【Xシリーズレビュー】トラベル映像クリエイター・吉本吉浩 『X-T30 III』は、旅の好奇心を掻き立てるスイッチ
クリエイティブ業界に身を置き、ライフワークとしてトラベル系リール動画を発信する吉本吉浩さん(@seeks_travel.film)。スマホ一つで誰もが手軽に発信できる時代だからこそ、独自の質感や切り取り方で観る人を惹きつけるミラーレスカメラの世界に惹かれ、ストーリー性溢れる美しい旅の景色を発信し続けています。今回は、日常のVlogやSNS向けの動画撮影にも適した『X-T30 III』で撮影した鳥取砂丘の旅の記録とともに、同機のフレキシブルな撮影体験とフィルムシミュレーションダイヤルがもたらす直感的な色表現など、その魅力を紐解いていきます。
Interview:吉本吉浩
思い出の記録を作品へと昇華させる
SNS時代にこそ光るミラーレスのクオリティ
──吉本さんは、今回お試しいただいた『X-T30 III』の一つ前のモデル、『X-T30 II』をふだん愛用されていらっしゃるそうですね。以前は『X-T10』もお持ちだったとのこと。そもそも富士フイルムとの出会いは?
大学3年生のときに台湾に留学していたのですが、人生一回きりの留学の思い出を綺麗に残したいという気持ちから、アルバイトをして初めてカメラを購入しました。そこから写真そのものの魅力に気づき、フィルムをデジタルで再現したような色づくりに惹かれていきました。その理想を叶えてくれる富士フイルムに辿り着き、帰国したタイミングで『X-T10』を購入しました。
──SNSの発信を始めたのもカメラを手にしてからですか?
留学時に思い出アカウントのようなノリで始めました。発信していく中で嬉しいお声もいただいたりして、思い出以外にもいろんな景色を撮りたい、動画も撮影してみたいと思うきっかけになりました。
──スマホで動画も撮れる時代に、ミラーレスカメラを持つ理由は?
今ってスマホがあれば誰でも写真や動画を発信できると思うんですけれど、そういった中で他とはひと味違った質感や切り取り方を表現したいという人が本格的なカメラを購入している印象があります。やはりミラーレスカメラでしか表せない質感があるので、SNSのリール動画でカメラの良さやスマホとの違いを実感する人は多いように思います。
▲『X-T30 II』を使用したリール動画
頼れる高性能AF機能に、ストレスフリーなサイズ感
フィールドと表現の幅を広げる『X-T30 III』
──今回は、吉本さんが普段使用されている『X-T30 II』の後継機、『X-T30 III』を使用していただきました。X-Tシリーズに馴染みがある吉本さんが感じた、『X-T30 III』の第一印象をぜひ教えてください。
まず、僕自身少し手が大きいのですが、『X-T30 III』はコンパクトながらも手に持ちやすく操作性も非常に快適な印象を受けました。登山や旅行に行くときにはストラップを付けてカメラを肩掛けにしていますが、持ち運ぶストレスがないサイズ感ですし、軽さにも感動しました。登山の装備はいかに軽量であるかというのが重要なのですが、その点でも『X-T30 III』は最適。レンズを付けた状態でもかさばらず、必要な瞬間に素早く扱えるのは嬉しいポイントです。普段、外で撮影する時は予備バッテリーをいくつか持って行くのですが、『X-T30 III』なら一式合わせても荷物にもならない。僕にとっては、フレキシブルでストレスフリーなカメラです。
──コンパクトなボディに、充実の機能が搭載された『X-T30 III』。特に動画撮影における電子式ブレ補正*は登山のようなフィールドワークで活躍しそうですね。
Vlog撮影や三脚を持ち運べない環境など自然風景の撮影をするときに、電子式ブレ補正は重宝すると思います。最近は、動画をメインで撮影しているのですが、それこそ『X-T30 III』の電子式ブレ補正は非常に心強いなと感じました。一方、写真撮影に関しても、ファインダーを覗きながら撮影するという、カメラならではの体験を楽しめる点も非常に魅力的だと感じます。
*『X-T30 III』にボディ内手ブレ補正は非搭載。動画撮影における電子式ブレ補正は搭載。
──その他、撮影をサポートする機能が多数搭載されています。撮影をされる中で特に実用性を感じた機能は?
今回、さまざまなシチュエーションで撮影する中で被写体検出AFはとても心強いと感じました。それと、夜の撮影や友人と食事に行った際に大活躍だったのが、内蔵フラッシュ。『X-T30 II』にも搭載されていますが、AFの高精度化もあって、よりはっきりと綺麗に写る印象を受けました。
──『X-T30 III』に新しく搭載されたフィルムシミュレーションダイヤルの使用感はいかがでしたか?
これまでは液晶を見ながらボタンで操作していくひと手間がありましたが、ファインダーを覗いたまま直感的な指先の操作だけで可能になったので、撮影中も非常に使い勝手がいいなと感じました。普段はある程度自分好みに設定したうえで撮影するのですが、フィルムシミュレーションダイヤルを回すたびに表現の幅も広がっていくような実感がありました。もっと撮りたい!という気持ちを湧き起こしてくれるカメラだなと思います。
フレキシブルに、ドラマティックに。
『X-T30 III』が描き出す鳥取砂丘の色彩
──今回、『X-T30 III』で撮り下ろしてくださった鳥取砂丘、ビーチでの写真と動画について、撮影の様子を聞かせてください。
僕が住んでいる地域からは、鳥取砂丘まで2時間半ほどなので、今回は日帰りで撮影に行きました。鳥取砂丘はお昼時に、ビーチに関しては夕暮れ時に撮りました。特に気に入っているのがこの2枚。自分的には、フィルム映画っぽい色味が感じられる1枚になったと感じています。自然風景が好きで普段も旅先でよく撮るのですが、富士フイルムの色味はそういった面ではすごくダイレクトに魅力が発揮される印象があります。
こちらの写真は、カメラを構えている様子を伝えつつ、その先にあるビーチや人を入れることで、撮影している様子を客観的に伝えられるような構図にしました。『X-T30 III』の軽快な携帯性が伝わるように動画でも自分が歩いている様子を盛り込んだのですが、基本的には三脚を使用して一人で撮影しています。カメラをセッティングしたら構図の位置まで歩いて、アプリで操作しながら撮影するのがいつものパターン。遠隔操作を活用するとカメラを持って撮るのとはまた違った視点が生まれるので、積極的に活用しています。
▲『X-T30 III』を使用したリール動画
色づくりの基本ベースは、『クラシッククローム』です。そこから撮影環境や気分によってホワイトバランスや露出を調整できるところに面白さを感じています。フィルムシミュレーションは、Xシリーズ購入の決め手になった機能。イメージどおりのカラーグレーディングをイチから作っていくのは、知識的にも賄いきれないところがありますし、何より撮影している瞬間に作品の世界観が現れているというのは他にない大きな魅力だと思っています。
──オリジナリティ溢れる世界観の裏側に触れられるお話でした。最後に、『X-T30 III』で今後さらに撮影してみたいものを教えてください。
いつもは自然風景を撮影することが多いのですが、この気軽さを活かして街の風景やテーブルフォトも撮ってみたいと思いました。自分にとっては、まだ見たことのないものや場所にどんどん出会いたくなる好奇心をくれるカメラ。僕のように動画を撮り始めてまだ間もない人にもおすすめできる、初めてのカメラにふさわしい1台だと思います。
text by 野中ミサキ(NaNo.works)
今回登場したカメラ




















