【Xシリーズユーザーインタビュー】俳優/フォトグラファー・小関裕太の溺愛カメラ『X-E2』と初写真展『LIKES』 “スキ”のなかにある自分らしさを見つめ続けて
ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』の主演ロミオ役を務め、8月18日からスタートの日曜10時ドラマ「素晴らしき哉、先生!」(テレビ朝日系)に出演のほか、数々の話題作に出演する実力派俳優として知られる小関裕太さん。役者としてのキャリアを築く一方で、自身のSNSや雑誌『GENIC』の連載で披露される写真が注目を集めています。そうしたなか、29歳の誕生日である6月8日に自身初となる作品集『LIKES』を発売。さらに同作品集の発売を記念した写真展『LIKES』が開催され、フォトグラファーとしての本格的な活動への期待もますます高まっています。そんな小関さんにとって写真活動の原点であり相棒というべき存在が、11年間にわたり愛用しているという『X-E2』。今回は、「自分にとって息をさせてくれるもの」と語る『X-E2』との出会いや作品づくりにおけるカメラとしての魅力、そして自分の“スキ”を余すことなく表現した『LIKES』についてのお話をお届けします。
Report:写真展『LIKES』
2024年6月24日から30日にかけて恵比寿オーツーギャラリーで開催された今回の写真展『LIKES』。雑誌『GENIC』の連載に掲載された写真やページレイアウトをはじめ、本展で初披露となる未掲載作品のほか、『LIKES』のためにフォトグラファー・女鹿成二氏が撮り下ろした“フォトグラファー・小関裕太”の姿や写真集『LIKES』の制作過程に密着したメイキング映像がお披露目されました。また、instaxチェキで撮り下ろした作品や小関さん自身がディレクションを手がけたという作業デスクが設置されるなど、展示作品とあわせて『LIKES』の世界に触れられるコーナーも。今回特別に、展示された作品のなかからとくに思い入れのある“スキ”を小関さんに解説していただきました。
「今回、連載が始まってからの4年間で撮った写真を展示しています。そのなかには連載用に撮り下ろしたものと、“童心にかえる”というテーマでカメラを始めたてのころに撮った写真も。また、いろんな旅先で撮ったものもありますが、とくに気に入っているのが“居場所シリーズ”と名付けた写真たち。舞台公演で半年くらいかけて各地を周っていたときに、自分の居場所があるようで無いような浮遊感みたいなものを感じていて、行く先々で自分の居場所を見つけようと思って撮り始めたシリーズになります」
「そのときやっていたお芝居が結構ハードで、本当に毎日血を吐くような思いで臨んでいる公演だったので、公演ファイナルの福岡で共演者のみんなとご飯を食べに行こうと外に出たときにようやく息ができた気がしました。そのときに撮影した一枚が、今回の展示作品のなかでもとくに気に入っている“中洲の夜景”です。逆に、東京に戻ってきたときに、東京って自分の居場所なんだなって改めて感じたりもして。それも写真を撮るからこそ気づけたことのように思いますね」
「空の写真も自分にとっては気づきをくれた好きな写真です。小さいころから父親のカメラを触ったりしていたんですが、空を撮るとどうしても電線が入ってしまい、それがずっとイヤだったんです。外国なら電線が写らない広くて青い空が撮れるんじゃないか、それなら憧れのニューヨークの空を撮ってみたいなっていつからか思うようになりました。実際にニューヨークに行って撮った空は、自分が憧れていたままの写真になりましたが、日本に帰ってきたときに、イヤで仕方なかった電線だらけの空は東京の個性なんだって感じました。憧れとカメラを持って外に出てみたからこそ気づけたことだなと思います」
「今回展示しているなかで一番古い写真は、祖父の湯呑みを写した一枚。『X-E2』を買ってすぐのころ、『昔、おじいちゃんは暗室でフィルムの現像をしていたのよ』という話を母から聞いていたので、カメラの話がしたくて祖父の家に遊びに行ったんです。『X-E2』で撮ったこの写真を見て、『このカメラは質感の表現とボケ感が素晴らしい。湯呑みの輪郭にちゃんとピントが当たっていて、そこからグラデーションのように柔らかくボケ感が広がっている』と言っているのを聞いて、このカメラの個性をおじいちゃんのおかげで知ることが出来たなと思い、そこからモノをよく撮るようになりました。自分にとって原点といえる写真です」
