【テーブルフォトテクニック vol.7】フォトグラファーNana*さんに学ぶ、『X-S20』ではじめるテーブルフォト
おしゃれで素敵なテーブルフォトの撮り方のコツを、気になるあの人に聞く連載企画『テーブルフォトテクニック』。テーブルフォトを中心に、暮らしのシーンを切り取った写真が人気を集めるNana*さん(@necozalenky_life)に、新機種『X-S20』を使っていただき、初心者の方でも分かりやすい構図の作り方や、富士フイルムX/GFXシリーズ用のアプリ『FUJIFILM XApp』を活用していただきながら、テーブルフォトのコツをお伺いしました。
Vol.7:Nana*
こんにちは、Nana*です。普段は静物写真をメインに撮影しています。
以前『もしも企画Vo.4』で『X-T5』をお借りして日常のスナップを撮影しましたが、今回は『X-S20』をお借りしてテーブルフォトを撮影しました。
普段の食事を撮る場合でも、小さなことを意識するだけで写真はグッと魅力的なものになります。今回は『X-S20』を使って、これから写真を始める方にもすぐにチャレンジしていただけるような、テーブルフォトのちょっとしたコツを紹介します。
『X-S20』の使用感は……?
テーブルフォト撮影のポイントの前に、『X-S20』をお借りしてまず感じたのは、非常にコンパクトかつ軽量で、気軽に撮影しようという気持ちにさせてくれるカメラだということ。室内のテーブルフォトであれば、大きさや重量はそこまで気にならないかもしれませんが、機材が重かったり使いにくかったりするとセッティングが面倒に思うことも。軽くて使いやすいことは、撮影のモチベーションに繋がります。
またシンプルな操作感で、初心者の方でも抵抗なく使えるのではないかと思います。様々な設定を簡単に変えられるQ(クイックメニュー)ボタンが分かりやすく押しやすい位置にあるのも、感覚的に使えて便利です。
テーブルフォト撮影のポイント
◉ シンプルな被写体から小物を使った構図のコツ
まずはシンプルな写真から。ラーメンを撮影してみました。料理写真はこのように艶があるとシズル感が表現できて美味しそうに見えませんか。艶を表現したいときには、窓際で、半逆光で撮影するのがおすすめです。私は料理を撮る時にはこの光を使うことが多いです。
初めのうちは、このようにシンプルな被写体で試してみて、慣れたら小物の数を増やしていくようにしましょう。アイテム数が多いほど構図もスタイリングも難易度が上がります。
少し殺風景に感じたら、手を添えてみると、人の存在を感じられる写真になります。加えて、フィルムシミュレーションのノスタルジックネガは温かみのある色合いが魅力で、人の温もりや料理の温度感などを表現したいときにマッチしやすいと思います。
こちらの写真はレースカーテン越しの朝の光で撮影したもの。小物をいくつか配置する場合には、全てをフレーム内に入れると雑然とした印象になったり、遠近感(手前に置いたものが大きく、奥に置いたものが小さく見える)が気になったりすることがあると思います。そんな時には、このように一部が見切れるようにフレーミングするのがおすすめです。こうすると見せたいものがプレートの上のトーストであることが一目瞭然です。
こちらの写真は手持ちで撮影しました。普段はカメラもレンズも重いので手持ちでテーブルフォトを撮影することはないのですが、『X-S20』はボディが軽いからこそ手持ちで撮ってみようという気持ちになります。自由度が高いが故に構図を決めるのが難しい手持ちでのテーブルフォトですが、軽くて片手でも安定するほどホールド感があるので“カメラを構える”ことではなく、“構図を作ること”に意識を集中することができるように思います。
次の写真は、バナナブレッドをメインに撮影しました。小物はバナナブレッドに使う材料などを選びました。小物選びに悩んだら、メインの被写体に関連するものを配置すると、違和感のないストーリーを作ることができます。テーブルフォトは客観的な視点が大切。三脚を使ってライブビューを確認しながら小物を配置すると、構図を作りやすいです。
真俯瞰で撮影する場合には、ダイニングテーブルを使わずに、床に背景板やテーブルクロスなどを敷いて、その上に被写体を配置して撮ると、標準〜中望遠程度の焦点距離のレンズであっても、被写体全体を同一フレーム内に収めることができます。
こちらの写真は落ち着いた雰囲気に合わせて、フィルムシミュレーションはクラシッククロームを使った一枚。フィルムシミュレーションは、簡単に写真の色合いや雰囲気を変えられるので、RAW現像が苦手という方にもおすすめです。絞りをやや開放気味にすることで周囲をぼかし、中央のプレートに視線を誘導するようにしています。
◉ 動作を入れた自撮りシチュエーションのコツ
次の写真は木漏れ日を背景に、グラスを撮影しました。今回使用したレンズは『XF56mmF1.2 R WR』。開放からフォーカス部は解像感があり、グラスの水滴は一粒一粒が鮮明に表現されている一方、フルサイズと遜色ないほどのボケ量です。また非常に明暗差の高いシーンで、背景の木漏れ日やグラスが白飛びしないように露出アンダーで撮影し、RAW現像時にシャドウを持ち上げていますが、ノイズはそれほど気にならず、ダイナミックレンジも予想していたよりも広く感じました。これほどのコンパクトなカメラでこのクオリティを追求できるのが嬉しいです。
自撮りで注ぐシーンなどを撮りたい場合には、MFで予めピントを合わせたい位置(この場合はグラスの正面)にピントを合わせておき、注ぐ瞬間にリモコンなどでシャッターを切ります。
『X-S20』は、富士フイルムX/GFXシリーズ用の新アプリ『FUJIFILM XApp』に対応していて、スマホの画面上でライブビューを確認しながらシャッターを切ることができますし、絞り、ISO、シャッタースピードなども同画面上で設定できるので、上の写真のような自撮りのシーンにとても便利です。
ライブビュー撮影の他、シンプルなリモートコントロールとしても使用可能で、次の写真は、そのリモートコントロール機能で自撮り撮影した例です。このようにシロップなどをかけながら撮る場合には、持っている手がぶれない程度に、シャッタースピードを速めて撮影します。この写真は1/80秒に設定しています。やや暗めの室内なので、必然的にISO感度も上げることになり、ISO400に設定して撮影しましたが、明暗差の高い逆光のシーンでも白飛びも黒潰れもなく撮影できました。
同じテクニックで撮影したお茶のシーン。クラシッククロームの豊かな陰影が被写体を引き立ててくれています。
今回紹介した写真はほとんど、テーブルではなく背景板などを使っています。小さなテーブル+背景板などを使えば、狭いスペースでも撮れますし、移動も簡単ですよね。ホームセンターにあるようなプリント化粧板や壁紙なども背景として活用できます。テーブルフォトは身近なもので気軽に撮影できるので、カメラ初心者の方にもおすすめのジャンルです。ぜひこの機会に『X-S20』でテーブルフォトを始めてみませんか。