IRODORIいろはvol.6〜フォーカス(ピント)篇〜
「デジタルカメラデビューをしてみたけれど、なんだか難しい……。カメラをどう設定すればイメージ通りの写真が撮れるの?そもそも露出って?シャッタースピードって?」そんな、デジタルカメラ初心者さんが気になるカメラ用語や機能の“いろは”を解説する連載「IRODORIいろは」。富士フイルムのミラーレスデジタルカメラ「Xシリーズ」の実際の操作方法と合わせて、詳しくご紹介します。
第六回目となる今回のテーマは「フォーカス(ピント)篇」。写真を撮るために必ず使うフォーカスですが、実は撮りたいものや場面によって色々と使い分けすることができます。あまりカメラを触ったことがない方にもわかりやすく解説するので、ぜひ最後まで読んでみてください。今回も写真講師のやまぐち千予さんがご紹介していきます。
フォーカスとは?
ピントを被写体に合わせる機能のことを「フォーカス」と呼び、自動で合わせることができる「AF(オートフォーカス)」と、手動で合わせることができる「MF(マニュアルフォーカス)」があります。今回は、初心者でも簡単に使いこなすことができるAFについて、ご紹介いたします。
AFでは、シャッターボタンを半押しすることでピントを合わせることができます。いつでも撮れるようシャッターボタンに指を置いておき、構図を決めたらシャッターボタンを半押しします。緑色の枠が現れたところがピントが合っている場所です。また、Xシリーズでは液晶モニターをタッチすることでピント位置を調整することができるので、細かな調整をしたいときにも便利です。
ピントの点滅を確認したら、手ブレしないようしっかりとカメラを構えて、最後までシャッターを全押しすることで撮影完了です。
2つのAFモード
AFモードには、「AF-S(シングルオートフォーカス)」と「AF-C(コンティニュアスオートフォーカス)」の2種類があります。どんな被写体を撮りたいかによって使い分けていきましょう。
AF-S(シングルAF)
AF-Sは、シャッターボタンを半押しした際1度だけピント合わせを行います。ピントを合わせたらずっとその位置でピントが固定した状態になります。風景や静物、動きの少ない被写体に向いています。
AF-C(コンティニュアスAF)
AF-Cでは、シャッターボタンを半押しした際、フォーカスエリアがとらえている被写体に、ピントを合わせ続けます。
シャッターボタンを半押ししている間、繰り返しピント合わせを続けるため、スポーツ写真や子供、車や電車など、動いている被写体などに向いています。
狙ったところにピントを合わせるためには?
フォーカスエリアを被写体に合わせて選択して使うことで、自分が意図するところにピントを合わせやすくなります。Xシリーズのカメラでは、「シングルポイント」「ゾーン」「ワイド/トラッキング」といった3つのエリア選択モードがあります。
シングルポイント
→基本のAFモード。決まった被写体1点がある場合に便利
<AF-Sの場合>
被写体にスポットでピントを合わせてくれます。1点でのAFのため精度が高く、固定された位置でピントをあわせるような撮影に最適です。花や、風景、静物、建物、テーブルフォト、動きの少ない人物といったものにも最適です。被写体の位置により変更することができます。
<AF-Cの場合>
前後直線的な動きを1点で捉えるモードです。フォーカスエリアから位置を選び、エリアの大きさを調整。まっすぐ走っている特定の人物など撮りたい被写体1点が決まっている場合に便利です。
ゾーン
→動きのある人物や、動きの予測ができる被写体に最適
<AF-Sの場合>
大きめのAFエリア内での動きを捉えて、ピントを合わせてくれます。
1点のシングルポイントでは捉えにくいようなやや動きのある被写体、スナップやゆっくりとした人物の動きなどに大まかにピントを合わせるところを決めて撮影するシーンに向いています。
エリアは、フォーカスエリアの中でも大きさが異なるゾーンエリアが3種類あり、選択することができます。
<AF-Cの場合>
シャッターを半押ししている間、ずっとピント合わせを繰り返します。動いている被写体を手持ちで動きを追うようなシーンで使いやすいです。一定方向に動く人物や動物、乗り物といった方向が予測できる被写体で、連写と組み合わせると相性が良いです。
ワイド/トラッキング
→予測できない動き回る被写体が複数ある場合
<AF-Sの場合>
すべてのフォーカスエリアからカメラが自動的に被写体を判別し、予測できない動きを自動でピントを合わせてくれます。初心者におすすめの便利なモードです。
<AF-Cの場合>
上下左右といった画面全体を広く動きまわる被写体にぴったりです。
被写体の移動にあわせてフォーカスエリア内を自動で追尾してピントを合わせてくれます。
電車や船のような広く近づいてくる被写体にも有効です。
ポートレートに便利な瞳AFを使いこなそう
人物撮影では、目にピントを合わせると綺麗な仕上がりになります。富士フイルムのXシリーズには「瞳AF」機能が搭載されており、カメラが自動的に人物の顔から「瞳」を検出しピントを合わせてくれます。
絞り開放で撮影することの多い人物撮影では、「瞳AF」をONにすることで人物撮影の失敗が少なくなります。まずは「顔検出」をONに設定し、その上で「瞳AF」を選択します。合わせる瞳もAUTO(オート)・右目・左目から選択が可能です。
※「瞳AF」はAF-S時のみ設定可能
AFモードは、動かないものを撮影するときに使いたい「AF-S」と動くものを撮りたいときに使いたい「AF-C」があります。被写体に合わせてAFモードの種類を変更し、「シングルポイント」「ゾーン」「ワイド/トラッキング」といった3つのエリア選択モードを使い分けることがおすすめです。自分が撮影したいものに合わせて、これらのモードを使い分けていくことで、今後の撮影の楽しみの幅が広がります!
photo&text byやまぐち千予
Illust by 編集部K