【Xシリーズユーザーインタビュー】フォトグラファー・Yuya 理想の一台を追い求めた、機材遍歴の終着点
緻密に構成された夜のランドスケープやスナップなど、アーティスティックな作品で多くの支持を集めてきたYuyaさん(@yu6101_photo)。現在は、日常のなかに潜む柔らかな光や、大切な人との穏やかな時間を切り取る自然体の作風へとシフトし、さらなる表現の幅を広げています。かつては「他人とは違う写真」を求めてストイックに撮影に励んでいたというYuyaさんが、「自由に撮ること」を楽しめるようになった背景には、機材に対する考え方の変化もありました。理想の一台を求めて数々のカメラを使い込んできた末に辿り着いた、『X-E5』や『GFX 50R』という選択。撮影スタイルの変遷とともに、現在のカメラ選びに至るまでの過程を伺いました。
Interview:Yuya
趣味を作るためにはじめた写真ライフ
──写真をはじめたきっかけを教えてください。
趣味を作りたい、と思ったことがきっかけでした。社会人3年目くらいのとき、何か趣味が欲しいなと思いはじめて、まずはスマートフォンで写真を撮りはじめました。すると、写真っておもしろいなと。もっと本格的なカメラが欲しくなり、色々と買い揃えていくうちに、どんどんハマっていきました。それまでの趣味は、バク転やバク宙をするアクロバットくらいだったのですが、1人でやっていたのもあり、練習というよりは修行のような感じになってしまいました。「趣味としては続けにくい」と思ってしまい、何が趣味になるだろうと考えていたときに真っ先に思い浮かんだのが“写真”だったんです。
──写真が思い浮かんだということは、何か思い当たることはありますか?
高校生の頃からアクロバットは続けていて、動画に撮ってYouTubeにアップしていたので、カメラ自体には触れていました。ただ、写真はあまり撮っていなかったですね。
──SNSも拝見しましたが、2022年くらいまでの作品はとても独創的に編集された作品が多く、ご自身の世界観を非常に大切にされているという印象を持ちました。
三脚を担いで、いわゆる“撮影スポット”と呼ばれる場所へ通っていました。撮影の時間帯も、夜であることがほとんど。写真を撮るからには、他人とは違う表現をしなければという思いがあり、撮影する角度や構図にもこだわりましたし、編集やアーティスティックな合成などを駆使して、いかに差別化するかということに力を入れていました。SNSでフォロワーが増えたり、メーカーからお仕事をいただくようになったのも、その時期がもっとも多かったかもしれません。
──現在はとてもナチュラルな日常風景を撮影しています。この作風の変化とXシリーズを愛用するようになったことはリンクしているのですか?
Xシリーズを使うようになって作風が変化したというよりは、新しいアイデアが見つからなくなっていったり、撮影をしていて楽しめなくなったりしたことが大きくて、同時進行で変わっていったという感じです。撮影をしていても義務感が出てきてしまったんですよね。まず、夜ばかり撮っていたのに日中の撮影にシフトしていき、そのタイミングで別のカメラを探しはじめました。とにかくコンデジにするぞと。はじめ、別の候補のカメラを買ったのですが、画角や出てくる色味が合わないなと感じたのと、思ったほど身軽ではないと感じてしまったので手放し、『X100V』に辿り着きました。
こだわり抜いたXシリーズの変遷
──『X100V』を使ってみての感覚は?
もうバチッとハマったような気がしましたね。最初に別候補を買ったのは、そのメーカーに対する好奇心が強かったのと、手にするまでは「『X100V』はグリップしづらいのでは」と勝手にイメージしていたからというのも理由で。実際に使うとまったくそのようなことがなくて、逆にずっと手にしていたいという気持ちになりました。最初の頃はフィルムシミュレーションの中でも『クラシックネガ』がお気に入りで、そこから富士フイルムの色味に夢中になっていきました。少し経ってからは『クラシッククローム』を中心に使うようになって、いまではほぼ『クラシッククローム』で撮影しています。
──その後、レンズ交換式のXシリーズも手にしていったわけですね。
『X100V』を購入して数ヶ月後、これまで使っていたレンズ交換式カメラもXシリーズにしようと思い、まず『X-S10』を購入しました。その後、サブ機として『X-E4』も買い足しましたし、後に妻となる彼女も『X-T30』を使ってましたし、かなりの機種が同時に手元にある状態になっていったと思います。
──『X-T5』もお使いだった時期もあったそうですね。
実は『X100V』だけを残して、富士フイルムのカメラを全て手放したことがあり……。気になっていたレンジファインダー式のデジタルカメラを使ってみたり、ほぼ1年間フィルムのレンジファインダーしか使わない時期を経て、やはりデジタルでもしっかりと撮りたいと。そのときに再びXシリーズ熱が再燃して、『X-T5』を買いました。フィルムでの撮影も楽しかったですが、動画を撮りたい、AFを使いたいなど、もっと幅広い撮影体験をしたいと思ったときにXシリーズがやはりいいなと思ったんです。機能面での不満はまったくなく、人に勧めるなら『X-T5』がいちばんですが、僕にとっては少しだけ大きかったため、さらに軽量コンパクトなモデルである『X-T50』をしばらく使っていました。その後、機能面に大きな差はありませんが、レンジファインダースタイルであるいまのメイン機のひとつである『X-E5』に買い替えました。
