フィルムシミュレーション『クラシックネガ』で撮るベストショット〜いのみん・岩倉しおり・Sayuri〜
Xシリーズを愛用しているフォトグラファーさんに、各フィルムシミュレーションで撮影したベストショット2枚と、そのフィルムシミュレーションに感じている魅力や自身の想いをご紹介していただく本企画。第ニ弾はフィルムカメラで撮影したような、どこか懐かしい、情緒ある表現が人気のフィルムシミュレーション『クラシックネガ』について、いのみんさん(@lalatxm)、岩倉しおりさん(@iwakurashiori)、Sayuriさん(@sakunene)に語っていただきました。
クラシックネガ①:いのみん
山での撮影は、天候が曇りだったり雨だったりすると全体の色が暗く重くなってしまいます。ですが、クラシックネガを使用して撮影すると、どこか懐かしいような、哀愁を感じるような、心の奥がキューっとなるような色合いを出してくれるので愛用しています。特に、青色と緑色が深く表現できるためとても好きです。
1枚目のベストショットは、池に反射した光と影を捉えた写真となります。1本1本の草に反射する光の粒と池に映る木の影、このコントラストが重なる場所を見つけ、実際に目で見る景色以外にレンズを通して映し出される光やゴーストに注目をして撮影をしました。写真集『THOSE LIGHTS』の表紙にも使用しています。
2枚目のベストショットは富山県雲ノ平、祖母岳の山頂の写真です。どしゃぶりの雨が上がった直後で地面も草も湿度が高く、じんわりとした雰囲気を映し出したく撮影しました。 クラシックネガはシャドウとハイライトが強いイメージがあるので、撮影する際の画質設定でそれぞれのトーンをマイナスに設定し調整しています。
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クラシックネガ②:岩倉しおり
クラシックネガはお気に入りのフィルムシミュレーションのひとつ。元々フィルム写真の質感や色味がとてもすきでフィルムカメラをメインで撮っていました。ですがフィルムの価格高騰でフィルムカメラだけで撮っていくことが難しくなってきた時にデジタルカメラを考えるようになりました。でもなかなかデジタルで自分の好きな感じの写真が撮れず……いろんなカメラを試した結果たどり着いたのがGFXシリーズでした。
GFXシリーズは中判カメラなので、フィルムのような立体感がでて撮っていてとても楽しいです。 特に、クラシックネガが元々使っていたフィルムの色味に近いものを感じました。デジタルカメラだと、どうしてもレタッチをしっかりしないと自分の好きな色味にはできなかったのですが、このGFXシリーズのフィルムシミュレーションを使うようになってからはレタッチをする時間がほとんどいらなくなりました。撮っている段階でとてもいい色味に仕上げてくれています。今ではなくてはならない存在のフィルムシミュレーションです。
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クラシックネガ③:Sayuri
気に入っている写真はたくさんありますが、今回は自分の中で「もう撮れない」「残せて良かった」と思える写真をベストショットとして選びました。
1枚目は愛猫の“ねね”。
亡くなる3ヶ月前の写真です。
癌がわかり、この頃食欲が安定しませんでした。
この日は調子が良く、バターの匂いに反応してやって来ました。
身を乗り出して私とパンを交互に眺めていたねねが可愛くて記憶に残っています。
2枚目はじいちゃん。
帰省するたびに記録として撮っています。
じいちゃんが「自転車乗っているとこ撮って」と言うので外に出たら、サングラス姿で待っていました。
この写真に限らず、撮った時のシチュエーションはその時の思い出込みで全部覚えています。
ここ2年くらいで足腰が弱ってしまって、自分で歩けなくなったじいちゃん。
元気な頃の写真がたくさん残っていて、大切にしています。
クラシックネガはフィルムカメラのような色味で、どこか懐かしい雰囲気になるのが好きです。
彩度が控えめになるので、シチュエーションによってはカラーをプラス、シャドウをマイナスに設定して撮ることもあります。
また、このフィルムシミュレーションを使いたいと思ったのが、『X-Pro3』を購入したキッカケの一つです。