【テーブルフォトテクニック vol.6】編集者スージーさんに学ぶ、日常の愛しい記憶を素敵に撮るコツ
おしゃれで素敵なテーブルフォトの撮り方のコツを、気になるあの人に聞く連載企画『テーブルフォトテクニック』。第六回目は編集者のスージー(@__sleeeeep__)さん。喫茶店や離乳食の写真を例に、日常の愛しい記憶を素敵に撮るコツを教えていただきました。
Vol.6:スージー
はじめまして、スージーです。“スージーっぽいから”という理由でそう呼ばれてから早十数年。普段はとある会社で編集者として働いています。昨年10月に娘を出産し、現在は育休中。最近は娘ばかり撮影していますが、独身時代は暇さえあれば喫茶店へ足を運び、その美しさを写真に残していたものです。
わたしの相棒は『X-E2』で、かれこれ9年の仲になります。学生時代は他社の一眼レフカメラを使っていましたが、趣味の旅行や日々の喫茶店めぐりにもう少しコンパクトなものを、と思い手に取ったのか出会い。写真を撮っていると「フイルムカメラ?」と聞かれることも多い、レトロで愛らしい見た目に惹かれました。9年も経つと、より機能が充実した後継機がいくつか出てきますしハイクラスモデルも気になりつつ、本体よりもレンズを買い足していきたいなと思っていました。よく使うレンズは『XF35mmF1.4 R』。キットレンズの『XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS』も使い勝手がよくて好きです。特に旅先で気軽に撮りたいときなんかは今でも活躍してくれます。
娘と写真
わたくしごとですが冒頭でも述べた通り昨年第一子を出産しました。娘が生まれてから、御多分に洩れずわたしの生活は娘が中心に。
すくすく育つわが娘も、数日前から離乳食を開始しました。これがまあ面倒で。ですが、できる範囲で手づくりにこだわって頑張りたいなと思っています。そんなわたしのモチベーションのために、離乳食の記録を残すことにしました。(と言っても、まだお粥と数種類の野菜にチャレンジしたところで、とってもシンプルです)
テーブルフォト撮影のポイント
わたしが撮影をするときに大切にしていることは、まず第一にそのときの光の具合を把握すること。そして次に、その光に合わせてどんな雰囲気で撮りたいかを考えます。最後に構図を意識。慣れてくると、なんとなくで撮影してしまいますが、改めて因数分解してみると上記の通りです。順を追って説明しますね。
ポイント① 光の具合を把握する
わたしが自宅で撮影する際は、自然光を活用したく、朝の娘がご機嫌なうちに離乳食や彼女の月齢フォトを撮っています。
特に、お天気のいい日にはこのように陽射しを入れて撮影するのが好きです。陽射しが強すぎる場合はカーテンで調節しましょう。
実はこれ、ダイニングテーブルではなく夫の仕事用のデスクなんです。夫は部屋の隅っこ=窓際で仕事をしています。それに対してダイニングテーブルはリビングの中央に近いところに位置しており、自然光がうまく届きません。自宅の中で、きれいに写真が撮れる場所を探すことはとても重要です。
同じ場所で撮影しても、季節や時間、お天気によってまったくちがう表情を見せてくれます。
曇りの日は、やわらかな印象の写真が撮れます。窓から少し離れたところで撮影することでよりやわらかな光を纏い、小さな娘との愛しい時間を写した一枚になりました。
自然光でなくても、光が全体に広がるような照明を使用している空間では、比較的やわらかい写真を撮ることができます。
逆に、スポットライトやダウンライトのように配光の狭い照明下では、シャープでコントラストが非常に強い写真になります。
ポイント② 光に合わせた構図を意識する
自然光での撮影が難しく、暗いところや照明が強すぎる場所などで撮影をする際に、構図を意識することは非常に重要だと考えています。そこで、わたしが意識していることをひとつ紹介します。
それは“余計な光は物で隠す”こと。
天井や卓上の照明が強くテーブルに反射してしまい良い写真が撮れなかった経験はありませんか?そんなとき、わたしはそれを隠すようにお皿などの位置を調整します。
卓上の照明の反射をチーズケーキで隠しました。よく見ると、お皿が光っているのがわかると思います。
最後におまけでもうひとつ、わたしのこだわりをお話させてください。
ポイント③ 少し欠けているくらいがちょうどいい
わたしは完璧でない適当な状態が好きです。食べかけの写真もよく撮りますし、正面に座る相手に「写真を撮るからまだ食べないで」と言ったことは一度もありません。日常のワンシーンを切り取りたいから、という理由で、整いすぎていない、少し何かが欠けている不完全な瞬間を残していきたいと思っています。それがいい雰囲気を作り出してくれることも多々あるからです。
パリでの朝ごはん。不規則に並べられたお皿も、散らばったカトラリーも、パリだからという理由でそこに置かれたヘミングウェイの『移動祝祭日』も、わたしの大切な美しい思い出です。
最後に
食べることは生きる上で欠かせないこと。味だけでなく、見た目でも楽しませてくれる豊かな食事は、心にも栄養を与えてくれます。そんな日常を愛しい記憶とともにこれからも残していきたいなと思います。
読んでくださった方にも何かヒントが与えられれば幸いです。光を把握するのも、雰囲気づくりも、構図を調整することも、まずはやってみることが重要です。経験を重ねて、あなたらしい写真が撮れますように。