【Xシリーズレビュー】〜ライフスタイルクリエイター・NIKO LIFE〜Xシリーズ新製品『X-S20』で綴る、暮らしのなかのきらめくワンシーン
“おうちが好きすぎる元OLのライフスタイルVlog”をコンセプトに、暮らしを豊かにするモノ・コトを発信しているNIKO LIFEさん(@niko_lifework)。海外風インテリアやおうちカフェなどトレンド感満載の動画を配信する、NIKOさんのYouTubeチャンネル(@nikolifework)の登録者数は47万人にものぼり、そのセンスから今年の年末にはセルフケアアイテムを扱う、オリジナルブランドのリリースも控えているとのこと。クリエイターやブランドといったプロフェッショナルの分野からも厚い信頼が寄せられています。今回は、Xシリーズで初めてVlogモードを搭載した最新機種『X-S20』を使っていただき、写真と動画の両面からNIKOさんのスタイルや撮影テクニックを紐解くとともに、『X-S20』の多彩な魅力についても感想を伺いました。
Interview:NIKO LIFE
――NIKOさんがYouTubeでの活動をスタートしたのは2年前。キャリアとしては美大をご卒業後、映像制作やマーケティングに関わるお仕事をされていたそうですね。
いつかまた自分の映像作品を作りたいという想いはありつつも、会社員として働いているうちはなかなか個人の活動にシフトできずにいたのですが、コロナ禍で在宅ワークになり仕事も落ち着いてきたタイミングで週末を使って好きなことを映像に収めてみようと思って始めたのが『NIKO LIFE』の活動です。
――普段の撮影では、フルサイズのミラーレス一眼カメラをご使用とのこと。映像制作のご経験を踏まえVlog撮影用カメラを選ぶにあたって、重視されたポイントとは?
やっぱり今って、機材そのものにすごくこだわりがあるというわけじゃなければ、なるべく手軽で簡単にいい感じの写真が撮れるミニマルなカメラを探す方が多いんじゃないかなと思います。私の場合、前職でがっつり業務用のカメラや三脚なんかを使っていたこともあって機材を軽くすることは妥協だと信じ込んでいたのですが、いろんな機材の性能がどんどん良くなるなかで評判のいいものを使ってみようと思って。実際、手にしてみると「コンパクトなものでもここまでキレイに撮れちゃうんだ!」って、すごく驚きました。
――そうした視点も踏まえて、今回の『X-S20』についてのご感想を聞かせてください。
まず、コンパクトなボディに対してこのグリップは非常に魅力的ですよね。グリップが大きいと深く握れる反面、女性の手では握り心地に違和感が生まれてしまうこともあると思うのですが、『X-S20』はしっかり深さがありつつ握りやすさもちょうど良いと感じました。片手で持っていてもすごく安定感があるので外での撮影も安心ですし、手ブレ補正が強力なところもメリットだと思います。
――『X-S20』には、『X-T5』と同等のボディ内手ブレ補正機能が搭載されています。そのほか、大容量バッテリーや自撮り撮影に適したVlogモードなど、動画クリエイターの方にも重宝される機能が満載の『X-S20』ですが、撮影時にNIKOさんがとくに印象的だった機能は?