Interview:小関裕太
――小関さんは、長年にわたってXシリーズをご愛用とのこと。今回はIRODORI by X-Series初登場ということで、まずは改めて小関さんがカメラを始められたきっかけや富士フイルムとの出会いについて教えてください。
きっかけは、学生時代にカメラを趣味にしている人たちと知り合ったことですね。とくに俳優仲間にはフィルムカメラを持っている人が何人かいて、撮影した写真をデータ化して送ってくれたり、現像してプレゼントしてくれる方がいました。それがすごく嬉しくて、フィルムカメラで写真を撮るって趣があってすごく素敵だなと思ったんです。それまでスマホで風景を撮るくらいでしたが、なんとなく自分も「いいカメラを使ってみたいな」と思うようになりました。
――最初はフィルムカメラに興味をお持ちだったんですね。
とはいえ、当時は詳しいことはなにもわからなかったので、いろんな撮影現場でフォトグラファーさんの機材を見るようになりました。そうしたなか「デジタルも面白そうだな」と思うようになり、その時期に現場ですごく素敵に撮ってくださるフォトグラファーさんと出会ったんです。その方が仕事の機材とは別に愛着を持っているというカメラが『X-E2』でした。「富士フイルムのカメラは、ファインダーを覗いて見える画がなによりもきれいって言われているんだよ」と教えいただき、実際にその場で覗かせてもらったんですが、色への強いこだわりが一目で感じ取れ、直感的に「あ、これは出会っちゃったかも」って。プロが愛用しているくらいだから機能性も申し分ないだろうという納得感もあったので、18歳のときに貯金を崩して思い切って購入しました。当時の僕にとっては、これまでにない大きな買い物でした。
――それから約11年、一途に『X-E2』を使い続けていらっしゃるそうですね。
もちろん新しい機種への興味はあります。フィルムシミュレーションも増え、解像度も上がっていて。だけど、自分にとって初めてのカメラである『X-E2』への思い入れが強くて。使い続けることに意味があると思っているので、もし新しいカメラを買ったとしても『X-E2』は変わらず大事にしていきたいなって思っています。この前、会場に来てくださった富士フイルムの方がお話してくださったんですが、ボディに“FUJINON LENS SYSTEM”のロゴが入っているのは、Eシリーズだと『X-E1』と『X-E2』だけだからレアらしくて。「開発者としても長く使ってくれて嬉しい」って言ってもらえて僕も嬉しかったし、これだけ時間が経っても衰えを感じないので、もしかしたらメインで使いたいカメラはこの先もこの一台だけかもしれないです。
――先ほど、「『X-E2』のファインダーを覗いたときに色味へのこだわりを感じた」と仰っていましたが、ご自身が撮影した写真から感じ取れる富士フイルムらしさとはどんなところでしょうか?
真っ先に浮かぶのは、青みがかった色合いと表面にほんのり感じるヌメリですね。僕はハッキリ発色している写真が好みなので、フィルムシミュレーションは『Velvia/ビビッド』をよく使いますが、鮮やかさのなかに油っぽいヌメリ感があり、そこが自分の感覚に馴染むなあと感じています。最近は、雑誌の掲載用に調整を見据えて色味や明暗をいかようにも振れる写真を心がけて撮っていますが、持ち味を活かして調整することもあれば、特有の青みは残しつつ黄色や白を引き立てて写真の印象に変化をつけてみたりすることも。富士フイルムならではの色づくりをベースに、自分らしさを探しているような感覚があります。
――本展の作品もプリントに何工程もかけて色表現にこだわられたそうですね。
普段は自分で画像調整をして街の写真屋さんにプリントしてもらっていますが、展示用となると画像サイズが足りなかったり色味が大きく変わってしまったりして、いつもとは違う作業をしなきゃいけないのでかなり難しかっですね。公演のあいまにパソコンとにらめっこして少しずつ表現したいものに近づけていくのは大変でしたが、すごく勉強になりました。
――大きくプリントされた作品をご覧になって、いかがですか?
