【Xシリーズユーザーインタビュー】大野滉斗と『X-S10』 カメラで紡ぐふたりのドキュメンタリー
大切な人と過ごす時間を日々記録している大野滉斗さん(@hiroto.07.0209)。カメラが描き出す、奥さんのかおこさん(@7_oko_4)との暮らしは、見る人の胸に柔らかな余韻を響かせます。かつては被写体を見つけられず、カメラを押し入れに眠らせていたという大野さんですが、かおこさんと過ごす日常の美しさのなかで、“記憶を記録する”ことの大切さに目覚めたのだと言います。その過程で出会ったXシリーズ、そして現在メインで使用している『X-S10』には、プロポーズの瞬間に贈ったフォトブックを作成するほどに信頼を置いているのだそう。今回は、Xシリーズの魅力から夫婦のコミュニケーションとしての撮影スタイル、そして大野さんにとっての写真を撮り続けることの意義について伺いました。
Interview:大野滉斗
「彼女」との同棲をきっかけに
再燃した写真への好奇心
——まずはじめに、大野さんが“撮る楽しさ”に出会ったきっかけから教えてください。
妻とまだ付き合いたてのころ、半同棲をするために大掃除をしていたら、僕が19歳くらいのときに初めて買った一眼レフカメラが押し入れの奥から出てきたんです。「せっかく買ったんだし、使わないともったいないな」と思って、妻を撮るようになったことがカメラにハマっていく一番のきっかけだったかなと思います。
——19歳のときにカメラを購入したのには、どういった理由があったのでしょう?
本格的なカメラで撮影された写真を見て、「僕もこんなふうに撮りたい」と思って。普段自分がスマホで撮っている写真では表現できないものがあると感じたんです。それで、当時働いていた工場のボーナスを全部つぎ込んで10万円前後のカメラをがんばって買いました。でも当時は、撮りたいと思う被写体がなかったんですよね。風景を撮ったり、たまに友達を撮るくらいしかなくて。そこまで熱中できずに、結局ずっと押し入れにしまったままになっていました。
——もともとあったカメラへの好奇心が、奥様のかおこさんを撮影したいという気持ちと繋がって、一気に盛り上がったんですね。
そうですね。妻と一緒に暮らすようになって今年で6年くらい、そのあいだずっとカメラがそばにある生活をしています。
ひと目惚れから始まった、
Xシリーズと歩むふたりの日常
——そうしたなかで、現在大野さんが愛用されているXシリーズについて、そもそも富士フイルムのカメラを手にしたきっかけとは?
正直に言うと、前のカメラはボディデザインがあまり好みではなかったんです。その点、富士フイルムのカメラは、ひと目で強く惹かれました。角ばったフォルムとダイヤルのゴツゴツ感も好きですし、真っ黒なボディの潔さもすごくカッコよくて。家電量販店で見かけたときから「いつか欲しいな」と思って妻にも相談していた矢先に、押し入れから救出したカメラが壊れちゃったんです(笑)。そのときに「あ、買うならXシリーズしかないな」と決心がつきました。
——写真の楽しさに改めて気づかせてくれたファーストカメラは、見事に役割を全うしたんですね。さまざまな特色のあるXシリーズのラインナップから、最初に選んだ機種は?
当時は、まだそこまで撮ることに集中できる生活スタイルではなかったので、Xシリーズの中でも手頃な価格で手にできるものを中古で探しました。持ち運びがストレスにならないモデルがいいなと思って、店員さんと相談して決めたのが『X-T20』。それから1年ちょっとくらい使っていたのですが、だんだんと「動画も撮りたいな」と欲が湧いてきて。そうなったときに“写真も動画も両方しっかり撮れるもの”を探して、出会ったのが『X-S10』でした。
——『X-S10』のどんな機能が大野さんの撮影スタイルにフィットしたのでしょう?
まずは、動画と写真の切り替えのしやすさですね。軽くてコンパクトで、動画も写真も妥協せずに撮れる機材となると、僕にとっては『X-S10』一択でした。それと、このグリップですね。このしっかりと握れるグリップがあることでズームレンズのような少し大きめのレンズをつけたときも安定するし、ボディデザインのカッコよさと実用性を両立しているカメラは、ほかに見つからないなって思っています。
——現在は、『X-S10』をメインに『X-M5』も併用されているそうですね。
『X-S10』はメインカメラとして、日常から旅行までずっと持ち歩いています。ただ、持ち歩いていると落としたりぶつけたりしてしまう可能性もあるので、サブ機として動画と写真を十分に撮れる1台を持っておきたいなと思って、コンパクトな『X-M5』も購入しました。新幹線や飛行機のような動きづらい空間でもサッと取り出せるので、『X-M5』も重宝しています。
フィルムシミュレーションが描き出す、
ふたりのドキュメンタリー
——個人的な印象として、大野さんのお写真にはリアリティーショーの1シーンのような印象があります。自然体なのにドラマチックで、おふたりの距離感が伝わってくるような写真を撮る秘訣とは?
