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Column 2023.11.16

『GFX100S』と神秘的な森の世界へ〜星野 翔 vol.1〜

皆さんはじめまして。森の写真家、星野 翔(@shocha_photography)といいます。埼玉県で生まれ育ち、作品作りのために長野県に移住し活動しています。普段は森の中に入って木々の生き様や命の循環、気候現象などに着目して作品作りをしながら、写真展やワークショップなどを行っています。

早速ですが、皆さんは森というとどんなイメージを持っていますか? 薄暗くてちょっと怖い……きっとそんな方もいるかもしれません。しかし実際に森に入ってみるとそこは自然の魅力で溢れ返っています。差し込む光や鳥の囀り、少し湿ったひんやりとした空気。

今回のコラムでは、11月に入り秋も深まってきたので紅葉の作品も交えながら、私なりに森の魅力や撮影のポイントなどを伝えていけたらと思っています。そしてこのコラムを読んだあとに「森に行ってみようかな!」と思っていただける方がいればすごく嬉しいです。

それでは皆さんを神秘的な森の世界へとご案内いたします!

富士フイルム、GFX100S、フィルムシミュレーションPro Neg. Stdで撮影

GFX100S /GF32-64mmF4 R LM WR /F14 /1/25秒 /ISO400
フィルムシミュレーション:Pro Neg. Std

GFX100S、フィルムシミュレーションPROVIAで撮影した葉っぱの写真

GFX100S /GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR + GF1.4X TC WR /F10 /1/40秒 /ISO1000
フィルムシミュレーション:PROVIA

富士フイルム、フィルムシミュレーションACROSグリーン

GFX100S /GF45-100mmF4 R LM OIS WR /F16 /1/8秒 /ISO400
フィルムシミュレーション:ACROS+グリーン

相棒『GFX100S』

私の相棒は『GFX100S』です。フルサイズカメラの約1.7倍のラージフォーマットセンサーを搭載し、脅威の約1億200万画素という超高画素中判ミラーレス機として2021年2月に発売されました。レンズは『GF32-64mmF4 R LM WR』、『GF45-100mmF4 R LM OIS WR』、『GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR』、『GF120mmF4 R LM OIS WR Macro』の4本を使っています。

そんな『GFX100S』、森の撮影において本当に最強の相棒になります。

まずはこちらの写真のようなシーン。逆光下、特に森の中では光が当たっている部分と影となる部分の輝度差が大きく、フルサイズ機などでは太陽に露出を合わせれば影が黒潰れしてしまい、影に露出を合わせれば白飛びしてしまいます。実際に私も『GFX100S』に移行する前はフルサイズ機を使用していましたが、このようなシーンではブラケット撮影(露出を変えた複数枚のカットを撮影し、後で合成する)が基本でした。時事刻々と光の状態が変わる森の中では撮影のタイムロスも増え、後処理も面倒くさく、煩わしさを感じていましたが、『GFX100S』にしたことで全て一枚撮りで完結できるようになりました。これはセンサーサイズによる恩恵が大きく、ダイナミックレンジが広くなることでこのような輝度差のあるシーンでも難なく対応できてしまうということです。

写真家星野 翔が撮影、富士フイルムGFX100SのフィルムシミュレーションPROVIA

GFX100S /GF45-100mmF4 R LM OIS WR /F13 /1/10秒 /ISO400
フィルムシミュレーション:PROVIA

続いて紅葉で色めく森の中。「世継」というタイトルの作品です。右側に既に朽ちてしまった老木、左側にまだ細く健気に遊んでいるように見える幼木、そして真ん中に堂々と鎮座する成木。各世代でこの森を形成しこの先も継いでいくんだという命の循環を表現する一枚として撮影しました。ここでも『GFX100S』にした恩恵がありました。ここへ辿り着くためには3時間ほど登山をしなければいけません。『GFX100S』は約900gと中判カメラにしてはコンパクトに作られているので、重量による疲労を極力抑え、撮影に集中することができます。