今回、プリントをお願いした『CREATE』の職人さん(プリンティングディレクター)が、オーダーメードで画像調整をアレンジして、それをさらに現像・確認して……という作業を何度も繰り返してくださって作品が仕上がりました。自動調整と手動調整を見比べさせてもらったんですが、全然違っていて驚きました。たとえば、このセンター街の写真なんかは自動で調整すると赤がすっかり消えてしまうそうです。そうすると、個性がなくなってしまう。印刷用紙や調整の仕方によって色の出方が変わってしまうというなかで、すごく丁寧にプリント作業をしていただき、自分の狙いの色で写真を見ていただけたというのがとても嬉しいです。
――先ほど、「この先も『X-E2』を使っていきたい」というお話がありましたが、フォトグラファーとしての活動も盛んになるなかで、新しい機材を検討するとしたら?
やっぱりGFXシリーズ。一度使わせてもらったことがあるんですけど、まずシャッター音がたまらないですよね。広告写真にすごく興味があるので、そういう意味でプロユースのGFXシリーズには惹かれます。ただ、やっぱり『X-E2』への愛着がかなり強いので、もし今後『X-E5』が発売されたりするならEシリーズ縛りで2台持ちしてもいいかなあ。自分がこの先なにを撮っていきたいのかまだ探している途中でもあるので、いろいろと試しながらコレだという一台に出会えたらいいなとは思います。
――『LIKES』は、4年間にわたって撮り続けてきたご自身の“スキ”の集大成。そして、カメラとの歩みそのものとも言えるのではないでしょうか。あらためて今、『X-E2』とは小関さんにとってどのような役割をもつものだと感じますか?
『X-E2』は、“スキ”と思うものや風景の解像度を上げてくれるもの。そして、息をさせてくれるものです。どんな職業にも真剣に向かい合うからこその壁があると思いますが、僕も役者という職業とずっと向き合っていると息が詰まることもあって。そんなとき『X-E2』 がいつもそばにいてくれる。ファインダーを覗くと、目の前にあるのとは違う世界を見せてくれる。それが息抜きになり、身体がほぐれて、もう一度本業に立ち戻れるんです。僕にとって相棒であり、物理的な旅だけじゃなく自分探しの旅をするうえでも重要なツールだなって感じています。
フォトグラファー・小関裕太としては初の写真展となった『LIKES』。大盛況のうちに幕を閉じた本展は、8月2日から写真とカメラ好きが集う富士フイルムのメタバース空間『House of Photography in Metaverse』のギャラリーで公開予定です。Xシリーズならではの表現と『X-E2』越しに見つめた小関さんの“スキ”の数々にぜひ触れてみてくださいね。
text by 野中ミサキ(NaNo.works)
photo by Kana Tarumi
衣装クレジット:
シャツ¥55,000 HEUGN問 IDEAS/03-6869-4279
パンツ¥6,930 シューズ¥11,880
共にCASPER JOHN問 Sian PR/03-6662-5525
小関裕太 写真展「LIKES」in Metaverse
会期:2024年8月2日(金) 10:00 〜 2024年8月16日(金) 9:59
開催場所:富士フイルム「House of Photography in Metaverse」内、クラシックギャラリー
入場料:無料
*「LIKES」in Metaverseの会場はこちら
小関裕太 作品集『LIKES』