【X/GFXシリーズユーザーインタビュー】 WEBデザイナー・わたなべみきと『X-T4』『GFX50S Ⅱ』 ハレの日・ケの日、すべての「愛おしい」を写真に詰め込んで

WEBデザイナー兼フォトグラファーとして福岡で活躍中のわたなべみきさん(@dnmk98)。お仕事で撮影するウェディングフォトや記念日の一枚もさることながら、SNSにアップされる2歳のお子さんの成長記録やプライベートの日常風景が注目を集めています。自然光を生かした透明感とあたたかみが特徴的な写真の数々。今回は、わたなべさんが愛用している『X-T4』と『GFX50S Ⅱ』それぞれの魅力とあわせて、撮影の背景にあるカメラを通じて生まれる家族のコミュニケーションについてもお話を伺いました。
Interview:わたなべみき
━━わたなべさんが初めてカメラを手にされたのは、10年ほど前のことだそうですね。
はい、写真を始めたのは20歳になる少し前。親友がカメラを始めたことで私も撮りたいなと思うようになり、初めて手にしたのは内定祝いに両親が買ってくれたカメラでした。もともと旅行が趣味だったので、最初は旅先の写真を中心に撮っていたのですが、SNSを通じてカメラ仲間が増えたことでポートレート撮影や日常の撮影もするようになり、写真を発信していくなかで徐々に撮影のお仕事もいただくようになりました。ずっと続けているWEBデザインと並行して、カメラを使ったお仕事の割合も増えています。クリエイターさんのポートフォリオサイトを作成させていただくことも多いのですが、カメラマンの視点を持ってデザインを出来ることが自分の強みかなと思っています。
━━楽しむことがお仕事にも繋がったんですね。現在メイン機としてお使いの『X-T4』を購入された2020年にフリーランスのデザイナー・フォトグラファーとして独立されたそうですが、カメラを新調なさった理由もお仕事に関係していたのでしょうか?
撮影の依頼をいただくようになったタイミングではありましたが、『X-T4』を購入したのは仕事というより、フィルムカメラだけでは長い目でみて厳しい……という現実的な理由を考え、デジタルカメラも使いたいなと思うようになったのがきっかけです。それまではフィルムの魅力にどっぷりハマっていて、持っていたデジタル機はほぼインテリアになってしまっていたんですけど。
━━そうしたなかで『X-T4』を選んだ決め手とは?
デジタルでもフィルムに近い表現や使用感を楽しめるものがいいなあと考えていたところ、SNSで写真を拝見しているフォトグラファーの方やフィルムとデジタルを併用している友人たちにXシリーズを使用している人が多いことに気づきました。実際「『X-T4』を買ったよ!」という子もいて、話を聞くうちにXシリーズ一択なんじゃないかって。実は購入するときに『X-Pro3』と迷ったんですけど、動画と自然な日常の写真を撮りたいと思っていたので、より親しみやすい『X-T4』を選びました。
━━その後、『GFX50S Ⅱ』も手にされたということですが、こちらにはどんな経緯が?
もともとは写真家の濱田英明さんがGFXにオールドレンズをつけて撮影された写真を見てすごく素敵だなと思ったのがきっかけ。それから夫と「いつか欲しいね」と憧れていたのですが、今年の5月に家族で北欧へ旅行することが決まったので「その前に思い切って買っちゃおうか!」と。結果、あのタイミングで買って本当に良かったなと思っています。
━━北欧での旅というとびきりの体験を撮るために手にしたカメラだったんですね。
そうですね。旅の最中は『X-T4』で動画撮影、フィルムカメラと『GFX50S Ⅱ』で写真撮影というふうに使い分けていたのですが、『GFX50S Ⅱ』で撮影するたびにその美しさに深く感動し、人生で初めてカメラを手にしたときのような感覚を思い出しました。 言葉で表現するのが少し難しいのですが、柔らかさのなかに立体感と鮮明さを兼ね備えているような……。『GFX50S Ⅱ』にはオールドレンズを着けていることもあり、個人的によりフィルムに近い質感が気に入っています。一枚一枚、大切に撮ろうという気持ちが生まれるカメラですね。
━━旅行では『X-T4』で動画、『GFX50S Ⅱ』で写真と使い分けされていたとのことですが、普段の撮影ではいかがですか?
今のところ『X-T4』は仕事のメイン機であり、日常のちょっとしたシーンの撮影にも使うことが多いです。バリアングル液晶が搭載されていることも『X-T4』を選んだ理由のひとつだったのですが、やっぱりテーブルフォトなど俯瞰で撮るときにすごく便利ですし、動画もホームビデオのようにモニターを見ながら撮影しています。SDカードを2枚入れられるスロットや手ブレ補正など、メインで使うカメラとして文句なしですね。ウェディングフォトやお宮参りなど、屋外での撮影の際には『GFX50S Ⅱ』を使うこともあります。ただ、まだオールドレンズしか持っていないこともあって出番は少なめ。そろそろ純正レンズを手に入れて、旅行はもちろんお仕事でもしっかり使っていきたいなと思っています。
━━わたなべさんのお写真は、自然光を生かした透明感が特徴的だと感じているのですが、富士フイルムのカメラとご自身の作風の相性はいかがですか?
