフラッシュを同時に使うため、1灯のみでは表現できなかった撮影が可能になります。

たとえば、影を和らげる、被写体の立体感を強調できるなど、光の当て方を工夫することで柔らかい雰囲気や幻想的な演出も可能です。1灯増えるだけでも写真の印象は大きく変わるため、表現の幅を広げるのに役立ちます。

ディフューザー(アクセサリー)

ディフューザーとは、ストロボやフラッシュの光を適度に拡散させるアクセサリーです。撮影現場で見かける白い布のようなものをイメージするとわかりやすいでしょう。

フラッシュの光を直接当てると光が強すぎて硬い印象になり、フラッシュの使用が目立つことがあります。ディフューザーを使うと光が柔らかく広がり、より自然な雰囲気に仕上げることができます。

主な種類は以下の通りです。撮影シーンや目的に応じて適切なものを選びましょう。

 ● カップ型
 ● ソフトボックス型
 ● バウンス型

ディフューザーは光を拡散する仕組みであることから、使用すると光量が減少してしまいます。そのためフラッシュの出力設定や、カメラの露出設定を適切に調整する必要がある点には注意が必要です。

バウンス発光(撮影方法)

バウンス撮影は壁や天井に光を当て、その反射光で被写体を撮影する方法です。富士フイルムではバウンス発光をサポートする機能を備えたフラッシュライトも販売しています。

ストロボやフラッシュの光を直接被写体に当てると、光が強すぎて人工的な雰囲気になることがあります。この手法を使うと、光が間接的に当たるため、柔らかく自然な陰影を作ることができます。

特にポートレート撮影では、被写体に光が柔らかく当たることで肌の質感が美しくなります。やり方はシンプルで、フラッシュを壁や天井に向けて撮影するだけなので、比較的簡単に試せるテクニックです。

ただし壁の色が白に近い色ではない場合、壁の色がフラッシュの光にのってしまいます。その結果、被写体に壁の色が被ってしまい、意図しない色彩になるのでバウンスさせる壁や天井の色には注意しましょう。

ストロボ・フラッシュを活用する際の注意点とマナー

続いてストロボやフラッシュを活用する場合の注意点やマナーを紹介します。次の3つに気をつけましょう。

被写体への配慮

フラッシュは良い写真を撮れる一方で、強い光が当たるため被写体への配慮が必要です。人物を撮る際は驚かせないよう、事前にフラッシュ使用の了承を得るようにしましょう。被写体が動物の場合は光によってストレスを与える可能性があるため、使用は最小限にすべきです。

なお、走行中のバイクや車に向けて発光すると、ドライバーの視界を奪い事故につながる危険があるため、使用してはいけません。

使用禁止エリアの確認

フラッシュの使用が制限されている施設やイベントは多いため、事前にルールを確認しましょう。美術館や劇場では展示物や演出への影響を考慮して禁止されることが多く、誤って使うと周囲に迷惑をかけることもあります。

ただし、一部のエリアでは使用が認められている場合もあります。撮影予定がある際は公式サイトや案内板を確認し、ルールを守って撮影しましょう。

シンクロスピードの確認

ストロボやフラッシュを使うときは、シンクロスピードを超えないことが大切です。シンクロスピードとは、フラッシュの光をしっかり写せるシャッタースピードの上限です。シャッタースピードが速すぎるとシャッターの動作とストロボの発光のタイミングが合わなくなり、写真の一部が暗くなることがあります。

屋外など明るい環境ではカメラが自動でシャッタースピードを上げるため、シンクロスピードを超えてしまい、不自然な仕上がりになることがあります。撮影前にシンクロスピードの上限を把握し、適切なシャッタースピードに設定しましょう。

ストロボ・フラッシュを上手に活用して表現の幅を広げよう!

ストロボやフラッシュを活用すれば、撮影の可能性が一気に広がります。暗い場所での明るさ調整はもちろん、光の向きや強さを工夫することで、より印象的な1枚を撮ることが可能です。

今回紹介した機能やアクセサリーまたは撮影手法を取り入れることで、写真の仕上がりがさらに魅力的になります。基本を押さえつつ工夫を重ねて、写真表現のバリエーションを増やしていきましょう。

富士フイルムの『X-T50』でフラッシュ撮影をマスター

初心者でもフラッシュを使いこなした撮影に挑戦しやすいのが、富士フイルムの『X-T50』です。被写体検出AFが自動で追尾し、スムーズにピントを合わせてくれます。さらに、フィルムシミュレーションダイヤルを使えば、シーンに合った色調や雰囲気を簡単に設定可能です。

また、約4020万画素の高画質で、最新のAF予測アルゴリズムを搭載し、細部まで美しく描写します。高い性能がフラッシュの効果を引き立て、簡単操作ながらも本格的な撮影を楽しめます。

main photo by Mio Tangstad

Profile(記事監修者)

神崎涼

約10年間、某カメラメーカーにてエンジニアとしてデジタルスチルカメラの設計にたずさわり、プライベートでも設計したカメラの実力確認も兼ね様々な被写体の撮影を楽しんでいた。そのため理論に加え実際の使用感も把握しており、カメラの営業マンに負けないカメラ知識を持ち合わせている。現在はカメラ使用歴は15年ほどになり、フルサイズ一眼と1インチセンサーのコンパクトデジカメでの撮影を楽しんでいる。

Profile(ライター)

川人

Webライター歴6年。国家資格である総合旅行業務取扱管理者を取得するほど旅行が好き。旅先での写真撮影を楽しみにしており、お気に入りの写真はスイスで撮影したチューリッヒの街並み。

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