──なかなかの機材遍歴です(笑)。
これは性格ですね。試したいというよりは自分の理想を完璧にこなしてくれるカメラを探し続けているという感覚。そのときどきでカメラに求めているものが変わるので、そのときに求めているものがいちばん詰まっているカメラに行き着いているんだと思っています。いま『X-E5』に満足していますが、その理由はまず第一にデザインですね。また、僕はレンジファインダースタイルが好きなので、よりそれが強まった『X-E5』に惹かれたのかもしれないです。
婚約指輪のお返しは憧れのカメラ『GFX 50R』
──さて、『GFX 50R』もお使いだそうです。導入のきっかけを教えてください。
GFXシリーズは、SNSなどで作品を見かける機会が多くなるにつれて、気になる存在にはなっていました。やはり人物を際立たせる空気感や立体感が明らかに他の機種と違う。それを見続けていたら憧れが強くなってきて、でもGFXシリーズはまだ買わないだろうなと思っていたんですね。そんな状況の中、昨年の5月に妻に婚約指輪を贈りまして、妻から婚約指輪のお返しとして「何がいい?」と聞かれたとき、ふいにGFXが頭の中に出てきて、「『GFX 50R』どう?」と聞いたらオーケーと(笑)。また、『GFX 50R』を選んだ決め手はとにかく見た目ですね。レンジファインダー風のGFXシリーズでレンズ交換式のものとなると『GFX 50R』だけじゃないですか。もう1択でした。
──なぜレンジファインダースタイルにこだわりがあるのでしょうか。
おそらく、形が好きというのがいちばんです。ふつうはボディの真ん中にファインダーがあるじゃないですか。いままで愛着を持ったカメラはレンジファインダー型で左側にファインダーがあるものばかり。右目はファインダーを覗き、左目で景色を見るというところに使いやすさを感じているのかもしれません、構え方も好きな気がしますね。
──『GFX 50R』で撮った写真のデータを見たときに違いは感じましたか?
まったく違いました。購入直後からオールドレンズを使っていましたが、それでも立体感などに違いは感じましたね。ラージフォーマットで35mm用のオールドレンズを使うと、レンズのイメージサークルをフルに使った描写になるので、フルサイズで撮ったときよりも立体感を感じたのかもしれません。
少し前にようやく『GF55mmF1.7 R WR』を買ったんですが、驚くほど良い写りで感動すらしました。Instagramにアップしている花とフレアの写真などは、全て『GFX 50R』とオールドレンズで撮ったものなんですね。そんなクセがある描写も好きですが、『GF55mmF1.7 R WR』を使いはじめたことで、人をもっと積極的に撮りたいと思うようになりました。妻を『GF55mmF1.7 R WR』で撮ったとき、驚くほど美しく撮れたんです。作品としてのポートレートを撮りたいということではなくて、友人や家族などを写真に残していきたいなと思っています。
写真に対する考え方の変化と富士フイルムのカメラとの関係
────いま富士フイルムは『愛おしさという哲学。」というブランドタグラインを展開しています。Yuyaさんにとって写真に残したい“愛おしさ”とはどのようなものでしょうか。
シャッターを切っているタイミングを思い返してみると、日常にある何気ない物や風景に惹かれるときだったり、仲の良い友人や妻など大切な人を撮るときだなって。最近では祖母を撮影したり、大切な人と過ごしていると自然と写真を撮りたくなると感じています。僕にとって、それらが“愛おしい”ものなんでしょうね。
──かつてのスポットを狙う写真と、身近な大切な人を撮る写真。同じ写真でも心構えは違うと思いますが、作風が大きく変わったときにSNSでの反応の変化はありましたか。
いいねの数や反応をもらいやすい写真は変わりましたね。写真にはさまざまなスタイルと楽しみがあるので僕の個人的な意見でしかないですが、僕自身は「すごく自由になった」とは思います。この写真伸びなかったなとか、自信あったのにダメだったな、というようなことがなくなったなって。でも、積み重ねてきたものがあったので、スタイルを変えるということにはかなりの戸惑いはありました。スタイルを変えてすぐの頃にはまったく写真を見てもらえなくなっていたと思いますし、それまでの写真を通じた繋がりも全てではないですが、リセットされるような感じで。そんな時期を経て、写真の雑誌の企画や案件など新しい形でお声がけいただくことはありますし、すごく楽しく写真と向き合えていると思います。
──Yuyaさんの写真ライフにXシリーズ、GFXシリーズは欠かせない存在ですか?
ずっと持っていたいカメラ。生活に必須。どこに行くときも持っていっているので、人生に付きものというか、これから先もずっと使っていくんだろうなと思っています。特に最近はプレゼントしてもらった『GFX 50R』への思い入れは強いです。
今回登場したカメラ




