写真や動画を撮るときに“ありのまま”や“自然体”を大切にしたい気持ちがあります。そうしたイメージを表現するために「ドキュメンタリー映画のような色味」を意識しているのですが、そのために欠かせないのがフィルムシミュレーションの『クラシックネガ』。実は、最初に買った『X-T20』には『クラシックネガ』が搭載されていなくて。後になって『クラシックネガ』で撮影された写真を見て「絶対にこの色味で写真を撮ってみたい」と思ったことも『X-S10』を購入した大きな理由のひとつです。
——フィルムシミュレーションが、大切にしたいイメージをかたちづくることに寄与しているんですね。撮影後の調整などにもこだわりはありますか?
ハイライトやシャドウ、コントラストを微調整するくらいで、色味そのものは“撮って出し”に全幅の信頼を置いています。基本は『クラシックネガ』や『クラシッククローム』を使っていて、光の環境が激しく変わる動画撮影では『ETERNA/シネマ』を使うこともあります。
——日常の中で、ふと“カメラを向けたくなる瞬間”とはどんなときでしょう?
外出するときはつねにカメラを持っているのですが、初めて歩く道だったり、季節の植物、あとは建物の間から差し込むきれいな光とか。妻と一緒にそういう景色に出会えたときに「この日常を残しておきたいな」という気持ちになります。「撮るよ!」と言うと相手も身構えちゃうかなと思って。できるだけありのままの日常を撮りたいので、しれっとカメラを構える、みたいな感じです。
——私たちがSNSで拝見しているのは、おふたりの日常の記録のほんの一部なのでしょうね。かおこさんと一緒に写真を見返すことも?
ありますね。見返しながら「あの時はこうだったね」と思い出話をしたり。たまに妻から「ここはもうちょっとこう撮ってほしかった」なんてダメ出しを食らうこともあります(笑)。でも、カメラを通じてコミュニケーションが生まれるっていうのは、絶対にありますね。一緒につくっている感じがするというか。最近では、妻が『X-S10』を使って僕のSNS用のファッション写真を撮ってくれたり。ふたりで活用しています。
撮り続けた日常が宝物に
プロポーズに渡した1冊のフォトブック
——そうしたおふたりの距離感やコミュニケーションが、そのまま表現につながっているんですね。写真と動画の撮り分けについても教えてください。
「光がきれいだから写真で見たい」というときもあれば、立ち上る湯気とかチーズが伸びるところを動画で残したいというときもあるので、そのときの感覚で決めています。『X-S10』は、ダイヤル操作で静止画と動画の切り替えが瞬時にできるので、思いついたときにパッと撮りたいモードで撮影できるのが楽しいですね。
——使用レンズについても教えてください。普段は『XF35mmF1.4 R』を愛用されていらっしゃるそうですね。
富士フイルムのレンズは4本持っていますが、もうずっと『XF35mmF1.4 R』ですね。ズームレンズや他の単焦点も手元にありますが、このレンズで撮れる画が良すぎて。巷では“神レンズ”とも呼ばれていますが、本当にその通りだと思います。今日もこのインタビューの前にYouTubeの撮影をしていたのですが、インサートなど「ここはしっかりいい画を撮りたい」という場面では絶対にこのレンズを使います。
——大野さんが富士フイルムに寄せる信頼が伝わってきます。冒頭のお話ともつながりますが、これだけ高性能なスマホカメラが普及している中で、あえてカメラで残すことの“意義”をどう捉えていますか?
妻と半同棲を始めてすぐのころ、古い建物のベランダでタオルを干しているときに差し込む光がすごくきれいだなと思って『X-T20』で写真を撮ったんです。そのときのタオルの色やベランダの空気感が、写真を見返すたびに鮮明に思い出せるんですよね。こういう写真は、スマホでは撮れないなと感じます。
——では、今までで「カメラを手にして本当に良かった」と感じた瞬間はどんなときでしょう?
去年の6月に、妻にプロポーズをしたんです。そのときに、手紙と指輪と一緒にフォトブックをプレゼントしました。富士フイルムのサービスで初めて作ったんですけど、ふたりの歩みを一冊にまとめながら「今までカメラで日常を撮り続けていなかったら、この写真は残っていなかった。ずっと撮ってきてよかったな」としみじみ思いました。
——一緒に歩んでこられた日々が一冊になるのは本当に素晴らしいです。大野さんにとってのカメラは、かおこさんとの時間を鮮明に記録するための必須ツールなんですね。
そうですね。やっぱり、カメラでなければ自分の理想のイメージや色を残すことが無理だし、もっと言えば「富士フイルムのカメラでしか無理」だと思っています。Xシリーズ以上に自分に馴染むカメラは、もう見つからないでしょうね。これからもこのスタイルでふたりの日常を撮り続けていきたいです。
text by 野中ミサキ/NaNo.works


























