写真家の暮らし〜手を動かし、つくる日常から〜柴崎まどかの場合

X/GFXシリーズを通して写真を楽しむフォトグラファーたちに、愛用の日用品やこだわりの空間、大切にしている生活の一場面を紹介してもらう本企画。フォトグラファーたちがどのようなモノや時間と共に暮らしているのか。その日常にそっと目を向けます。今回は、数々の映画スチールを手掛ける他、雑誌、アーティスト写真など幅広く活動中の柴崎まどか(@shibazakimadoka)さんに、ものづくりを通した“自分らしい暮らし”をご紹介してもらいました。
① DIYキッチン
この家に引っ越しを決めた理由のひとつに“キッチンの窓”があります。この窓から入ってくる光が好きで、料理のモチベーションも上がります。ただ、調理器具は吊るしたい派の私にとって、収納面で少し不満があったのですが、不満があるなら作ればいい!ということで、こちらのキッチン収納はDIYで作りました。タイルの作業台も、この家に越してきた時に、もともとは愛猫のためにつくったキャットウォークを解体して作り直しました。引っ越すたびにその家に合わせてDIYをして、暮らしをより快適にしていくことが楽しみです。
② ツール収納
我が家は2DKで、玄関を開けるとまずはキッチンがあり、左手側に仕事部屋、右手側にベッドルーム兼リビングという間取りになっています。このスペースは仕事部屋にある一角で、コロナ禍の“おうち時間”をきっかけにDIYにハマり、どんどんDIYグッズが増えていった結果、ツールボックスの中に収まらなくなってしまい、余った端材で作った収納スペースです。キッチンの作業台や洗濯ラック、機材の収納ボックスなど、自分で作れるものはなんでも作ります。最近は作るものがなくなってしまって、DIY欲を持て余しているほどです(笑)。
③ DIYヘッドボード
こちらのへッドボードも最近作ったもので、ここにはお気に入りのインテリアや雑貨を並べています。家の中にある雑貨は旅先で出会ったものや、友人からもらったお土産がほとんどで、思い出が紐づいているのでとても愛着があります。デンマークで買った小さな木馬や、イギリスで買ったパームリーディングのハンドオブジェ、フェルトでできたお花はノルウェーで見つけたもの。このフェルトフラワーを入れている花瓶は自分でつくった陶器の作品で、そのほかにも、好きな作家さんの絵やぬいぐるみ、知人のお母さまが作ったというワイヤーアートなども。ワインボックスには寝る前に読みたい本を選書していて、気分で入れ替えています。
④ 大人の図工時間
子供の頃からものづくりが好きで、学生時代から得意な科目は図工、美術、家庭科でした。当時鍵っ子だった私は小学校が終わると学童保育に通っていて、放課後はそこでプラバンキーホルダーをつくったり、木を削って小さい木刀をつくったり、手縫いでお手玉をつくったりと、思い返せば色んなものづくりをそこで学んでいました。
最近は持て余したDIY欲を他のものづくりで発散しています。この猫のオブジェはフランスに行った時、作家の友人が粘土細工を教えてくれて、愛猫をモチーフに作ったもの。高校生の時に使っていたアクリル絵の具を実家から引っ張り出してきて、フランスから帰ってきて一年越しに色を塗りました。久しぶりに絵の具を使うのが楽しくなって、フランスのビーチで拾った石も一緒に絵付けをしました。
⑤ 愛猫のアウトドアチェア
こちらは愛猫の兵助です。今年6歳になった大きな雄猫です。彼がベッドにしているこのアウトドアチェアは、狭い我が家に来客が会った時のために、折りたためる椅子があったらと思って買ったもの。使わない時はコンパクトに畳めるので、しまっておく想定だったのですが、彼がとても気に入っているので、なかなかしまうタイミングをつかめずにいます。
インテリアのアクセントに赤や青などビビットなカラーを入れるのが最近のマイブームです。また、古家具が好きで木製の家具が多いのですが、木×スチールなどの異素材の組み合わせにときめいてるこの頃です。
⑥ 鮮やかなブルーのオープンシェルフ
我が家には高さ130cm、幅が260cmほどの大きな出窓があります。初めて内見に来た時に、ここに棚を作ったら絶対に素敵!と夢が膨らんで、それがもうひとつの引っ越しの決め手でした。出窓に棚をつくることで居住スペースに置く家具が減り、収納力もありながら部屋が広く見えるのも気に入っているポイントです。
当初はりんご箱を並べて本棚にしていたのですが、この鮮やかなブルーのオープンシェルフに一目惚れして、今はこちらを飾り棚にしています。春から陶芸教室にも通い始めて、今はここに飾るぴったりの作品をつくるために試行錯誤しています。
⑦ 愛すべき古家具たち
うちにある家具のほとんどは中古で、基本的にフリマアプリやオークションなどでお迎えしています。この家具たちが今までどこでどう過ごしてきたのか。遠くの国から輸入されてきた物もあるだろうし、戦争や災害などを乗り越えて生き残ってきた物たちもいるでしょう。そうした家具たちが巡り巡って私の家にやってきて、こうして凛と佇んでいる姿を見ると、感慨深い気持ちになるし、とてもロマンを感じます。
旅行の際には必ずその土地の蚤の市やアンティークショップを訪れるようにしています。物を手にいれる時は思い出も大事にしていて、いつどこで買って、その時誰と一緒にいて、どんな気持ちだったのか。家中の物たち一つ一つにエピソードがあって、時々手に取って眺めてはその時の思い出を振り返ります。これまで出会った雑貨や食器で埋め尽くされている我が家は、さながら人生の博物館です。
今回登場したカメラ

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