富士フイルムフィルムシミュレーションPROVIAで撮影した神秘的な森の写真

GFX100S /GF32-64mmF4 R LM WR /F11 /1/3秒 /ISO800
フィルムシミュレーション:PROVIA

時には森を俯瞰で見て望遠レンズを使って撮影することもあります。しかしこの写真、撮影した段階では…

森全体に霧がかかる写真、富士フイルムフィルムシミュレーションPROVIA

GFX100S /GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR /F14 /1/60秒 /ISO100
フィルムシミュレーション:PROVIA

こんな感じで私の持っているレンズでは200mmまでと焦点距離が足りず上の空いている部分が少し余分に感じました。こういう時は解像度を犠牲にしてトリミングをします。しかし約1億画素もあると多少のトリミングでも余裕で耐えることができてしまいます。よく画素数=綺麗(厳密には違いますが)と言われがちですが、画素数の多さはこういう場面で強さを発揮するんだなと感じました。

GFX100S /GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR /F14 /1/60秒 /ISO100
フィルムシミュレーション:PROVIA

秋の作例

ここからは秋特有の気候現象と合わせた作品の紹介です。自分の中で満足のいく作品作りをするためには天気との巡り合いも重要になってきます。

放射霧

秋になると寒暖差が広がり、日中暖められた地面が夜の冷え込みによって熱が放射され、地表付近の冷えた空気とぶつかることで、放射霧という霧が発生します。夜中から朝にかけて空が晴れているとこの現象になりやすく、放射霧の発生する日は幻想的な写真を多く撮ることができます。

放射霧が発生した写真、 写真家星野翔が撮影

GFX100S /GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR /F14 /1/20秒 /ISO200
フィルムシミュレーション:PROVIA

強風

強風の日には桜吹雪ならぬ枯葉吹雪を撮ることができます。散り際の葉は少し寂しいですが、こんな風に舞っている姿を見ると少し明るい気分になれますね。

強風で落ち葉が舞う写真

GFX100S /GF32-64mmF4 R LM WR /F5.6 /1/320秒 /ISO3200
フィルムシミュレーション:Pro Neg. Std

雪、霧氷

晩秋に入ると場所によっては気温がマイナスまで下がることがあります。秋と冬の狭間を写し取ることもとても大切です。
こちらの写真は-5℃まで下がった朝。湿った水分が木々に付着し、それが霧氷となって輪郭を白く覆いました。色鮮やかな木々と霧氷はタイミングが難しく中々見ることができませんが、出会うことができればとてもラッキーです!

湿った水分が木々に付着し、霧氷となって輪郭を白く覆われた森の写真

GFX100S /GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR /F11 /1.5秒 /ISO400
フィルムシミュレーション:クラシッククローム

紅葉と雪

最後に紅葉と雪。霧氷とは違い、白の比率が多くなります。紅葉の色がなければ白一色だったこの場所も紅葉の葉があることでワンポイントとなり印象的な作品になりました。また秋から冬にかけては早めに冬季閉鎖して車では行けない場所もあるので、行く前には道路状況を必ずチェックしておきましょう。スタッドレスタイヤも忘れずに!

富士フイルムGFX100Sで撮影した、紅葉と雪の写真

GFX100S /GF100-200mmF5.6 R LM OIS /F13 /1/60秒 /ISO100
フィルムシミュレーション:PROVIA

最後に

いかがでしたでしょうか? 皆さんに少しでも森の魅力が伝わっていれば嬉しいです。
秋は最も自然が美しくなる季節なので、今回ご紹介した気候現象と合わせて是非皆さんも撮影してみてください。
次回は冬の撮影と私のテーマでもあるプリントの魅力についてです。お楽しみに!

Profile

星野 翔

森の写真家
長野県を中心に活動する写真家。車中泊をしながら四季折々の日本を走り回り、幻想的な森の風景を撮影している。その他、海外の風景写真ウェブマガジンへの執筆も定期的に行っている。”無形から有形へ”をテーマに、形のないデジタルデータを実際にプリントして飾るまでを重要視しており、2021年「森ノ聲」、2022年「AMBIENT」と2年連続で個展を行い、同時にフォトブック「AMBIENT」を出版。通年で行っている自身のワークショップでは、森の撮影からプリントまでのノウハウを指導している。

Twitter:@shochacamera
Instagram:@shocha_photography
Web:https://www.shohoshinophotography.com/

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