【Xシリーズユーザーインタビュー】フォトグラファー・国分真央と『X-S10』 「もう一度出会えた、純粋な撮る楽しさ」
instagramを中心に活動し、企業広告や書籍、CDジャケットなどを手掛けるフォトグラファー・国分真央さん(@mao_kokubu)。透明感とどこか親密な空気感を感じさせる作品が注目を集めています。海外製のデジタルカメラやマニュアルフォーカスのフィルム一眼、名機と称ばれるクラシックカメラなど、これまであらゆるカメラに触れてきた国分さんが新たに手にしたのは、Xシリーズの中でも特にユーザビリティを追求した『X-S10』。「写真を撮る楽しさが蘇った」というその魅力と、フォトグラファー目線でカメラに求める条件について語ってくださいました。
Interview:国分真央
--まず、国分さんのご経歴について教えていただけますか?
カメラを始めたのは、16歳の頃。写真を撮り始めたきっかけは、学生時代に使っていたカメラ付き携帯電話でした。もともとはずっと絵を描いていたのですが、時間をかけて完成させる絵とは違って瞬間的に表現する面白さに触れたことで、どんどん写真を撮るようになりました。その後、広告制作会社や写真事務所を経て、フォトグラファーの仕事を始めたのは7年ほど前。自分のやりたいことや表現力をとどめておきたくないという気持ちが募って、SNSを中心に現在の活動を始めました。
--その表現力を存分に発揮するために、カメラに求めることとはどんなことですか?
その時々で求めることは変わったりもするのですが、最近だと撮った瞬間の完成度は重視しています。以前は撮影後に色味をしっかり編集することもあったのですが、撮って出しでSNSに投稿出来るかどうかという点はかなり重要です。もちろん見た目の良さも無視出来ないポイント。持つことで「写真を撮りに行こうかな」って気持ちを高めてくれるものがいいですよね。
--そうしたポイントをクリアしたうえで『X-S10』を手にされたと思うのですが、いわゆるマニアックなカメラを多数所有する国分さんが今回X-S10を選んだ決め手とは、なんだったのでしょう?
もともとは、サブ機として使えるものを探していました。今メインで使っている海外メーカーのカメラはピント合わせや色味に偏りがあるので、これまでも動画やちょっとした物撮りには他メーカーと並行して使っていたのですが、もっと軽くてJPEGでも遜色ない優等生的なサブ機が欲しいなあと。
Xシリーズ自体は、以前からクラシカルな佇まいが素敵だなと感じていたのですが、いろいろと検討するなかでharu wagnusさんやコハラタケルさんといった富士フイルムユーザーの友人たちからの「Xシリーズいいよ!」というオススメがキッカケで当時最新機種だったX-S10を手に取ってみました。サイズ感も描写力も申し分ないですし、手ブレ補正やフィルムシミュレーションといった表現の幅を拡げてくれる機能にも惹かれて即決しました。今、安心感のある心強いサブ機として活躍してくれています。
--さまざまな機材に触れてきた国分さんの“安心感のあるサブ機”という言葉は、説得力がありますね。X-S10は主にどんなシチュエーションで活用していらっしゃいますか?
お仕事のときはいつも3台ほどカメラを用意するのですが、X-S10は必ず持っていくようにしています。たとえば、広めのハウススタジオなどで空間の雰囲気も込みで撮りたいといったときにX-S10を使うことが多いです。撮影データはJPEGとRAW両方で記録していますが、撮影後に色の編集をすることはほぼありません。JPEG撮って出しでも完成度が高く陰影がすごくはっきり出るところは使っていて安心出来る大きなポイントです。
--富士フイルムの色づくりという点では、どんな印象をお持ちですか?
久しぶりに新しいカメラを買ったので最近の機能に驚きつつ、色表現や階調的なところでもすごく魅力を感じました。初めてX-S10を使って撮影をしたときにも感じたのですが、とにかく緑色がすごく美しくて。今よく使っているフィルムシミュレーションは、クラシッククローム。面白い変化をつけたいなというときにはETERNA ブリーチバイパスを使ってみたり、被写体や撮影時間帯によって使い分けています。また、自分自身でプリセットを作っているのでそちらを使う事もあります。フィルムシミュレーションは、私のようにポートレートだけではなく風景写真や身近なものを撮影する方にぴったりな機能だと思います。
--撮影の際に意識していることや活用している機能はありますか?
普段ファインダーを覗くことがほとんどですが、X-S10で撮影する場合は液晶を見て全体の構図を決めています。やっぱり自分の立ち位置が捉えやすく、構図を瞬時に決められるのはバリアングル液晶の大きなメリットだと思います。もうひとつ重宝しているポイントは、グリップ部分とサイズ感。私自身手が小さめなのですが、構えやすさは撮影にかなり影響すると感じているので、グリップの深さとこのサイズ感は嬉しいです。軽量なので持ち運びもしやすいですし、お仕事以外でもふと目にした風景をコンパクトカメラでパチッと撮るような感覚で切り取ることが出来るカメラだと思います。
--レンズは、レンズキットの『XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS』を使っているそうですね。
そうです。理由は2つあって。まずひとつめは、並行して使っているカメラは単焦点のものが多いので、いろんな距離感で表現したいと考えたときにズームレンズが必要だなと。もうひとつは、今回X-S10を使うにあたって初心に返ってみようかなと思ったんです。社会人になって初めて購入した一眼レフはレンズキットだったのですが、X-S10もズームのレンズキットを手にしたことで仕事やSNSは関係なく純粋に「写真って楽しいな」という気持ちが蘇ってくるような気がしたんです。今、新しい風が吹いている感じがしているので、そういう意味でもX-S10を手にして良かったなと感じています。
--そうしたお話を踏まえて、今後X-S10でどんな作品が生み出されるのか、すごく楽しみです。
使い始めてまだ半年なので、今はもっとX-S10をよく知れたらいいなと思っていて。そろそろ他のレンズも試してみたいなと考えてもいるので、友人にオススメを訊いたりもしています。今気になっているレンズは『XF23mmF1.4 R』。オールマイティに使えるレンズだと思うので、引き続きポートレートを撮ったりしながら試行錯誤しつつX-S10で撮影する楽しみを拡げていきたいですね。
text by 野中ミサキ(NaNo.works)