フード&トラベルライター西村愛の「旅するカメラ」Vol.3〜久米島篇〜
〜青い海白い砂浜これぞ沖縄、久米島自転車旅〜
梅雨時期の沖縄へ飛んだ5月。
乗り継ぎで降りた那覇空港がインスタジェニックでした。今回の2泊3日はバックパックと1台のカメラ。景色写真は基本、キットレンズ標準ズームXF18-55mmの一本勝負。
雄大な景色をいかに納めようか、レンズをレンタルしようか。
熟考した結果出た結論は、「旅は身軽に。」その街を楽しむことが一番大事なんです。
今回のこのコラムの写真は、色の加工は一切無しです。
那覇から飛行機で35分。本島から少し足を伸ばすだけで完全に日常を忘れられる、さとうきび畑と美しい海が広がる楽園に到着します。
梅雨の雨予報を一蹴する晴天。強い紫外線が降り注ぐ島内を自転車で旅します。電動アシスト自転車でもキツいアップダウン。安定感抜群、8段階ギア、長時間バッテリー。レンタサイクルが高性能で助かった……!
写真はアーラ浜。小さいけれど静かなビーチで、夕焼けも美しい浜です。
イーフビーチに何気なく咲く花。
「X-T2」で撮影すると青はちゃんと青く、赤は鮮やかに赤く、緑は元気な緑に。こうやって色をしっかり表現できるから加工いらず。
沿道から家々の垣根に植えられているフクギ。防風林や防砂林として植えられていると思っていましたが、それに加え、久米島名産の「久米島紬」の染色に使われる大切な植物でした。
丸い葉っぱが生い茂り、暑い島に日陰を作り出します。人々が守ってきた暮らしと景観が見事に結びついていました。
沖縄らしい、そして久米島風味なグルメも。オープンエアなレストラン「スリーピース」はいつもお客さんでいっぱい。
とんこつとかつおベースの出汁、小麦の香り高い黄色いちぢれ麺、そして店名どおり?三枚肉が三枚(スリーピース)入っていました。
久米島は海洋深層水汲み上げ施設があり、それらを利用した様々な食材も。車海老もそのひとつ。島内の飲食店で食べられます。実が柔らかく、ミソまでおいしい。
夜光貝はサンゴ礁に生息する貝。螺鈿細工に使われる、磨くと光る貝殻を持ちます。この夜光貝、アワビのようでとってもおいしい!沖縄本島でも食べられることが多く、出会うことがあれば必食の南の味。
日陰がなく30℃にも届く紫外線MAXな自転車旅。
体をキンと冷やしてくれたのは氷ぜんざいでした。黒糖シロップと練乳ミルク。ぜんざいと呼びますが「かき氷」です。豆は小豆ではなく金時豆が沖縄の常識。
一周24キロほどの島であることから、1日で自転車島一周ができます。
絶景を求めて高台へ上ると、大きな「てぃーだ橋」から美しい海が見えました。手前はすべて畑です。久米島の基幹産業は農業で、そのうち半分以上7割ほどをさとうきびが占めています。
東洋一美しさ、とも謳われる「はての浜」。
潮の流れによりサンゴ礁の上に砂が積もり、島を形成しています。その砂もサンゴでできていることから真っ白。透明度が高く、エメラルドブルーのグラデーションがどこまでも続きます。島内にある5社の渡し船業者が、はての浜観光(半日、1日)を行っています。
旅のおわりには、必ず立ち寄る空港も楽しんでしまいましょう。
久米島空港は西向きに無料の展望スペースがあり、最終便をチョイスするとここからの夕景を楽しむことができます。久米島の日の入りは東京よりも30分ほど遅いので時間感覚が狂うほど。しっかりたっぷり遊んで、最後は夕日で締める。久米島の楽しみ方のひとつです。
滑走路を歩いて搭乗し、いよいよ久米島ともお別れという時に、飛行機の向こうの三日月が見送りしてくれました。
沖縄の離島というと、旅上級者が訪れるイメージがありました。
しかしひとり旅の人にもたくさん出会うことができ、規模的にもとてもまわりやすい島でした。取材で訪問した私でも、穏やかであくせくしない雰囲気に思わずその時間を純粋に楽しみたくなってしまい、このあと日常に戻れるだろうか……。そんなことを考えていました。
「写真」は残像にしかすぎません。本物は体験することのみで与えられるものなのです。
新しい発見と感動を探しに、今年の夏は離島に旅してみませんか?
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