光の入り方を生かした撮影や四季を感じられるような画づくりというのはテーマとして意識しているところなのですが、撮って出しの色みがそのまま私の理想とする写真とすごく相性が良いのかな、と思っています。とくに『GFX50S Ⅱ』で撮る逆光や西陽は感動的です。もともとフィルムで撮っていたこともあり、デジタルでも凝ったレタッチよりは自然な画が好み。その点でも、フィルムシミュレーションの質感や色表現には今でも感動しっぱなしです。自然でやさしい色味、温かみのある雰囲気がまさに富士フイルムらしく、今ではほかのデジタルカメラを持っている自分が想像できないと思うほど気に入っています。
━━機材との相性とあわせて、被写体との距離感もわたなべさんのお写真が印象に残る理由のひとつなのかなと思います。とくにお子さんを写した日常のお写真は、そっと見守る優しさに溢れていて、あたたかい気持ちになります。
娘が最近2歳になったんですけど、子どもの撮影って大人とは違って、カメラに目線をくれるわけじゃないしバッチリ笑顔でピースというのは難しくて。だけど、笑顔だけじゃなくて真剣な表情も泣いている顔もそのまま写真に残しておきたいという気持ちがあるので、なるべく自然な状態を撮影するようにしています。そういったところでも『X-T4』は比較的コンパクトで存在感が大きすぎないので、娘もカメラを意識せず自由にしてくれているんですよね。最近カメラに興味を持ち始めて自分で撮りたがったりもするので、そんなときはタッチ操作で一緒に撮影を楽しんでいます。
━━親子でカメラを楽しむ日常、素敵です。『X-T4』の撮影では、『XF23mmF1.4 R』と『XF56mmF1.2 R』を使用されているそうですね。
ふとした日常を気軽に撮りたくて、最初に『XF23mm F1.4 R』を買いました。椅子に座ったまま食事シーンを撮影できるようにと考えたら、換算35mmぐらいの画角が近すぎず遠すぎずちょうどいいかなと。その後、独立するタイミングでお仕事として撮影をすることをふまえて、より作品的にボケ感や雰囲気の出せる『XF56mmF1.2 R』を購入しました。どちらかというと今は、56mmを着けていることが多いですね。娘の自然な姿を撮りたいというときに近づいて撮っていると「ママも遊ぼう」となってしまいがちですが(笑)、56mmならちょっと離れたところから撮れますし、どんなシチュエーションでもいい感じに撮れるので活躍しています。
━━少し離れたところから優しく見守る視線が、そのままレンズを通して写真に反映されているんですね。先ほど、フィルムシミュレーションの質感や色表現に感動したというお話がありましたが、お気に入りはありますか?
私は『X-T4』を手にしたときからずっとクラシッククローム一筋。シンプルであたたかみがあって光も柔らかく表現してくれるところが大好きです。動画撮影でもクラシッククロームを使っています。動画に関してはまだ勉強中なのですが、細かな編集をせずとも理想の色みで撮影できるのはすごく嬉しいですね。SNSでフィルムシミュレーションについて質問をいただくこともあるのですが、よりフィルムらしい質感が好みの方にはクラシックネガをおすすめすることもあります。Xシリーズを使っていて”フィルムらしい質感”が好きと感じている方は多いのかなと思うのですが、ファインダーを覗いた時点で仕上がりのイメージが見えるし、撮っている瞬間からすでに楽しいんです。どのフィルムシミュレーションも若干マットな質感と自然でありながらも表現を底上げしてくれる安心感があって、そこが富士フイルムさんらしさなのかなと思っています。
━━わたなべさんが富士フイルムのカメラを愛用されるうえで“安心感”というのはひとつのキーワードなのかもしれませんね。お自身の「好き」や「愛おしい」がたくさん詰まったわたなべさんのお写真、今後は『GFX50S Ⅱ』で撮影されたものがさらに増えそうで楽しみです。
私だけでなく身近にいる富士フイルムユーザーにも、自分の世界観をガッツリ表現したいというよりは写真を撮ることそのものが好きでたまらないという人が多い印象です。日常も旅の風景もレンズが変わるとまた撮れるものも変わると思うので、これから『GFX50S Ⅱ』でどんな写真が撮れるのか私もワクワクしています。娘も今のところはお出かけ大好きなので、付き合ってくれるうちはカメラを持って家族でいろんな場所へ行きたいですね。
text by 野中ミサキ(NaNo.works)