『X-E4』とGFXで撮る、スコットランドの旅風景〜加藤秀vol.2「ロマンティック・ハイランド、ウイスキーの故郷へ」〜
スコットランドの旅風景を紹介するこのコラム、前回は中世の街並みが今に残る古都エディンバラのお話などをさせて頂きました。第2回となる今回はハイランド地方を紹介したいと思います。
スコットランドのハイランド地方には手付かずの雄大な大自然がたくさん残っています。そのダイナミックな景観は圧倒的な美しさで多くの人々を魅了しています。スコットランドの山間部や小さな町には都市部とは違った魅力が沢山あります。
険しい山々に美しい渓谷、湖畔に佇む廃古城、キルトを身に纏った人々、響き渡る民族楽器バグパイプの哀愁漂う音色、そしてスコッチウイスキー。特にハイランド地方はどこか淋しく、そして懐かしさの象徴としてよく語られます。ハイランドは郷愁の故郷なのです。
かつてスコットランドにはウイスキーの密造所が沢山ありました。17〜18世紀以前には酒税の取り立てから逃れるために、お役人の目の届きにくい辺境の渓谷などでウイスキーを密造していたそうです。蒸溜所が無機質な工場地帯などにあるのではなく、美しい渓谷や川、湖畔に佇んでいることは、スコッチウイスキーをよりロマンティックなものにしているように思います。
今回の旅では『X-E4』と今年登場したレンズ『XF23mm F1.4 R LM WR』の組み合わせに加え、もう一本望遠用に『XF70-300mm F4-5.6 R LM OIS WR』を持って行きました。このレンズもまた新しいレンズで2021年に発売されたものです。300mmもの長さのレンズと聞けば「大きくて重たい!」というイメージをつい持ってしまいますが、初めてこのレンズを手にした時は「え?こんなに小さくて軽いの?」とビックリしました。もちろんそんな軽量コンパクトであっても写りに妥協は一切ありません。
ある朝、キャンプ場で朝食を作っていると森の中から鹿が現れました。千載一遇のシャッターチャンスです。私と鹿は少し距離が離れていたのですが、XF70-300mmで十分な画角を得られ撮影することが出来ました。旅行に持っていくカメラのお供に、この2本のレンズさえあれば大抵のものを撮れるんじゃないかしら?そんなふうに思いました。
スコットランドには“ハイランド・ホスピタリティ”という言葉があります。厳しい自然環境のハイランド地方を訪れる旅人を人々は歓待し、温かい食事と宿で手厚くもてなす伝統の風習です。この文化はハイランダー(ハイランド地方の住民)にとって名誉ある伝統であり、守るべき社会規範でした。そのマインドは今も彼らの心に深く根づいており、旅人たちをとても温かく迎え入れてくれます。
私がパブで日本から来たことを言うと、「ようこそ!遠くからよく来たね!」と歓迎してくれる人ばかりでした。スコッチウイスキーが大好きなんだと言うと「ほんとかい!嬉しいね!じゃあ君の旅の記念に一杯ご馳走するよ!」なんてことも。彼らからは、優しさに加えて自分たちの持つ文化や伝統を愛し、そして誇りを持ってこの地に暮らしていることを強く感じられました。
スコットランドのダイナミックな風景を撮影するのには、GFXシリーズが大活躍しています。以前から『GFX 50S』を使用していて、昨年より『GFX100S』でも撮影を行っています。ラージフォーマットがもたらす豊かな階調表現、繊細な美しさにはいつも心を奪われています。特に風景写真やポートレートの撮影ではその威力を存分に発揮するのではないでしょうか。こんな写真が撮りたいなと頭に思い描いた光景を、いつも期待以上に写し出してくれます。
次回の最終回は究極のスコットランド、離島の島々を訪ねたお話をしたいと思います。
ぜひまたご覧いただけたら嬉しいです。