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Tips 2021.11.09

秋の名月を風情たっぷりに撮る・後篇〜Xシリーズで四季を撮るテクニック〜

春・夏・秋・冬、日本の四季にはその季節にしか撮れない、素敵な瞬間がたくさんあります。この企画はそれぞれの季節における様々なシーンをXシリーズで印象的に撮影するテクニックやアイデアをお届けします。
今回のテーマは、美しい月。月は身近な存在で通年楽しめますが、“中秋の名月”などからもわかるように、秋は月が美しく見える季節として知られています。空気が冷たくなりはじめ、どこか感傷的な雰囲気をまとう秋の月を撮影するコツを、フォトグラファーの鈴木文彦さんに教えていただきました。今回はPoint4〜5の後篇です。

▶︎前篇はこちらから

Point 4. 明るさに合わせて露出補正を調整する

月を主役にする場合、マニュアルならばISO100〜400、1/125よりも高速のシャッタースピード、絞りはF8〜10くらいが基準と言われています。オートで撮影する場合、カメラは夜空を明るくしようとして月は白飛びをするので、大胆なマイナス露出補正をかけるといいでしょう。

X-T4 /XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS /F4.8 /1/60秒 /ISO800
 フィルムシミュレーション:ETERNA

露出もピントも月に合わせて撮るのが王道です。まずは月が白飛びせず、クレーターまで写っているかを基準にして露出を決定していきましょう。

では、どのくらい月は明るいかを見てみましょう。この2枚は、同じ時間帯に同じ場所から撮っています。1枚目は月が白飛びしないよう、月に露出を合わせた写真。まるで真夜中に撮影ように、漆黒の中にぽつんと月が浮かびます。しかし、実は真夜中に撮影したわけではないのです。風景に露出を合わせたのが2枚目です。まだ明るさが残っており、海面には月の光が反射しています。

X-T4 /XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS /F8.0 /1/500秒 /ISO800
フィルムシミュレーション:ETERNA

X-T4 /XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS /F8.0 /1秒 /ISO800
フィルムシミュレーション:ETERNA

X-T4などに搭載されている『HDR撮影』で撮影すると、一度のシャッターで明るさの異なる3枚の画像を撮影し、白トビや黒つぶれの少ない1枚の画像に合成してくれます。この写真はHDRモードを使うことで、本来月に露出を合わせると写真には写りづらい、東京タワーの骨組みも写すことができました。

X-T4 /XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS /F5.6 /1/250秒 /ISO400
フィルムシミュレーション:ETERNA

昼間の月なら露出差を考えずに撮りやすいです。カラフルな月写真という新鮮な1枚になりました。

X-T4 /XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS /F7.1 /1/2000秒 /ISO400
フィルムシミュレーション:ETERNA

ホワイトバランスの設定でも表現はグッと変わります。通常はオート(AWB)に設定しておけばオーケー。XシリーズのAWBは優秀で、的確にシーンを判断してくれます。味付けを敢えてしたいときにのみ手動で変更してみましょう。

オート(AWB)で撮影。月は白っぽく表現されており、とても見た目に忠実です。

X-T4 /XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS /F8.0 /1/250秒 /ISO800
フィルムシミュレーション:ETERNA

太陽光で撮影。暖色になりました。黄色い月にしたいときに有効です。

X-T4 /XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS /F8.0 /1/250秒 /ISO800
フィルムシミュレーション:ETERNA

白熱灯で撮影。青くなり、クールな雰囲気を演出できます。

X-T4 /XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS /F8.0 /1/250秒 /ISO800
フィルムシミュレーション:ETERNA

Point 5. ユニークな写真にチャレンジしてみる

夜の月とのポートレート。人物に露出を合わせると、どうしても月は白飛びしますが仕方なし。ストロボを使うのがベストですが、顔ができるだけ明るくなるようにライトを浴びる場所を探したり、スマホのLEDを照射したり工夫するといいかもしれません。 X-T4は液晶モニターがバリアングルのため、月の位置や光の当たり具合などをとても見つけやすいです。片手でLEDを照射しながらの構図決定も楽々です!

X-T4 /XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS /F3.6 /1/40秒 /ISO3200
フィルムシミュレーション:ETERNA

月をつまんでみました。手のひらにのせたり、頭にのせたり。ピントは月に合わせて手は前ボケ気味にしています。

X-T4 /XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS /F6.4 /1/30秒 /ISO6400
フィルムシミュレーション:ETERNA

都心であれば、月がさまざまな場所に反射します。これはビルの窓に映った月。スナップの中に月を取り入れてみるのもおもしろいです。

X-T4 /XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS /F8.0 /1/30秒 /ISO800
フィルムシミュレーション:ETERNA

ラストは、インターバルタイマー撮影を使った月の軌道写真です。シャッターは2分30秒間隔。Photoshopなどでの編集が必要ですが、月の軌跡を1枚の写真に残すことも可能です。この際、三脚使用は必須。もっと撮影間隔を狭くすると、重なり合った月の軌跡になります。とても簡単な作業で、ちょっと目を引く写真になるオススメ撮影術です!

X-T4 /XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS /F8.0 /1/250秒 /ISO800
フィルムシミュレーション:ETERNA

以上、月を主役にした撮影テクニックの提案でした。月を撮ることを意識すると、月の動きが気になったり、空を見上げる機会が増えたりします。生活の中で、そんな意識の変化が生まれるいいことかもしれません。Xシリーズで気まぐれな月をたくさん残していってみてはいかがでしょう。

text&photo by 鈴木文彦

今回使用したフィルムシミュレーション

ETERNA(エテルナ)
映画用フィルムの特徴を踏襲したフィルムシミュレーション。落ち着いたトーンと発色が特徴で、シネマ調のやわらかな世界を作り上げてくれる。

▶︎詳細はこちら

Profile

鈴木文彦

フリーランスエディター/フォトグラファー/ライター
フィルム写真専門誌『snap!』を創刊したのち、『フィルムカメラの教科書』『中判カメラの教科書』『チェキit!』『オールドレンズの新しい教科書』など、趣味の写真にまつわるムックや書籍を企画/編集/執筆/撮影。現在、『レンズの時間』『FILM CAMERA LIFE』を定期的に刊行中。最新刊はXシリーズのフィルムシミュレーションや画質設計をフィーチャーした『FUJIFILM画質完全読本』。

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