富士フイルムXシリーズとそぞろ歩き〜フィルムシミュレーション『PRO Neg. Hi』と羽村へ〜
フィルム時代から90年に渡って色彩表現を追求・研究してきた富士フイルムならではの、20種類のフィルムシミュレーション。今回は、メリハリ感のある階調でやや鮮やかな色彩が特徴の『PRO Neg. Hi』で写真を撮りながら、羽村市をそぞろ歩きしてきました。
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当日は、久々に降水確率0%予報の晴天日。張り切って、朝早くから羽村駅に集合です。
まずは西口を出て道なりを行き、玉川上水方面へ。ペンキ塗り替え中の歩道橋、傾斜に立つ教会や神社など目を引くものが点在していましたが、最も興味深かったのが『馬の水飲み場跡』。その昔、農家の肥料や収穫物や鉄道用の砂利の運搬をする際に馬に頼っており、坂の途中に水飲み場を設けて馬を労っていたそう。図らずも、羽村の歴史を少し知ることができました。
坂を下ったところで少し脇道に。地元で評判だという和菓子屋『山田屋 堰店』に立ち寄ってみました。この日はたまたま感謝デー開催につき人気商品がお買い得。ラッキー!
『PRO Neg. Hi』は、光量の少ない屋内で撮ると濃い色と淡い色のエッジが効いた写真に仕上がります。丁寧に並べられたお餅やまんじゅうたちに何度も目移りしましたが、このタイミングでやってきた桜餅に決めました。開店してからまだ1時間弱なのに、第1弾の桜餅はすでに売り切れていたそうです。二度目のラッキー!
再び都道163号線の方へ進むと、玉川上水が突き当たりにあります。上水を左手に奥多摩街道を歩けば、自然豊かな多摩川の景色が広がりました。
雲一つない青空の下、のびのびと過ごす鳥たちや、楽しそうに旋回するヘリコプターの姿も。
見頃だった三春の滝桜の方へ吸い寄せられそうになりつつも、今回は他に目的があったので、高台の方へ。しばらくして登場した緩やかな下り坂を進むと、雨乞街道に出ます。
今回羽村にやってきた理由が、実はここ。4月に満開を迎えるチューリップ畑、根がらみ前水田です。少し早かったようですが、とある一角は色付いていました。
さて、どの位置や角度から撮れば、チューリップ畑を素敵に写せるのか? しばらく畑の周りをぐるぐる歩き回ってみます。
そして導き出したのが、こちら! チルト式モニターを活用して“あおり”(被写体を下から上に向かって撮影する方法)で撮ることで、満開のチューリップ畑が続くような構図にしてみました。
こちらはさらにあおって、太陽に向かってお花がぐんぐん伸びているような写真に。
カラフルな一角だけ切り取った一枚もお気に入り。『PRO Neg. Hi』だから、ほど良くメリハリ感のある鮮やかな色彩の写真になりました。
ちなみに地元の方曰く、このエリアだけ少し特別で、様々な種類のチューリップが大集合しているそう。たしかに、よく連想される赤・白・黄のチューリップとは異なる、絶妙な色味の花が並んでいます。
12分咲きぐらいになっていたオレンジエンペラーは、『XF30mmF2.8 R LM WR Macro』でギリギリまで寄って柱頭まで激写。太陽に照らされ、花脈に艶感と透明感が出ているのがよく分かります。
青々とした畑の中にポツンと咲いていた一輪。その先に“カフェ”の文字が見えたので、ご飯を食べることにしました。
訪れたのは、『のんびりカフェ 中車水車小屋』。お蕎麦屋さんの名残もある和な雰囲気で、春風が吹き込むお座敷がとっても心地いいお店です。
店内には、オープンマインドな店長さんのもとに集まった様々なアイテムが展示されていました。それらを眺めているだけで楽しいひと時を過ごせます。ちなみに店外には本物の水車もあり! 昭和58年、大家さん(元・蕎麦屋の店主)がお小遣いをはたき、昔存在していた水車を復活させたのだそう。
お待ちかねのランチ、この日は『キーマカレー』と『鶏むね肉と野菜の黒酢あん丼』の2種類。いずれもちょうど良いボリューム感、お野菜もたっぷりで嬉しい!
食後は『クリームあんみつ』を。手作りの黒蜜、白玉、寒天、ソフトクリーム……一つひとつの素材があまりにも美味しく、黙々と食べて一瞬で消えてしまいました。『マサラチャイ』や『スパイシーホットチョコレート』も、スパイスが身体に染み渡っていく、奥深い味わいでした。
一息つくことができたので、そぞろ歩きを再開。腹ごなしに、お店の裏手にあった土手を歩くことに。
土手沿いにある宮の下運動公園で野球やサッカーに興じる子どもたち、ピクニックを楽しむ親子グループ、犬と一緒に気持ちよく散歩している老夫婦など、老若男女、思い思いに過ごしていたのが印象的でした。
風も気持ち良いから、どこかに腰をかけてゆっくりしようかな……。
ということで、土手から見える景色をお供に、早朝に買った桜餅をパクリ。今回は、最終的に“花よりスイーツ”となったそぞろ歩きでした。
協力:東京都羽村市
model ハンナ
photo by Mio Tangstad
text by 編集部Y