やはり一番印象的だったのは、AFの速さですね。カメラをパンさせること(撮影方向を左右に動かす技法)も多いですし、ちょっと前ボケをつくって奥側にある被写体にピントを合わせるような撮り方をよくするのですが、フォーカスが甘いと撮り直す回数が増えてしまいます。また、見返したときの納得感が得られないと使う頻度も自然と減ってしまうと思うんです。そういった意味で、優れたスピード感の信頼できるAFが搭載されていることは『X-S20』の素晴らしい点だと感じました。
――今回は、『X-S20』で写真とリール動画を撮りおろしていただきました。ここからは、写真をもとに撮影時の所感と併せて、素敵なテーブルフォトやインテリア撮影のテクニックについてもお伺いしたいと思います。
こちらの写真は、植物で前ボケをつくって、なおかつ中央に置いた主役のカヌレにピントを合わせているのですが、手前も奥側もとても柔らかくキレイなボケが生まれています。望遠を効かせないとこういう画は撮れませんので、その点で言うと今回使わせていただいた『XF18-120mmF4 LM PZ WR』のように軽くてなおかつしっかりボケをつくってくれるレンズが一本あるだけで、すごく頼りになると感じました。個人的に、ミドルクラスのカメラはボケみが硬かったりデジタル感が出たりして味気ない画になってしまうという印象があったのですが、『X-S20』はそのあたりも見事に解消されていて、とても使い勝手が良いと思います。
背面液晶がバリアングルであることは、私の中でマストというくらいに重視しています。たとえば、次の写真に写っているようなインテリアは斜め上から撮られる方も多いかなと思うのですが、私の場合は水平垂直での撮影が基本です。腰を落として主役となる家具に対して目線を合わせて撮ることが多いので、必然的に構図をさまざまな角度から確認できるバリアングルが必須となるんです。こうした水平垂直の構図は映画的な印象を生んでくれますので、ディテールが情報としてしっかり伝わる写真になるのではないかなと考えています。
被写体が多くなるテーブルフォトなどでは、主役以外のものに視線が向かないようにトリミングで見え方を調整したり、色の使い方を工夫したりしてメリハリのある画づくりを心がけています。とくに色の統一感はすごく大事にしていて、こちらの写真でいうとメインカラーはブラウン、イエロー、ブルーの3色。濃い色のカヌレは中央に、画像の上部と下部それぞれに鮮やかなブルーのアクセントを置きました。一枚の画の中の離れたところに同じ色を入れて全体的な統一感を出す方法は、テーブルフォトの撮影ではよく使うテクニックです。
――いまお話いただいたようなコーディネートの視点からもNIKOさんの色への強いこだわりとセンスが垣間見えるのですが、『X-S20』で撮影した写真の色表現についてはどんな印象をお持ちですか?
フィルムシミュレーションのバリエーションをいろいろと試させていただいたのですが、個人的にはPROVIAがもっとも好みです。紅茶の透明感のある飴色やカヌレのツヤ感、お花のうしろの繊細な影といったニュアンスがバッチリ捉えられているところが、富士フイルムさんらしいと感じました。最近のトレンドとして、激しい加工よりはノーマルカメラで撮った画像をほんのりいい感じに加工して投稿する方が増えてきている印象があります。『X-S20』はそうしたトレンド感のある今っぽい画が手軽に撮れるカメラだなと思いました。
――たしかに、Xシリーズの普遍的な魅力にプラスされた“今っぽさ”は、『X-S20』の大きな特徴のひとつだと思います。トレンド感の演出という点で撮影方法や画づくりに取り入れていることはありますか?
背景をあまりボカしすぎないというのは、最近のトレンドなのかなと。とくに20代前半の方たちはスマホのカメラで撮ったフラットな画を見慣れているのか、背景がしっかりボケている写真は自分たちよりも上の世代に向けた本格的なもののように感じる傾向があるのかなと分析しています。なので、前ボケを入れる場合も本当にさりげなく。インテリアやテーブルフォトを撮るときには、ボケの効果を使ってリッチに見せつつもコーディネートの全体像やディテールが情報としてしっかり伝わるバランスを心がけています。
――そうしたトレンドをよむ感度の高さもまた、『NIKO LIFE』の支持につながっているんですね。今回『X-S20』で撮影していただいたリール動画もとても素敵で癒される映像でした。
今回はNIKO LIFEらしい表現で『X-S20』の性能が伝わるものにしたいと考えて、テーブルフォトを題材に動画を作成しました。暗い色みのお菓子なんかは高性能カメラじゃないと色が潰れてきれいに見えないので、あえて違いがわかるように被写体にカヌレを選びました。コーディネートの情報を付け加えながら撮影テクニックもお伝えしつつ、『X-S20』の高性能なAFと豊かな階調表現が生かされた動画になったかなと思います。
――観ていて心地がいいというだけでなく、情報として価値のあるものを発信したいというNIKOさんの姿勢が今回撮影していただいた作品やお話から伝わってきました。
映像を観てくださった視聴者の方を絶対にがっかりさせたくないので、視聴者視点に立ち戻りながら、またNIKO LIFEらしさを大事にして動画を制作しています。日常を映像にすることの難しさを感じさせず、いかに観ていて心地いいものをつくるか。たとえるならば、筋トレのような感覚です(笑)。さらっと自然で素敵なものがつくれるように日々鍛練を続けて、視聴者の方に喜んでいただけるものをつくっていきたいと思っています。
text by 野中ミサキ(NaNo.works)