富士フイルムXシリーズとそぞろ歩き~はらかずあき×フィルムシミュレーション『PROVIA』×長野~
フィルム時代から90年以上に渡って色彩表現を追求・研究してきた富士フイルムならではの、20種類のフィルムシミュレーション。
築100年の古民家に住み、子供たちを被写体に写真を撮る週末フォトグラファーのはらかずあきさん(別名:縁側写真の人/@k_botchan)に、『PROVIA』で写真を撮りながら、故郷である長野をそぞろ歩きしてもらいました。
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私は、高校を卒業してからしばらくの間、生まれ育った故郷から離れて暮らしていた。
期間にして、18年ほど。
高校生の頃は、とにかくこの街から1日も早く出たいとずっと思っていた。その後、大阪で学生生活を送り、就職後も長野県には戻って来たのだが、別の街にいた。
自分の故郷をひとことで表現するなら“何もない街”。
あの頃の私の目には、故郷に人を惹きつける魅力的なところは何も映らなかった。田舎暮らしとは、正反対のキラキラした都会の生活に憧れていた。
それから、36歳になるまで、自由気ままなひとり暮らしを続け、その後、結婚・出産を経て私にも家族が出来た。
独身の時は、目先のことしか考えていなかったけれど、家族が出来たら少し先のことを考えるようになった。家族の暮らし、子育て、両親が住む生まれた家、これらを今後どうしていくのか考えた末に、19年振りに、地元へ帰って暮らすことにした。
暮らし始めて気付いたことは、何もないと思っていた故郷にも、いいところがあったということ。また、写真を始めたことで、そのいいところを、残すことが出来るようになった。
そんなある日、カメラを持って、子どもたちと一緒に、街を散歩してみた。
子どもは、散歩中に興味があるものを見つけると、突然走りだしたり、方向を変えたり、予測できない動きをすることがある。道路には車の往来もあるから、危ないと思った時は、子どもを止めなくてはいけない。
体力が必要だ。50代の父親に、余分な体力はない。持ち歩くカメラは、軽いに越したことはない。コンパクトで、軽くて、取り出してサッと撮れる、『X100F』は、子どもの散歩には最適のカメラだ。35mmのレンズは、被写体との距離が、近すぎず、遠すぎず、子どもと街並みをバランス良く捉えてくれる。フィルムシミュレーションは、PROVIAを選んだ。富士フイルムのカメラで、標準色に設定される、ニュートラルな色が再現されながら、富士フイルムらしい色の鮮やかさを持っている。
これは街の中にある小学校。校舎は、築96年。今も小学校として使用されている。
オシャレ・キレイ・華やかといった言葉は全く当てはまらない。でも、100年間その場所にあり続ける、ということにも価値があるのだ。時間がもたらす、建物の風合いが私は好きだ。
小学校の周りには、木漏れ日がキレイな場所があった。
こちらは、街の中にある城跡の赤門。今から270年ほど前に建てられた物だ。
結婚式の前撮りや、成人式の撮影によく使われている。
もう少しブラブラしてみると、古い建物がある。91年前に建てられた家だそうだ。
現在も、展示会などに使われている。このレトロな風合いも、長い年月が経たなければ、表現されることはない。
歩くことにも飽きてきて、休みたいと言い始める子たちを宥めながらもう少し歩く。
田舎の生活は、車が中心だ。車が無くては、生活できない。普段暮らしている、街並みの中も車で通りすぎるのは一瞬だ。でも、同じ道をブラブラ歩くと、違った景色が見えてくる。
昭和感満載の床屋さん。この雰囲気を見たら、写真を撮らずにはいられない。
街の中にある坂。
車に乗っている時は、気付かないけど、歩いてみるとふと目に入る。
さらに通りを歩いていると“ちょっとひと休み”の文字が。
でも、座るところもないので、休まずに進む。
雨樋(あまどい)の色と形が面白い。ここで、少し休憩をした。
市内を少し歩いたあと、車で別の場所に移動した。
隣町にある、古い駅に来てみた。ローカル線の駅で、今も使われている。今から、99年前に建てられたそうだ。
さっきの、小学校といい田舎のレトロな建物は築100年のオンパレードだ。最近は、行かなくなってしまったが、子どもたちがもっと小さいころ、よく電車を見に来た。1時間に上下線合わせて、2本くらいしか来ない電車を、子どもたちと待っていたのを思い出す。まだ、小さい子どもたちにとって、電車のエンターテイメント性はかなり高く、電車が来ると、とても興奮していた。
ローカル線ではあるけれど、古い駅舎はだんだんと建て替えられている。私は、この駅舎の雰囲気がとても好きだ。建て替えないで欲しいと心から思っている。
駅の近くにある、神社に行ってみると、紅葉がきれいだった。
境内の中を歩くと、まだ緑が残っている場所もあった。
せっかくなので、少し遠出をしてみた。
ここは、市内から車で40分くらいの場所にある、古い小学校。93年前に建てられたそうだ。またしても、築100年だ。
今は、観光施設として活用されており、観光客に開放されている。校舎の中は、観光客向けの演出が、若干強い印象もあるが、レトロな雰囲気満載で、写真を撮る身としては、興奮を抑えられない。
帰り道、小さな神様が祀られている建物の近くにでっかい銀杏の木が立っていた。
まだ、黄色に色付き始めたばかりで、紅葉というには早いが、子どもと一緒に少しだけ、歩いてみた。
最後に立ち寄ったのが、船下りが行われている秘境。
紅葉も見ごろで、東海地方からの観光客が多く来ていた。
生まれ故郷をアピールできる機会は、滅多になく、もっと色々なところを撮りに行けばよかったと思っている。今度は、夏のバージョンもやってみたい。
私は、『X100F』で、これからも写真を撮り続けて行こうと思っている。
今回使用したフィルムシミュレーション







































