ファインダー越しの景色を着替える、ASTIA散歩〜片渕ゆり(ぽんず)vol.1〜
はじめまして。片渕ゆり(@yuriponzuu)と申します。ふだんは“ぽんず”とも呼ばれています。
“どうしても長い旅がしたい。世界中を旅したい”という夢を諦めきれず、2019年、勤めていた会社を辞め、期限を決めない旅を始めました。
ところが、みなさんもご存知のとおり、2020年には旅が続けられる状況ではなくなってしまい……。予想よりもずっと早く、家に帰ってくることになりました。
富士フイルムさんから声をかけていただいたのは、そんなタイミング。遠くへは行けない中で、写真の楽しみ方を再発見できるようなことがしたいという思いから、フィルムシミュレーションを紹介する連載を始めることになりました。
Xシリーズの大きな魅力である、フィルムシミュレーション。デジタルカメラでも“フィルムを選んで撮る”感覚のように、色調や諧調をコントロールできる機能です。
ふだん私はクラシッククロームを愛用しており、旅も日常もクラシッククローム頼みで写真を撮っていました。でも、ほかのフィルムシミュレーションを使えばもっと知らない世界と出会えるはず……!
まだまだ知らないXシリーズの魅力を見つけるお散歩へ、いっしょに出かけましょう!
今回選んだフィルムシミュレーションは、ASTIA(ソフト)。ソフトな描写と、しっとりした質感が特徴なんだそう。
フィルムシミュレーションを適用すると、ファインダー越しの世界も変わって見えます。ふんわりと軽やかで、どこか優しい色合い。
ASTIAは人物の撮影に向いているそうなのですが、今回は風景写真を中心に撮ってみました。青空の色がすっきりした映りで、とっても晴れやか。空の上のほう、青の濃い部分も、濃くなりすぎず爽やかな色。
今回のお散歩に横浜を選んだのは、広い海と空を見たかったから。すっきり晴れ渡った空を撮っていると、不思議と気持ちまで澄んでくるよう。
クラシックなバラのお庭も、ASTIAで撮るとどこかアニメのような世界に。
太陽が隠れてしまったタイミングでも、ASTIAのしっとりした質感だとマットに仕上がって、これはこれで好みです。
いつもは撮影後にレタッチするのですが、今回はほとんど“撮って出し”。撮影後、レタッチをしていません(一部、明るさとトリミングだけ調整した写真もあります)。
あとから調整しない分、その場で色温度を変えてみたり、いろいろと試行錯誤してみるのも新鮮でした。
ASTIAで撮るパステルトーンは、ほどよくふんわり、しっとり映るのが可愛い。カラフルな景色を撮ると、どこか夢の中みたいな色合いになります。
イチョウの鮮やかな黄色もこのとおり。ASTIAの色は、鮮やかだけどわざとらしさがなくて、でもやっぱり肉眼で見る景色とはまた違う美しさを教えてくれます。
最後は夕暮れを見届けに、海辺に戻ります。今回いちばん楽しかったのが、この夕暮れ時の撮影!ホワイトバランスを調整するだけで、幻想的な夕暮れが撮影できることに感動しました。いつも一緒にいるカメラなのに、こんなふうにマジックアワーのグラデーションが撮れるなんて知らなかったなぁ。
いつもと違うテイストの服を着たときのような。おろし立ての靴を履いて初めて出かけるときのような。いつもと違うフィルムシミュレーションを使って街を歩くのは、そんな新しさがありました。なかなか遠くへは行けない今だけど、ファインダー越しの世界がふだんと違うことで、ちょっとした“旅”の気持ちを味わえる一日になりました。
次はモノクロのフィルムシミュレーションで、白と黒の世界にチャレンジしてみたいな。